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意表を突いてペースを掴め

2週間ほど前、豪州ブリスベンにてスマブラのリーグ戦に出場した。街は平和は取り戻しているものの、未だに大規模な集会はできない。そこで、数人のプレイヤーでリーグを作り、誰かさんの家にお邪魔して総当たり戦を行う。これを数週間かけて行って最後に1位を決めるのである。スマブラはしたい、でもイベント会場は使えない・・・そこで生み出された素晴らしいアイデアだ。

ここからはちょっとマニアックな話にはなるが、そのリーグ戦で僕が格上の相手と対戦していたときのことである。僕の使用キャラはスネーク、相手キャラはフォックス。マッチアップとしてはこちらが不利だと思われる上、実力差もあってかなり厳しい対戦となった。何とか食いついてダメージを与えていくものの、あっさり先にストックを奪われてしまう。そして、僕のスネークが復活台から降りてくる、その時だった。

設置していたC4爆弾が爆発したのである。本来このC4爆弾という技はスネークが手動で爆発させることができるのだが、28秒の時間経過によっても爆発する。時間経過での爆発の場合は手動爆発と異なりリモコンを押すモーションもないため、避けることは難しい。爆弾を設置していたのをすっかり忘れていたため本来は僕のチョンボではあったのだが、これにより爆弾の近くにいた相手のフォックスは撃墜。相手にとっては予想外の事象だったため、爆発を避けることはできなかったのである。

スマブラのガチ対戦では最終的に勝った試合のセット数で勝敗が決まる(大体二本先取か三本先取)。最終的にセット数では負けてしまったのだが、前述した試合のセットは取ることができたため、我ながら検討したといえる。


相手の意表をついて、ペースを自分のものにするというのは、格上を倒す際に非常に有効だといえる。


ここで、週刊少年ジャンプが誇る人気バトルマンガ、『HUNTER×HUNTER』18巻の内容に着目させていただきたい。

(※これ以降は『HUNTER×HUNTER』のネタバレに関する記述を含んでいますので、ご注意ください。)



ゲームの中に入ってカードを駆使しつつ戦う、グリードアイランド編。主人公であるゴンは、このパートのラスボスともいえるゲンスルー、通称爆弾魔(ボマー)と対決することになる。ゲンスルーはゴンにとってかなり格上といえる実力者。ゴンの師匠であるビスケも、ゴンが負けることを前提で作戦を考え実行しようとしたのだった。

ゲンスルー1

出典:『HUNTER×HUNTER』コミックス18巻より

しかし、やられっ放しはムカつく、と何とかしてゲンスルーに一泡吹かせようとするゴン。そしてこの勝負の行方を大きく変えたのは、ゴンの考えたとっておきの秘策だった。

それが、これ。

ゲンスルー2 (1)

出典:『HUNTER×HUNTER』コミックス18巻より

『HUNTER×HUNTER』の世界では、「念」と呼ばれる能力を用いてバトルが繰り広げられる。様々な応用が可能なこの「念」だが、基本的には体の部位を念で強化することによって、より強力な攻撃が可能となる。念での攻撃を捌くには、おなじく念で強化された体の部位で防御する必要がある。でないと致命傷を負ってしまいかねないからだ。念に対する攻撃には念でガードする。これが鉄則である。

しかし、ゴンはゲンスルーに両手を念の攻撃で爆発させられた時、最低限右手を守れる程度に念でガード。左手は完全に捨て、残りの念を足に集中させ、逆にゲンスルーを攻撃したのだ。両手に全ての念を集中させていたゲンスルーは当然ガードできず、大きな痛手を負うことになってしまった。「腕をガードしない」という狂気的な策が、相手の意表を突いたわけである。

ゲンスルー3

出典:『HUNTER×HUNTER』コミックス18巻より

ここでとどめを刺すとまではいかなかったものの、ゲンスルーがゴンの気迫に押され弱気になり、戦いの流れが明らかに変わったのはこの奇策がきっかけだといえるだろう。よい子はマネしないでね。

確かにこれはリアルの話ではないのだが、漫画にだってリアリティは必要だ。現実離れした部分の中に、現実に即した要素があるから入り込める。何の前触れもなく栽培マンが魔人ブウを倒したらつまんないだろう。特にこの『HUNTER×HUNTER』という漫画には、現実に当てはまる言動や状況が多く存在する。だから、これもそうなんだ、と考えたい。

読者の皆さんにも、格上と戦う、というシチュエーションがビジネス、スポーツあらゆる勝負であるかもしれない。基本を疎かにしないのはもちろんだが、相手の予想だにしない奇策というのにも着目してみてはどうだろうか。


ちなみに前半で述べたスネークのC4爆弾の特性については過去記事に書いてあるので時間のある方はこちらも参考にしていただけたらありがたい。


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