らげたけと桜の木の下のおはなし
それはらげたけがまだ白に灰の混じった産毛に覆われていた時代のおはなしです。
その頃の世界というものは一様に薄く暗く、人々や生きもの達は星空の光と木々や岩などが放つ赤や黄や青や緑の、それぞれに違って光る仄かな明かりの中で暮らしておりました。
どこかしこも寒さや温もりというものもなく、ただひっそりとした中で眠り続けるように静かで、寂しげに穏やかな様を見せていました。
らげたけもまた、ところどころにある特に明るい岩を探してはそれを中心に居を構えてそれの光の落ちるまでを過ごし、世界