
「人を成長させる、心を動かすことの難しさ」学生メンターインタビュー(日本大学2年・文川 美英さん)
「ミチシロカ」のnote編集担当です。
北海道内で地域貢献・地域活性化に寄与する体験型教育プログラムとして2022年夏に初めて開催した「ミチシロカ」。
2024年夏には、「ミチシロカ in 北海道音更町」が開催されました。音更町での開催は2年ぶり。今夏のミチシロカは、関西大学のアントレプレナーシップ醸成プログラム「HACK-Academy」と連携したプログラムとしてフィールドワークを実施しました。
「ミチシロカ in 北海道音更町」には、大学生メンターとして参加してくれた文川 美英さんがいました。自身も昨年、学生としてフィールドワークに参加した経験を活かし、今回初めてのメンター役を務めた文川さん。その心の葛藤や成長、そして学生たちとの関わりを振り返っていただきました。

「学生メンターは私でいいのか」という不安しかなかった
ーー今回のミチシロカにメンターとして参加したきっかけを教えてください。
文川さん:東京で開催されたミチシロカ®十勝で”はたらく”ミーティングがあり、そのイベントを知って事務局のみなさんに会いたいなと思ってそのイベントに出向きました。
そのイベントのときに、ミチシロカの事務局の方々に声をかけていただいたのがきっかけです。昨年、学生として中標津町でのフィールドワークに参加していたので、そのつながりからメンターとしての参加を決めました。
ーーメンターでの参加と聞いた時、どんな印象を受けましたか。
私がメンターやっていいんだ!と思いました。メンターとして関わることに不安はありましたが、昨年とは違う立場からもう一度ミチシロカに関わる機会をいただき、挑戦してみようと思いました。
昨年に開催された中標津町でのフィールドワークに、私が唯一1年生として参加していて、そのときも不安でしたが、今回は2度目の参加でありながらメンターという役割があるのが、前回以上に不安でした。いち参加学生として参加した昨年は、自分のことを考えるのに精一杯でしたが、メンターになると周りの学生のこともケアしないといけないので、責任重大です。
事前に、前回メンターをやられていた後藤さんや宮本さんと話す機会がありました。メンターはどんなことをやるのか、メンターという立場は何のためにいるのか、というのを聞いたりして準備を進めました。
ーーメンターとして、工夫したこと・心がけていたことはありますか?
文川さん:メンターが「答えを出さない」というスタンスが重要だと聞いていました。学生が自分自身で考えられるよう、質問の仕方や話の引き出し方を工夫しました。私も音更町のことを詳しく知っているわけではなく、経験もまだ少ないので、「自分だったらどう感じる?」と問いかけることで、彼らが状況をイメージしやすくすることを心がけました。

