3-5包み紙

「包み紙」#掬することば

※2月4日の「World Cancer Day」に向けて、豆本詩集『汀の虹』の詩を、noteに1日1篇ずつ置いています。
24篇目は「包み紙」です。

Flowers 「アキレア」×「スケルトンリーフ」(2017.09 花店note)

かなしみから離れることができず、いつまでも「立ち直る」ことができない状態が続いていた頃。子どもを産むことや働くことについてのニュースが流れ込んでくるたびに、自分は何も生みだせていない人間だ、こんなパートナーでは相手をふしあわせにしてしまうと責めて塞ぎこんでいました。

そんなとき夫は「ぽんぽん」とそっと抱きしめ、いつも同じことばをかけてくれました。

「みちさん、大事よ」
「みちさん、大丈夫よ」

大事だから、そばに居る。
そばに居るから、そのままで大丈夫。
大丈夫だから、安心したらいい。

その魔法のことばに、組み合わせに、どれだけ不安な心を包み込んでもらったことかと思います。

最後に添えた歌も、学生の頃めそめそしていた時に夫から教えてもらった歌でした。いつも包んでもらうばかりなので、わたしもしなやかな包み紙にならなきゃな。

つつむ【包む】
1 物を、紙や布などの中に入れてすっかりおおう。
2 (多く受け身の形で)物をすっかり取り囲むようにする。
3 心の中にしまっておいて外へ出さない。秘める。隠す。
4 慶弔のためやお礼として、金を紙などにくるんで渡す。
5 堤を築いて水が外に流れ出ないようにする。
(デジタル大辞泉)
『汀の虹』のみちしるべ 
『汀の虹』は、がんによる孤独の中で握りしめていた“ことばの欠片”を道標に制作しています。握りしめていた“ことばの欠片”の大半は、それまでの人生で大切な人から贈られたことばや、何度も触れた本や音楽、映画のことばでした。

そこからことばをひとつ手にとってはタイトルとして置き、心の奥に沈んだ治療前後の記憶を一つずつ掬い上げ、重ね綴っています。この本や歌、映画の中にあることばや情景をみちしるべにしていたような…という作品のタイトルだけ、最後に添えていきます。(以下、敬称略)

「包む」
BUMP OF CHICKEN『embrace』

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ZINE作家。“大切な記憶”を小さな手製本に綴じています。「記憶のアトリエ」/ 連載「まなざしを綴じる」(日本看護協会出版会) / 希少がん(絨毛がん)経験者 #AYA世代 #zinester https://michi-siruve.com/
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