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怪奇!紫パンツ現る!

それでは僕の番ですね。僕は静岡の出身なんですけども、まぁそこそこわりと田舎の方でして。そこそこわりとって言い方もなんか変ですね。とにかく、去年実家に帰省していたんですけども……はい、あの時です。父親にお使いを頼まれて車で運転してスーパーまで行ったんです。

お使いの内容と言うのは夕飯の材料だとか、洗剤とかの日用品だとかで。ちゃんと頼まれたものは買えて、車で帰ろうとしたんですよ。

で、ここからの話なんですけどね。その日は暑かったからかな。エンストしちゃったんですよ。いや、エンストしたって言っても家まで数百mくらいまでのところでね。いやーこれは参ったぞ、と。とりあえず親に電話して、でもそんなもう年の親をここまで歩かせるわけにもいかないんで。あの、車の緊急の修理的なやつ……に、電話したんですよ。そしたら30分くらいで来るって言うんでまぁ待つかな、と。で、そこが辺りに田んぼしかないような場所だったんですよね。クーラーも効かないんで外出たんですよ。すると、肩を突然後ろから叩かれましてね。少し驚いて後ろを見るとね、

紫パンツ一丁の男がいたんですよ。

いや、これホントの話で。ホントですってば。この目が嘘をついているように見えますか?………とりあえず、話を続けますね。ぎょっとして言葉も出ないでいるとその男……中年くらいの、少し腹が出た人でした、が「あんちゃん、こんなところに車停めちゃダメだよ。」と。いや、こちとらエンストしてるんだ。と言ってもここに車を停めてはいけない、としか言わないんですよ。しかもだんだん語気も強くなってきて。怖くなって車の中に戻ったんですよ。そしたら後部座席に紫パンツ一丁の少年もいたんですよ。少年も「なんでここに車停めてるの?ダメだよ?」と言ってきて。中年の男の方も窓叩いて「ここに車を停めるな!」って言ってきて怖くなって。もう怖くなって車置いて走って家まで逃げたんですよ。もう後ろなんて見ないで。後ろから「車を置くな!」ってめっちゃ言われながら。

そして、命からがら家についた頃にはもうその2人は見えなくなってて。安心した、と思ったら家の前に確かにあそこに停めたはずの車があったんですよ。これはおかしい、と思って中を調べたらちゃんとスーパーで買ってきたものが載ってて。もうここまで来ると怖い、じゃなくてラッキーと思ったんですよね。何事もなかったかのようにスーパーで買ってきたものを家に運び込んで。

そして夕方になって。やっと心が落ち着いてきたと思って一応車を停めたところに戻って確認してみたんですよ。そしたら車がなくなってまして。じゃああのエンストは一体?ってなるわけですよ。で、怖くなって帰ろうとしたらカカシが二つあるのを見つけて。こんなのあったかなとよく見たらそのカカシが紫のパンツを履いていたんですよ。両方。 

結局あれはなんだったんでしょうか……。

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