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「WHYから始めよ!」サイモン・シネックから学ぶ事業開発のヒント

michinaru株式会社で学生インターンをしている若林です。

「変化を起こす挑戦者を創る」というミッションの元、新しい事業を生み出す人や組織づくりについて日々勉強をしています。

今週はサイモン・シネック著の「WHYから始めよ!」という本を読みました。

サイモン・シネックさんを、TEDのこちらの動画で知っている方も多いのではないでしょうか?

本書はTEDで記録的な再生回数を誇るこちらの動画から生まれた名著です。本書はこの動画をより詳しく、発展させた内容となっておりますので、お時間のある時に、是非動画もみていただきたいです。

読者の皆様も自分の内側にある想い(WHY)から事業を生み出してください。といった言葉を一度は聞いたことのある人が多いのではないでしょうか?

本書を読むことで事業開発を「WHY」から始める理由を深く理解することができると思います。

今回の記事では「WHYから始めよ!」をより事業開発に応用しやすい形でまとめ、解説していきます。

そのため、なぜ「WHY」から始めることがそんなにも大切なのか?
という問いのもと

1.「WHY」によって意思決定が下されるから。
2.「WHY」の力は「キャズム」を超えるために不可欠だから。
3.「WHY」は組織の信頼を生み出すから。

の三つのトピックで記事を書いていこうと思います。

1.「WHY」によって意思決定が下されるから。

本書では「WHY」「HOW」「WHAT」をそれぞれ、

WHY:自分が今の仕事をしている理由。しかし、「お金を稼ぐため」という理由は含まれず、仕事の目的、大義や理念のこと。
HOW:「価値観に差異を持たせる」「独自の工程」「ユニークな販売計画」など、自社商品の生産や販売をより良く行うための方法のこと。
WHAT:企業や組織がしていること。そして、会社や組織の中で自分がどんな職務に就いて、何をしているかということ。

と説明しています。

著者であるサイモン・シネックは大半の組織や人間は「WHAT」→「HOW」→「WHY」の順番で考え行動し、コミュニケーションをはかっているが、傑出した企業やリーダーは逆だと言っています。

つまり、「WHY」→「HOW」→「WHAT」の順番で考え、行動し、コミュニケーションをはかることが成功につながると主張します。

彼はこのパターンに「ゴールデン・サークル」と名を付けました。そして、「ゴールデン・サークル」は生物学に基づいたコンセプトだと説明しています。どのように、生物学と関係しているのでしょうか?

WHYから始めよ

人が意思決定をするときに使う脳みそは、大きく分けると2つに分類することが出来るそうです。

一つはホモ・サピエンスの脳の中で、もっとも新しく出現した新皮質です。この部位は合理的で分析的な思考や言語機能を担っており、「ゴールデンサークル」でいう「WHAT」の部分に相当します。

そして、もう一つが大脳辺縁系です。この部位は、信頼や忠誠心といった感情の機能をつかさどっており、行動や意思決定などの機能もあります。「ゴールデンサークル」でいう「WHY」や「HOW」の部分に相当します。しかし、言語をつかさどる能力がないのです。

WHYから始めよ2

つまり、人の意思決定は基本的に感情によって行われており、その決定をより合理的なものにするために言葉を捕捉的に使っているということです。

だから、いくら事実やデータが揃っていて、長い時間をかけられたとしても、直感にしたがって合理的とはいえない決断を下すことがあるのです。

しかし、大脳辺縁系には言語をつかさどる能力がないために私たちはコミュニケーションをする時に、その意思決定の理由を感情ではなく、新皮質で扱うような「データ」や「機能」といった言葉に変換してやりとりをしてしまいます。

事例としてApple社の商品を思い浮かべていただければとてもわかりやすいと思います。

Apple社は製品を作る目的や信念といった「WHY」を人に届けるのが非常に上手い会社です。「WHY」は人々の感情を動かし、「購入をしよう!」という意思決定を促します。

こちらはAppleが1984年にアメリカのフットボール最大の大会、スーパーボウルのテレビ中継で放送した初代Macの有名なCMです。

この広告には、値段がいくらで、どのような機能が搭載されていて、どのくらい便利なのか。といった「WHAT」の情報は一切乗っていません。代わりにあるのは、Appleがどのような想いを持って、商品を作り、どのような世界を目指したいのか。といった「WHY」を語る情報です。

この広告に心を動かされて、Macを買った人は多くいると思います。

しかし、購入した人たちにどうして買ったのか?と尋ねると、不思議なことに彼らは「デザインがシンプルだから」「ユーザーインターフェースがいいんだよね」といった、機能を語り始めるのです。

それはなぜかというと、大脳辺縁系には言語つかさどる能力がないからです。感情を動かされて意思決定をしたとしても、言語化することが非常に難しいため、具体的な理由をどうにか機能や価格といった要素に探して、あたかもそれが重要な理由であったかのように語ってしまうのです。

だからこそ、私たちはその脳の仕組みを理解して、難しくても「WHY」を言語化し語ることで、人々の心を動かしていかなくてはいけないのです。

自分たちがなぜ、その事業を行うのか?といった「WHY」を明確にし、一貫した行動で市場に届けることが出来れば、ユーザーの心を動かすことが出来ます。

しかし、反対に「WHY」を曖昧にして事業開発を行うと、低価格や特徴の数、サービスや製品の品質といった操作で差別化をはかり、感情的なつながりのないままユーザーに届けることしか出来なくなってしまいます。

だからこそ、「WHY」から事業開発を行い、その「WHY」を中心に商品をつくり、顧客に届けていくことが大切なのです。

2.「WHY」の力は「キャズム」を超えるために不可欠だから。

「WHY」は「キャズム」を超える上でも重要です。
「キャズム」とはアーリー・アダプターとアーリー・マジョリティーの間に存在する溝のことで、多くの新規事業はこの溝を越えられずにいます。

