3-9汀の虹

「汀の虹」#掬することば

※2月4日の「World Cancer Day」に向けて、豆本詩集『汀の虹』の詩を、noteに1日1篇ずつ置いています。
28篇目は「汀の虹」です。

Flowers 「フィリカ」×「ライスフラワー」×「シルバーツリー」×「ユーカリ」×「リューカデンドロン」(2017.05 花店note)

『汀の虹』の詩も、いよいよ今日で最後の1篇。深淵に沈んでいた治療中の日々からはじまり、寛解後は海霧にのまれていろんなものを見失った日々が続いて。ようやくまた汀まで戻ってきました。


本のかたちの都合上「全部で28篇の詩」と定まったときから、最初と最後はどちらも「汀の虹」という同じ題にしようと決めていました。

立っている場所も、そこから見える景色も、同じように汀。つまりは波打ち際で。制作時はその理由がわからなかったのですが、どうしてもそうしたくて。今もこの流れには納得していて、そして5年目を迎える今も、まだわたしは汀から離れずその波打ち際をじっと見つめている日々にいるようにも思います。


がんが寛解した3年目の節目に『汀の虹』として、がんの記憶を一筋の流れに綴じて。それから1年半経て「掬することば」として『汀の虹』で綴った文字の余白に沈んだ記憶を辿りなおし。時間と距離をとりなおしながらふた巡り。

「掬することば」は、投稿したあともことばを見つめなおしてはまた掬い、日々あちらこちらが変化しています。元々は、心の奥に沈んだままの「ことばにできない想いの欠片」。それを掬い上げて、今までの人生でいろんな人や作品から触れてきたことばを重ねながら、その輪郭を描いて見つめなおして。見つめることで、またことばが削られたり磨かれたり。

そんなささやかな行為の積み重ねで、ボロボロだった心も少しずつ角がとれて、それぞれの線を描き出しているような気もします。

どれだけことばを置いたところで、ことばに出来ないことの方が多いことに変わりはありませんが。その過程は、流産とがん。つまりは大切ないのちを失うことと、自分が生きる保証を失うことを同時に経験した混乱を整理するためには必要だったのだと思います。

まだまだ汀に立つ日々ではありますが、今もこうして汀とことばとともに生きていること。そして整理してゆくきっかけや時間をくれた人たちへの感謝の気持ちを添えて、一区切りとします。

「汀の虹」の続きの話を、もう1つだけ。明日の #Worldcancerday に置きたいと思います。 28日間、こんなゆらゆらした文章を読んでくださったり、またメッセージをくださったみなさん、ありがとうございました。

みぎわ【汀/渚/水際】
海・湖などの水の、陸地と接している所。みずぎわ。なぎさ。
(デジタル大辞泉)
にじ【虹】
雨上がりに、太陽と反対方向の地表から空にかけて現れる7色の円弧状の帯。空中の水滴によって太陽光が分散されて生じる。外側が赤、内側が紫の主虹(第一次虹)のほかに、離れてその外側に、色の配列が逆の副虹(第二次虹)が見えることがある。

[補説]現代日本では一般に、赤 (せき) ・橙 (とう) ・黄 (おう) ・緑 (りょく) ・青 (せい) ・藍 (らん) ・紫 (し) の7色と考えるが、時代や文化により認識される色数は異なる。
(デジタル大辞泉)
『汀の虹』のみちしるべ 
『汀の虹』は、がんによる孤独の中で握りしめていた“ことばの欠片”を道標に制作しています。握りしめていた“ことばの欠片”の大半は、それまでの人生で大切な人から贈られたことばや、何度も触れた本や音楽、映画のことばでした。

そこからことばをひとつ手にとってはタイトルとして置き、心の奥に沈んだ治療前後の記憶を一つずつ掬い上げ、重ね綴っています。この本や歌、映画の中にあることばや情景をみちしるべにしていたような…という作品のタイトルだけ、最後に添えていきます。(以下、敬称略)

「汀の虹」
秦基博『虹が消えた日』
Cocco『もくまおう』
Salyu 『VALON-1 』『iris~しあわせの箱~』
SINGER SONGER『初花凛々』

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

読んでくださりありがとうございます。この文章が何かを「交わす」きっかけになるとうれしいです。

ありがとうごさいます🐱
6
ZINE作家。“大切な記憶”を小さな手製本に綴じています。「記憶のアトリエ」/ 連載「まなざしを綴じる」(日本看護協会出版会) / 希少がん(絨毛がん)経験者 #AYA世代 #zinester https://michi-siruve.com/
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。