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ベトナム・ホーチミンで感じた「変わったこと、変わらないこと」


自分の中でなにか変化を感じると「嬉しさ」と「懐かしさ」がゆっくりと交じりあう。

10月中旬、ベトナム・ホーチミンに男10人で3日間行ってきた。まだ暑くて半袖短パンで過ごせるくらいで、夕暮れに激しいスコールで街中が濡れる、そんな時期だ。何か特別な目的がある旅じゃないし、ただの娯楽の旅として行った。お店にいく度に男気ジャンケンをして勝ったメンバーが奢る。こんなルールだけ決めていた。そして、僕は総額6万円近くも奢ることになったから苦い思い出になったのだが、それ以上にベトナムがより身近になったし、好きになった。


今回の記事のテーマは「変わったこと、変わらないこと」。5年前、ベトナムの首都ハノイに行ったことがあるのだが、今回のホーチミンの滞在でベトナムに対するイメージがガラリと変わった。


「変わったこと、変わらないこと」

入国審査官はみんな軍服を着ていて、街中には大量のバイクがイナゴのように駆けめぐる。大気汚染のランキングで上位につらねるベトナム。多くの人がマスクをしながらバイクに乗っている。横断歩道の中までバイクで渋滞している。

「信号の意味ないね」

なんて会話しながら、大量のイナゴ集団を避けて道路を渡って、サンドイッチ屋さんで美味しい「バインミー」を食べる。ハノイではあまり感じなかったけれど、ホーチミンは町並みにフランスの面影がある。

ホーチミン市内から1.5時間くらい離れたクチトンネルに行けば、ベトナム戦争時に使用された250kmにも及ぶ地下通路がまだあって、実弾を打つ体験もできる。

「銃弾が速すぎてみえないし、衝撃はすごいし、爆音で耳が痛い…」

この国には戦争の爪痕がまだそこにはくっきりあった。ベトナムはずっと戦ってきた国なのだ。戦争とは遠い世代だけれども、銃の冷たさと匂いがリアルで怖い。

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ベトナムについて調べている中で驚いたのは、世界幸福度指数でベトナムが【5位】にいることだ。NHKの【映像の世紀】を見すぎたのか、ベトナム人は不幸に感じている方が多いと勝手に思っていた。ああ、なんと申し訳ない...。ファクトフルネス…。事実データがあると、見え方はガラリと変わる。人間なんてそんなものだ。


「ベトナムってどんな国?」

ベトナムに駐在したことがある友人に聞いてみた。

「とにかく家族を大切にしている。付き合って半年くらい経ったら両親を紹介されるよ。あとは選挙の投票率がすっごい高いね」

会社ではみんな17時に帰って家族と一緒に過ごすらしい。選挙も調べてみると、99%近くの驚異的な投票率で近年は大体世界1位だ。国ができた1946年の時も86%ある。愛国心家族愛も強い国。そして、幸せに感じている国なのだから、なんと素敵な国なのだろう。


ベトナムには、日本の企業も多く、社会起業家と言われる人たちも多い。有名なPizza 4P’sというピザ屋さんにも行った。料理も本当に美味しかったが何よりお店を作った背景が素敵だ。

"Pizza 4P’sが大切にしているのは『自分自身の心の在り方』です。結局、モノやコンディションで人は満たされません。環境よりも、まずは自分自身。一人一人が自分を愛して初めて、目の前の人を愛することができ、幸せにすることができる。そうすると、自然と心に余裕ができて地球環境のことを考えることができるようになります。僕たちに関わる人々の心の在り方にコミットすること。それが、僕たちの最優先事項です。”


少しだけ僕の昔話をする。

2013年。もう5年も前になるが、1年間の世界旅行の序盤にハノイに訪れた。3年の会社勤務を経て薄れてしまった「自分の感情」とか「自分らしさ」を取り戻していた頃だ。そして何よりとにかく楽しい日々を過ごすことに必死だった。自分にとって楽しい旅になればいい。楽しい出来事が起こって、いい文章を書きたい。海外の旅行記のようなものを書くことにやっきだったので、日々ネタを探すことに必死に過ごした。ハノイからトレッキングの聖地「サパ」で景色を楽しみ、日本の友人とともにたこ焼きを作りながら、楽しい日々を過ごしていた。そして、それで十分だった。


ただ、今の心境は少し違う。「楽しい旅をしたい」。それは確かに変わらない。男10人で旅をするのは5年連続やっているし、このスタイルも面白い。ただそれに加えて、訪れた国のことをもっと理解したいし、歴史も宗教も民族も価値観も分かりたい。そして、自分が旅した経験を元に何かに貢献をしたいという欲望が出てきた。自分だけの経験にしてしまうと、自分だけで消費しているだけというもどかしさが残るのだ。そして、自分が何かの役に立ちたいとか貢献したいということ自体が僕を突き動かす衝動になっている。


自己の満足や幸せは自分の中では完結しない。どこかで誰かの存在が必要になる。そして、誰かを満足させ、誰かに貢献をしたいと思うようになる。旅はその誰かというつながりを簡単に作ってくれる。それは物理的にも、心理的にも。前回訪れたときは、たぶん自分自身があまり満ちていなかったから、自分のことだけを考えていたのだが、今回の旅は少しは他のことを考える余裕があるようだ。

ベトナム自体もこの数年で変わったらしい。経済成長率7%でどんどん新しい企業ができている。ベトナムも変わっていくし、自分も変わっていく。嬉しさと懐かしさを感じながらベトナムビール「333」の缶をあけることにする。

終わり。

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今回一緒に行った6年もシェアハウスをしたメンバーたち

引用記事:

幸福度ランキングの指標

自分の幸せが、社会の幸せになる。ベトナムのピザ屋に学ぶサステナビリティの本質 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD



ありがとうございます!また新しい旅に出て、新しく感じたことや学びを言葉にできればと思います!あるいは美味しいお酒を買わせて頂きます。そして、楽しい日常をみなさんにお届けできれば。