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『ヨガのポーズを「環境」として捉える理由①』

サステナブルヨガ®︎は、「ポーズ=環境」として、「ポーズの変化=環境の変化」として捉え、変化する環境と自分との持続可能な関係性の築き方を、練習を通して育んでいきます。

ではこの練習を続けることで、どういったことを身に付けることが可能になるのでしょうか?いくつかある要素の中の一つをお話しさせて頂きます。


例えば、トリコアーサナ(三角のポーズ)をある一つの環境として、アドムカシュヴァナーサナ(下向きの犬のポーズ)をまた異なった環境の一つとして、といった形で捉えます。

その一つ一つのポーズをとっていく中で、自分の内側(身体、精神共に)を客観的に観察し、どんな感覚であるか気付いてあげ、気付いたことをもとにご自分で調整をする、というサイクルを継続して行なっていきます。

このとき調整をする道標となるのが、「心地良い」という感覚です。反対に言うと、「苦しい・痛い・辛い」といったような感覚=自分で調整を加えるサイン、と捉え強度を変えてあげます。ポーズという環境の中に自分の身体を配置したときに、身体と呼吸と心の声を聴きます。「心地良い?」と。その声をよく聴きながらコミュニケーションを取り変えていってあげ、ずっと我慢をして苦しい感覚にならないよう変化を続けていきます。

「心地良い」という感覚を調整の起点としている理由は、皆さんも普段の生活で感覚的におわかりだとは思うのですが、「苦しい・痛い・辛い」という感覚がずっと続いているとヨガの練習を継続しづらく、心身共に怪我をする可能性というのも高まる、つまり持続可能ではないものになってしまうからです。

より具体的に考察していくと、サステナブルヨガ®︎で行うこの「観察→気付く→行動(調整する)」というサイクルのうち、

「観察→気付く」

この部分は「瞑想」の練習でもあります。そして「瞑想」したことをもとに「行動」する。つまり、

「瞑想」+「現実でのアクション(行動)」

というサイクルをヨガのポーズを通し反復して練習をしていきます。そうするとやがて日常生活の他のことの中でも自然とこのサイクルが身に付きます。ヨガマットの上にいることと普段の生活を過ごすことは、自分の身体が存在する場所が移動しているだけということに気づいていくのです。

このサイクルを応用する「環境」というのは、友人関係、家族関係、会社、学校、国籍、人種、性別、セクシャリティ、社会、自然環境など他にも多様な意味での「環境」があり、ご自分がそのときそのときいる「環境」の組み合わせは多様ですし、常に変化しています。

「心地良さ」を作るということに関して自分が出発点にはなりますが、自分だけで生きているわけではないので、その変化する「環境」を思いやり、コミュニケーションを取りながら、共に常に新たな関係性を発明していく。

今回とったポーズで例えばトリコーアサナというポーズ一つとっても、空の方を見ていくときに顎を引きながら見ていっても上を見ることが苦しすぎたら地面の方を見ればいいですし、前足の膝裏が苦しみや痛みがあるようでしたら少し曲げればいいというように、それぞれのポーズでもバリエーションを複数作ることができるので、ご自分にとって安全で安定して心地良いポーズでありつつ、しっかりとそのポーズのエネルギーの流れを作れるように変化させていく。最初は心地良さを生み出せないかもしれませんが練習を続けることによってそれができるようになってきますし、そのポーズがどのようなことをしているのか、適切なアライメント、身体の使い方など、ポーズ(環境)への理解も深まり、ご自分の心身も変化してくるので、それに合わせてポーズの配置を変えてあげる。そうしてポーズと自分との持続可能な関係性を育んでいく。

これを日常に置き換えると、例えば友人と喧嘩をしたときに、自分はこう思っていた、そして相手はこう思っていたということを落ち着いて正直にお互い話し、「これが原因でこういう風なことが起きてしまったんだね。じゃあ、〜していこう」というように、実際に起きたことを客観的に観察して、自分の気持ちと相手の気持ちを理解し合い、どういうことが起きていたか気付いて、この先はどうしていこうというように行動して、どうやったらお互いが心地良い状態でありながら関係性を築いていくのかを模索する、といったように。

ポーズにせよ、日常にせよ、もしかしたら初めからはうまくいかないかもしれませんが、諦めずに心地良い距離感でアプローチをし続ける継続性が大切だと思っています。

このようにサステナブルヨガ®︎練習や瞑想をして、ただただ現実から離れて良い雰囲気の中に引きこもることをするのではなく、心の顕著な気付きの能力を利用して、一瞬一瞬の経験の微細で微妙に変化する複雑さに厳密に適用することで、あらゆる課題のある現実、変化する環境に直接深く関わることを目的としています。


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