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8年まわって旅の縁

勤めているデザイン会社で設計したお店の現状を見ようと、渋谷にある東急プラザの跡地、フクラスに出かけたところ、同じ階で開催中の器市を見つけてフラッと入りました。
若い作家さんがデザインした可愛らしい器が並ぶ中、目を留めたのは美しい青磁の青と、シンプルなデザイン。器は古典的なものが好き。
こんな器でホウレン草のお浸し食べたら、さぞ美味しかろうなぁと手に取りました。
窯元の方が説明してくれてお話をしたところ、折角の東京のイベントに出店してもこんなに客足が少なくて、せめて応援したいなという思いも出て、青磁の小鉢を二つ買いました。

子供時代、毎週遊びに行っていた親戚のお家には、とても料理上手な母の従姉妹がおもてなししてくれて、白磁の器に入ったホウレン草のお浸しがとても上品だった。これから私は上品にホウレン草を食べる女性になろうと、器を二つ購入することにしました。

レジに進むと、そこに一枚の地図が。

「大川内山からいらしたんですか??」

と思わず声をあげました。

大川内山、ここは伊万里焼(鍋島焼)の秘窯の里。
江戸時代に栄え、大名や幕府に献上する最高級の焼き物をつくる『藩窯』が大川内山に組織された。佐賀藩(鍋島家)は初めて「磁器」を完成させ、そこには朝鮮などから連れられて来た陶工たちによる高度な技術が伝えられ『門外不出』とされた。
なので、ここ大川内山から脱出した陶工は藩外までも追いかけられ捕縛され、処刑されたという、、三方は山に囲まれ、番所が設けられていた。
美しい伝統と、それを守る厳しい掟。
それもこの地の魅力の一つです。

なぜ、私、こんなに熱く語るかというと、ここに訪れたことがあるから!!

博多座公演出演の時、休演日にひとりでこの大川内山に遊びに行ったのでした。
ここま、また必ず訪れたいと思う旅の場所の一つ。

話を元に戻すと、大川内山から来たというこの窯元さんに、思わず食いつき気味に、
「私、行ったことあります!!」と伝えたのでした。

すると、なんということでしょう。
こちらの窯元さんは大川内山でカフェをしていて、私はそのカフェでお茶に立ち寄っていたのでした。
(上は当時の写真です。まるで千と千尋の神隠しに紛れ込んだような世界観)
私が、上品なホウレン草を食べたいと、器を購入しなければ決して結ばれなかったご縁。
仕事の用でたまたま訪れただけ。それがまさかの出会いを産むとは。

窯元さんから記念にと、とても可愛らしい湯呑み茶碗を頂きました。
私、感動してしまって、その日仕事が終わるとまたお店に戻って、
親友の誕生日プレゼントに同じ湯呑みを買いました。
そしたら、窯元さんから自分からも「差し上げてください」と言うことで、豆皿を親友に下さいました。

終わらないありがとうの気持ち。

鍋島青磁とは、大川内山で取れる原石を砕いた釉薬で焼き上げられた器です。

イベントは16日まで開催しています。
新型コロナウィルスの影響で外出も楽しめない状況。でも、そんな時こそ日々の生活を少し楽しむアイテムを見つけるのも良いのかもしれません。

鍋島虎仙窯 KOSEN
https://www.nabeshima-kosen.jp/
江戸時代から続く鍋島焼の技法を今に伝える焼き物です

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