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#56 為替介入によって円安は止められるのか?

こんばんは。Mickey★です。

お金を上手に活用することで、お金の悩みから解放されて幸せになれる「お金との付き合い方」をご紹介しています。

昨日は、ドル円相場は大荒れの一日でした。
FXをやっている人以外は、ほとんど興味のない話題かもしれませんが、昨日の一日だけで一番高くて145.89円、一番安くて140.34円と比較的、値動きが少ないドル円相場で5円以上も変動がありました。

昨日は、日銀が金融政策決定会合を行い、黒田総裁が金融緩和(マイナス金利)の継続を発表しました。その前の日には、アメリカの連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の金利を引き上げることを発表しており、これによって、アメリカと日本の金利政策で顕著な差が出たことが明らかになっています。
なお、スイス国立銀行も0.5%の利上げを発表しており、日本のみがマイナス金利を継続するという形になっています。

アメリカやヨーロッパは、物価の上昇が続いており、物価上昇を抑制するために金利を上げる金融政策を行っております。
そうすると、国債の価値が上がるため、株式よりも国債を買おうとする人が増えて、株式市場は下がり、景気が悪くなります。
また、利上げによってお金を借り入れる時の返済金額も大きくなるため、企業や個人がお金を借りて設備投資や住宅を買おうとする動きが抑制され、お金を使う動きが抑制されることによって物価上昇を抑えられるという形になります。
今の経済はアメリカを中心に回っているため、アメリカの国債が上がると、日本の国債は金利が低いので、アメリカ国債に買いが集中します。
これによって、アメリカドルの価値が上がり日本円の価値が下がるという流れになり、結果的に為替もドル高円安に進むようになります。

通常の為替相場は、上に上がるか、下に上がるかは予測つかないのですが、ドル円については、日本が利上げに踏み切るか、アメリカ経済が悪化するということがない限りは、ドル高円安が続く動きのため、非常に読みやすい状況となっています。

しかし、昨日の17時に145円後半を推移していたのが、ものの数分で142円前半にまで一気に円高となりました。
これは、財務省が日銀に指示をして円を買ってドルを売るということをしたことによって起きたことであり、財務省の神田財務官が記者会見で発表しました。

通常は、日銀が主導で金利の調整を行っていますが、財務省(政府)が日銀に指示をして金利の調整を行うことを為替介入と呼ばれています。

なお、24年ぶりの為替介入というように報道されていますが、為替介入は2011年に1ドル=75円という円高になった時にも実施されており、今回のように円安を抑制するための「円買いドル売り」での介入は1998年以来となっています。

1998年の為替介入後、ドル円はどうなったのか?

1998年は、4月と6月の2回に分かって、円買いドル売りを実施しています。ただし、これによる効果は一時的で、147円から139円にまで下げることは出来ましたが、この後にアジア通貨危機から波及したロシア通貨危機によって、アメリカのロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)というヘッジ・ファンドが実質的な破綻によって、1998年10月5日に1ドル=136.05円だったのが、4日後には1ドル=115.25円となりました。このわずか4日間で20円も円高が進んだことになります。

ロング・ターム・キャピタル・マネジメントは、高度な金融工学理論を使い、取引債券のわずかな金利差から収益を得るためにレバレッジを高くかけて、お金を得るという運用をしていました。
そして、このファンドは、ロシア等の新興市場に投資をしており、ロシアが1998年8月17日に短期国債の債務不履行を発表したことにより、投資家の間で新興国の債券・株式は危険であるという認識が急速に広がりました。
ロング・ターム・キャピタル・マネジメントは、ロシア国債が債務不履行を起こす確率は100万年に3回と計算しており、ロシアの債務不履行は一時的なものと判断して、さらに買い入れをしていました。

既にアジア通貨危機によるタイや韓国などの連鎖的な経済市況の悪化に対してアメリカやIFMが支援を行い、なんとか乗り切ってきましたが、このヘッジ・ファンドが破綻すると金融市場にも大きな影響が出る可能性がありました。
そのため、アメリカ政府が募って各銀行からLTCMに救済のお金を支援したり、FRBが利下げをする等で金融危機を乗り切りました。
ただし、この出来事によりアメリカの投資銀行の株価も大きな影響を受けており、1998年の年初から10月初旬を比べた株価は、メリルリンチが25%の下落、今は亡きリーマン・ブラザーズも40%下落し、ゴールドマン・サックスは株式公開中止となっています。

結局、この時は、アジア通貨危機(1997年7月)から始まってロシア通貨危機(1998年8月)が起き、LTCMの実質的な破綻(1998年9月)によってFRBが3回に渡って利下げを行ったことによって、ドルが下がり円が上がることで円高になっています。

今後の為替動向はどうなる?

個人的には、今回の為替介入はアメリカも介入していないということなので、日本単独で行ったんだろうと思っています。他の国からの協力が得られないと、日本だけの資金力では限界があるので、今の市況では一時的な抑制の効果しかないと考えます。
ただし、アメリカが急激な利上げを続けているので、一気に景気が冷え込めば、円高になる可能性もあるかもしれません。(今の状況では考えづらい)

ただし、先の例にあったように何が起こるかを予測が出来ても必ず的中することがないというのが金融市場です。
予測できないから怖いと思った人もいるかもしれませんが、高い利益を獲得する/高い損失を出すというリスクを負っているために、大きなダメージを受けてしまうので、そのようなハイリスク・ハイリターンな運用方法をしなければ良いという話です。
そのようなリスクを負わないためには、投資先を分散してコツコツと運用する分にはリスクを抑えられるので、そういった運用を目指せば良いと思います。
FXでもよく大きな損失を出したという話が流れてきますが、一つの取引にレバレッジを高くかけすぎているから起きてしまうので、1回の取引量を小さくして、分散して買いを入れることによって、リスク分散は可能だと考えます。

因みに私の取引状況は、145円後半の時点で全て売っておけば良かったのですが、欲に勝てず少し上で注文を入れてしまい下がったので、今は10万くらいマイナスになっています。ただ、その後に140円まで下がったところで一度、買って142円で売ったりもしています。
やはり、お金を目の前にすると判断が鈍るので、ルール化して、それを徹底的に遵守する方が良いんだろうなぁと感じています。


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