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前進

かれこれ30年以上ピアノ教師をしています。その中で障害児レッスンは現在二人。一人は、自閉症の子。年少さんから見ていてもう4年生になりました。もう一人は、入会数ヶ月のA君は、中学生。知能障害です。

お母様も音楽家でいらっしゃいます。実は昔からの知り合い。

A君はかなり重度の障害と言えるのではないでしょうか。レッスン初日に「どれくらいの学齢をイメージすれば良いですか」と尋ねると、 「年少かそれ以下くらいです」と。

A君は穏やかで大人しい、笑顔の可愛い子です。特徴的なのは、例えば質問に対し、答えを言う、と言うことがありません。

「暑いね」と言うと 「あついね」  「この歌知ってる ?」と聞くと「このうたしってる」 と言います。同じセリフをリピートするのです。

いつもレッスンでは、私の伴奏で一緒に歌を歌い、その後、そのメロディをピアノで弾く、ことをしています。十曲以上は毎回やります。

今日は、新たに、譜面上の音を読んでそれを弾くことをいたしました。これがちょっとした前進でした。

と言うのは、毎回レッスンでは、歌う、鍵盤を鳴らす(打鍵)、の二つがメイン。目は鍵盤を見ています。しかし今回は、楽譜を目で追いながら。弾くということをいたしました。要は、目を楽譜と鍵盤二箇所を見ながら弾くわけです。目線を移動させつつやらねばならない。この点がすごく前進でした。お母様も、喜んでくださいました。

そもそもピアノ演奏は、目と耳と手と足を同時に別々な動きをしながら行います。楽譜を見ながら、弾く、そして耳でそれを確認する。複数を同時に行う物です。それがちょっと出来てきたかな・・・と思いましてとても嬉しかったです。少しずつ、これに慣れていけると嬉しいですよね。

レッスンでの小さな発見を、新しいチャレンジにつなげていけたら・・・。

伴奏付けも、ご希望のようなので、次回取り入れようと思います。

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