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個人的歌姫3人に見る曲の主人公と歌い手の同一感の違い

暑い暑い夏がやってきましたね〜。
子どもたちは夏休みということであちこちで元気に走り回る姿をみることができます。
老婆心ながら、宿題は計画的にやろうな〜、作文大変だよ〜、と思ったりもしますが同時に今のうちに存分に夏休みを楽しんでね!と思ったりもします。

 さて、普段は宿題でもないのに小松未歩さんやMi-Keの曲の歌詞で色々書いていますが、今回はちょっと趣を変えて歌っている人は曲の主人公は同一なのか?という点で書きます。

 私は音楽に関しては非常に狭い範囲かつそこまで深く聴くタイプではないので俎上に上げる歌い手は3人とします。
 宇徳敬子(Mi-Ke)さん、久宝留理子さん、小松未歩さん(あいうえお順)です。 

久宝留理子さんの場合

 で、この3名の中で話が簡単なのが久宝留理子さんです。
 久宝留理子さんは曲の主人公そのものです。
 曲の主人公がまんま久宝さん。久宝留理子さんの曲を聴いてるとそうとしか思えなくなります。
 当たり前過ぎというか自然すぎて長年気づかなかったくらいです。
 代表作『男』や『早くしてよ』『プライド』などのヒット作における主人公の男の見る目のなさや怒って空回っているあの感じが、まんま久宝留理子さんへのイメージなんです。久宝留理子さんのことなんて全然知らないのに……。なのに久宝さんて男運なくてプリプリしてる人と勝手に思っていたものです。
 『早くしてよ』の歌詞ある

早くしてよ 何してるのよ 何様のつもりなの

のところは歌い方も込みでらしさ全開です。
 久宝さんは作詞を担当されていることが多くて先に挙げた曲も久宝さんの作詞です。言葉による自己投影が強くなされていて、それが歌っている久宝さんと曲の主人公とがシンクロしてしまうからなのかもしれません。しかし……

小松未歩さんの場合

 小松未歩さんの場合、作詞どころか作曲も自身で手掛けていますが久宝さんほどの主人公との同一性を感じません。
 小松未歩さんの歌詞はどこか日記的と言うか、一旦感情が整理されたところから出てきた言葉が多い感じがします。処理済みの感情が表現されている曲が多い印象です。
 久宝さんの歌詞は喜怒哀楽がナマのままくっきり出ていて特に「怒」は顕著で普段から久宝さんはそのまんま口に出していそうな歌いっぷりです。
 小松未歩さんは歌詞の言葉もそうですが感情をあまり乗せない歌われ方をされるので、曲の主人公とはあるところで一線を引いてなりきらない、入りこまないようにしている感じがします。
 ただ、小松作詞からにじみ出るものはあって、いろいろあるけどなんというか恋愛強者な雰囲気が漂っています。うまくいかずに別れたり、男に振り回されたりしてるのですが「すがる」「引きずる」という感じが希薄ですぐ次の男に行けそうな感じがします。調理済みの言葉を並べている効果もあるでしょうが、クールさがあります。

宇徳敬子さんの場合

 久宝さんと小松さんはわりと対照的で色分けしやすいのですが、Mi-Keの歌い手である宇徳敬子さんがちょっぴり不思議です。
 Mi-Keの曲においては宇徳さんは作詞作曲に絡んだのは『チョット・ダウン』というカップリング曲1つだけで、基本的には男性プロデューサーがつけていた歌詞を歌っていました。
 このプロデューサーさんの性なのか、Mi-Keの曲の主人公はダメな男に振り回されて怒ったり泣いたりしているタイプがほとんどです。これだけだと久宝さんの曲の主人公と大差ないのですが、Mi-Keの曲の主人公と宇徳敬子さんはびっくりするほど混ざりません。主人公と宇徳さんは別人です。
 Mi-Keというグループがグループサウンズやフォークという昔流行ったジャンルへのオマージュソングを歌うという特殊事例だった事もあってか、Mi-Keでの宇徳さんの歌には知らないキャラのコスプレ感といか成りきるけど同化はしない(できない)みたいなところがあったように思われます。私はこの曲の主人公ではありませんよと言ってるような感じさえします。
 宇徳さんは後にソロになり、作詞作曲を手掛けるようになります。ソロの宇徳さんの歌詞は感情よりも経験、結論を綴る言葉の方に色がくっきりと出るように感じられます。
 言葉を選ばなければ「説教くさい」ところがあり、そういう言葉を耳になじませるような歌われ方をされています。
『光と影のロマン』にある

ただ年を取るだけの大人には なりたくないよね

という歌詞にはもう主人公という存在は必要なく、宇徳さんからのダイレクトメッセージでしかありませんが、こういう歌詞との方が宇徳さんの歌唱と程よくシンクロしています。絵本の読み聞かせのような感じといえば良いでしょうか。
 同時に曲の主人公とはやっぱり同化していないということであり、久宝さんや小松さんと比べても曲の主人公との距離が一番遠いと言えると思います。

まとめ

 今回話した3人以外だとどうなのかは分かりませんが、宇徳さん、久宝さん、小松さんはそれぞれタイプが違っていて面白い(私が勝手に面白がっているだけですが……)です。
 この3名は私がこれまでの人生でもっとも聴いた方達なのですが聴き始めた年代がちょっとずつ違い、Mi-Keは中学生、久宝留理子さんは高校生、小松未歩さんは大学生の時に出会いました。この点が微妙に影響しているかもしれません。
 なので私とは全く違う聴き方をされている方もいらっしゃると思いますが、私みたいなけったいな人間もいるんだなぁ〜、くらいの感覚でいてもらえると助かります。
 ということでまた次回お会いしましょう!

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