それぞれの段階の顧客の特徴については下の記事がとてもわかりやすいです。ぜひ読んでみてください。

企業は新しい商品を市場に出す際にはキャンペーンを行い、少しでも多くの顧客に届ける努力をします。しかし、キャンペーン時の安さやサービスの付加価値に惹かれて商品の購入を決定した顧客が企業に対して忠誠心を持つことはありません。

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引用:BtoBマーケティングラボ編集部「キャズム理論とは?」より

先程のApple社のように、商品に対して感情的なつながりを感じてもらわないと、顧客が商品の評判を広げてくれることはなかなか起こりづらいです。

しかし、優れた商品がたくさんあり、SNSも普及している現代においてキャズムを超えるためには、クチコミが欠かせません。

そのため、「WHY」をしっかりと公開し、理念や志に共感をしてくれる人を探すことが大切です。

あなたの理念に共鳴し、日々の生活であなたの商品を使う顧客は、その商品を通じて、彼ら自身の人生の目的、大義や信条を外の世界に示しているのです。だからこそ、自分のことのようにクチコミをしてくれるし、信頼関係が築かれていきます。

ここで、テレビ番組を録画するサービスの広告のキャッチフレーズを紹介します。一つは「WHAT」(機能や利便性)のみを紹介するものと、もう一つは「WHY」(製品の生まれた理由)から紹介するものです。

「WHAT」のみを伝えるキャッチフレーズ

新商品ができました。
テレビの生放送を一時停止します。
コマーシャルを飛ばせます。
生放送の巻き戻しもできます。
あなたの試聴傾向を記憶し、あなたが設定しなくても、
代わりに番組を録画します。

「WHY」から伝えるキャッチフレーズ

あなたは、生活の全てを自分でコントロールしたいと思うタイプですか?
それなら、あなたにぴったりの製品があります。
テレビの生放送を一時停止できます。
コマーシャルを飛ばせます。
生放送の巻き戻しもできます。
あなたの試聴傾向を記憶し、あなたが設定しなくても、
代わりに番組を録画します。

「WHY」から伝えるキャッチフレーズでは、特徴や利便性が「WHY」を実現する具体的な証拠となっていますよね。なぜこの製品が誕生したのかが述べられることで、顧客は企業と理想の暮らしを共有することが出来るし、感情的に惹かれて購入をします。

このように、「WHY」を伝え信念や理想を共有できる人を見つけて、販売をすることでクチコミが生まれやすくなるし、それがキャズムを超えることにもつながります。

単に誰か(大衆)に商品を売るのではなく、「WHY」を共感できる仲間を探してみてください。

3.「WHY」は組織の信頼を生み出すから。

最後の章ではリーダーが明確な「WHY」を持つことが、組織には必要不可欠であることを紹介していきます。

先程、提示した「ゴールデンサークル」は2次元的に表していましたが、これを組織運営に当てはめた時には3次元になります。

WHYから始めよ3

円錐形は会社や組織(もともと階層で組織されたシステム)をあらわしており、システムのトップ、つまり円錐形の頂点は「WHY」意味しています。これがリーダーであり、会社の場合はたいていCEOです。

その下のレベル、「HOW」には幹部がおり、彼らはリーダーのビジョンに感銘を受け、それを実践する方法を知っています。

「WHY」はただの信念にすぎず、「HOW」はその信念を実践する手法であり、「WHAT」はそうした行動の結果です。「WHAT」のレベルで企業の実力が試され、真価が問われます。そして従業員の大半はここにいて、具体的な事柄はすべて「WHAT」の階層で起きています。

小規模の企業であれば、「WHY」から「WHAT」までの物理的な距離はありませんが、大きな企業になると「WHY」から「WHAT」はかなり遠い場所にあることになります。

そのため、カリスマ性のあるCEOが企業のビジョンを社内外に向けて発信し続けるか、魅力的な「WHY」が明文下され企業の文化として定着していることがなければ、「WHAT」の階層にまでたどり着くことはありません。

「WHY」を伴わない、組織の行動には一貫性がなく顧客の信頼を得ることが出来ません。また、社内で働く人々にとっても、なんのために行っているのかがわからなくなるため、仕事や企業に対する想いは小さくなってしまいます。

しかし、「HOW」や「WHAT」の階層の人々がいなければ「WHY」はただの信念となり、世の中にインパクトを残すことはできません。

明確な大義、信条といった「WHY」がリーダーによって示され、それと一貫する「HOW」と「WHAT」が実践されることにより、組織は初めて顧客と信頼関係を築くことが出来るのです。

「WHYから始めよ!」を読んでみて

最後まで読んでいただきありがとうございました。今回の記事では

なぜ「WHY」から始めることがそんなにも大切なのか?
という問いのもと

1.「WHY」によって意思決定が下されるから。
2.「WHY」の力は「キャズム」を超えるために不可欠だから。
3.「WHY」は組織の信頼を生み出すから。

の三つのトピックで記事を書いていきました。

「WHY」から始めて「HOW」や「WHAT」へと歩みを進めていくことで、事業開発は以前よりもっと上手くいくようになります。

なぜ自分はそれをしたいのか?なぜ、自分はそれに惹かれるのか?

といったことを自分に問いかけ、自分のことをもっとよく知り、自分と仲良くなってみてください。そうすることで生まれた「WHY」から始まる新規事業は顧客やチームのメンバーを魅了するものとなるでしょう。

この記事が事業開発に挑戦する皆様の背中を少しでも押してくれたら嬉しいです。

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