壁打ち役として一言も発せられず。苦しくて、苦しくて、苦しすぎた
ーー学生たちとの関係はどのように築かれていきましたか?
文川さん:最初は距離感が難しかったですね。学生側とほぼ同じ年齢で、最初はみんなもどう接すればいいかわからなかったと思います。少しずつ、グループごとに話をしたり、宿泊施設で一緒に時間を過ごしたりする中で、自然に距離が縮まっていきました。
また、毎日、全員に一言でも声をかけるよう心がけていて、いつの間にかお互いに気軽に話せる・話しかけてもらえる関係になったのが嬉しかったです。
ーー活動中に何か苦労したことや、葛藤を感じた瞬間はありましたか?
文川さん:中間発表の前日に役場チームのみなさんから壁打ちを依頼されて、そのときに一言も喋れなかったんです。チームの意図が汲み取れなかった。それに対してどういうフィードバックしたらいいかわからなかった。本当に一言も返せなかったんです。結局、そのときは同じく事務局側で参加していた宮本美来さんがフィードバックしてくれました。私は何もできなかった。苦しくて、苦しくて、苦しすぎました。(笑)
その翌日、いざ中間発表の日に、事務局の飯嶋さんから「文川さんからも全てのグループに質問をしてね」と言われ、そこから質問できるよう各グループの中間報告を集中して聞いて、メモをして、質問を投げかけました。それが吹っ切れるきっかけになったと思います。
実は、中間発表のあと、お母さんと電話したんです。その前日の苦しかったことや、それをなんとか乗り越えたことを報告しました。(笑)
また、葛藤を感じた瞬間としては、メンターとして動いているときに、学生と大人の間の立ち位置だったので、自分がどう動いたらいいかわからなかったタイミングが多々ありました。
大人の方は全体を俯瞰して、自分はどう動けばいいのかを即座に判断して行動していることに気づきました。そこからは学生と大人の間に立つ学生メンターとして、どのように動くべきかを少しずつ掴めたと思います。
ーー活動中、特に印象に残っていることはありますか?
文川さん:学生たちと中華料理屋で一緒にご飯を食べた時間がとても楽しかったです。そこから少し距離が縮まって、お互いリラックスして話せるようになりました。また、最終日のプレゼンでは、リハーサルのときには不安だった学生たちが、見事に発表をまとめていて、本番での成長ぶりに感動しました。特に、るなさんが自信を持って発言している姿には驚きました。
また、印象に残った人として一番思い浮かんだのは、事務局の川瀬りえさん。川瀬さんは、福島県でNPOの立場からまちづくりや学生支援の取り組みをされている方で、学生に対するフィードバックも、これまでの自分の経験を通じて、伝えることができるんだなと身近で学ぶことができました。りえさんの言葉のパワー、重みがすごかったです。



「人を成長させる」「心を動かす」には?その難しさに気づいた
ーー今回のプログラムを終え、参加した学生たちに期待することはありますか?
文川さん:ミチシロカでの出会いや経験を大切にしてほしいと思っています。何をしたいかわからない、何を目指したいか迷っている人もいると思いますが、ミチシロカで出会った人たちを思い出し、その姿からヒントを得てくれたら嬉しいです。この経験がきっと、これからの彼らにとって支えになると思っています。
ーー今回の経験を通じて、ご自身の意識にも変化がありましたか?
文川さん:はい、ミチシロカでのメンター経験を通じて、自分の役割について深く考えるようになりました。今回のミチシロカは、正直ちょっと悔しいという気持ちです。経験が足りないし、人を成長させるというか、心を動かしたりする方法を知らないなと感じた回だった。そういう意味で、「人を成長させる」「心を動かす」、その難しさに気づきました。
だからこそ、もっと勉強して、人の心に響くようなサポートができるようになりたいです。いま考えていることは、「映画」をつくりたい、ということ。なぜ映画なのかというのは言語化するのは難しいのですが、自分でつくったことや自分の経験で、人の心を動かすことができないか。これからの人生をどう歩んでいくかのヒントを与えられるといいなと思いました。
また、ミチシロカでの人とのご縁・つながりはこれからも大切にしていきたいなと考えています。
ーー最後に、ミチシロカを他の学生に勧めるとしたら、どのような点を伝えたいですか?
文川さん:ミチシロカには、その場所でしか得られないものが詰まっています。人との出会いや、そこでの体験は本当に特別で、そうした時間を過ごせる機会はなかなかないと思います。何かを始めてみたい人にとって、踏み出す一歩にしてほしいと思います。

ミチシロカの名場面集をX、Instagramで更新
ミチシロカ in 北海道音更町には、プログラム中カメラマンが帯同して、学生や町の様々な様子を撮影していました。現在、SNS(X・Instagram)で #ミチシロカ名場面集 として更新中です。
ぜひフォローしてお楽しみください!
ミチシロカ名場面集
— ミチシロカ【公式】 (@michishiloca) December 7, 2024
【フィールドワーク in音更 2024年夏】
★2日目★
音更町役場のまちづくり推進課でお話を伺う古谷さんと川上さん、メンターの文川さん。みんなの表情が実に真剣です。 pic.twitter.com/K2JG5dsicS
ミチシロカ公式ウェブサイトもぜひご覧ください。