人生指標の再定義

 毎年、1日を費やして自分自身を振り返る時間を作る。それは、自分自身の人生の方向性を再定義するためだ。要するに「過去」「現在」を振り返り、「未来」に向けての行動を見出す作業だ。
    
「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
 言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
 行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
 習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
 性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。」
 by マザー・テレサ
 
 私は、このマザー・テレサの言葉が好きだ。なぜなら、私たちの人生を決めるすべての要素が含まれていると感じるからだ。

 私たちは、行動に移すとき、必ず目的がある。そして、目標を決め、最善のプロセスを実装し、実行する。このリサイクルは、どんな状況下でも同じである。しかし、自主的に目標を設定することのは難儀であり、この目的設定リサイクルに疑問を感じている。そこで、今年は、私の人生経験の中でかかわることが多く、影響を与えられた事象を3つ挙げ、振り返り学ぶことにした。

 1点目は、バスケット漫画「スラムダンク」だ。この漫画は、私がバスケットを始めたキカッケとなり、小学校から高校まで、バスケットに熱中することができた影響力の高い漫画である。『スラムダンク勝利学』という本がある。この本は、どのような戦略、戦術を投じ、目標達成に向けて取り組むべきかをわかりやすく書いてある。是非、今の子どもたちにも読んでほしい本である。やはり、影響を与えられた言葉は、安西先生の名言「あきらめたらそこで試合終了だよ」である。この言葉は、絶望的なあらゆるシーンに陥ったとき、今でも心の励みとなっている。

 2点目は、野球界のレジェンド「イチロー」である。私は、野球が大好きな人間ではないが、なぜか、国内外の仕事でよく「イチロー」にかかわる仕事が多かった。イチローについては、『イチロー流「最善主義」で夢を叶える』という本を読んだ。イチローは、朝昼兼用のブランチにいつもカレー食べていたことは有名な話である。また、寝る時間、起きる時間、食事の時間など、全てのスケジュールを決めて管理するなどの驚異的なルーティンワークを実践していた。この習慣化こそ、イチローの最高のパフォーマンスを引き出せる手法である。漫画家、富樫義博さんが描いている漫画「HUNTER×HUNTER」のある場面の言葉を思い出した。「命を賭けることと、命を軽く扱うことは似ているようで全然違うぞ!」「生死の境で生きている奴は死んでもいいなんて絶対思わない。毎日完璧な体調管理スケジュールをこなしながら致死量ギリギリの毒をいつでも躊躇なく飲める奴が生き残るんだ」。まさに、結果をだし続けたイチローのライフスタイルに最も似合った言葉だ。

 最後に3つ目は、「ジャニーズ」である。正直、「ジャニーズ」というアーティストを崇拝する感情は皆無に等しい私だが、なぜか、友達、同僚、仕事などで「ジャニーズ」とかかわる機会が多かった。『ジャニーズは努力が9割』という本を読んでジャニーズのアーティストについて学んだ。簡潔に本の内容をまとめると、厳しい競争を勝ち抜いた、彼らの努力や人生哲学が書かれている。昨今、話題の中居正弘の光と影の生き方も書かれている。「ジャニーズ」から教わったことは、徹底的なファン志向である。昨年、ご縁があり、「ARASHI Anniversary Tour 5×20」のライブに行った。歌もダンスも素晴らしかったが、私が一番印象に残ったのが、嵐メンバーのコメント力である。それは、1言1言から発せられる嵐の言葉には、深みがあり、ファンに向けての感謝という気持ちが伝わってくるコメントであった。

 結論から言うと、目標達成をするには、どれだけプロフェッショナルにものごとに取り組めるかだと感じた。この結論は多かれ少なかれ正解だろう。しかし、誰でもが何かに対して尖ったものを持ってはいないし、資本主義という競争社会から1番にはなれない。私もその1人だ。そこで私がだした答えは、複数の能力を習得ことで戦うフィールドのパイを拡げ、社会に挑むことである。例えば、歌のフィールドでジャニーズと戦っても、太刀打ちできない。もしかしたら、「歌×世界×経済」の能力を習得していれば、歌のフィールドでジャニーズに勝利できるかもしれないということだ。さらに異なった言い方をすると「違う角度からものごとを見極め、戦略を考えられる」ということだ。今後はこのような複数の能力を習得する考え方は、重要であると自負している。
 イギリスのオックスフォード大学によると、今後、コンピューター技術革新が進歩すると、10~20年後には現在の仕事の約半分が機械に奪われるといわれている。このような時代には、あらゆる能力を習得していかないと生きていけない。複数の能力を発揮することにより、あらゆる角度からの戦略立案力向上効果も期待できることに加え、ある仕事が失業しても、他の能力を習得していれば、リスクヘッジにもなる。

 私の仕事は、「戦略」、「戦術」、「クリエイティブ」と世の中に前例のないことに取り組む機会が多い。その分、苦労が多く、わからないことがあれば、自分で学び答えを導きだすことが多い。結果、幅広い知識を習得するため、毎年50~70冊の本を読んでいる。

 現在の目的設定リサイクルとは、目的があり、それに対しての解決策を見出すトップダウンの仕組みである。しかし、今後は、解決策を多彩にもち、時代の変化とともに目的を切り替えていくボトムアップの仕組みも必要だと感じる。

 ボトムアップの仕組みは、目的に対しての道のりが遠回りになる。しかし、それはそれでいいと感じている。なぜならば、どんな時も目的を達成した瞬間よりも、目的を達成するプロセスのほうが、自分自身の血となり肉となり、今後の人生に活かせると体感しているからである。個人的には、このような多岐にわたる道のりを螺旋状に歩み「人生の道草」を楽しみたいと思っている。

 最後に普遍的な言葉で締めくくりたい。

「人は歩みを止めた時に、そして挑戦を諦めた時に年老いていくのだと思います。この道をゆけばどうなるものか、危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。
踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ!行けばわかるさ!ありがとう!」
  by アントニオ猪木

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?