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[英詩]Bob Dylan, 'Long and Wasted Years'

※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。

英詩のマガジン の本配信、今月2本目です。歌われる詩の1回めです。今回は、ボブ・ディランのアルバム 'Tempest' (2012年、下) に収められた 'Long and Wasted Years' です。

Bob Dylan, Tempest' (2012)

録音は2012年1-3月 (Groove Masters, Santa Monica, California)。録音エンジニアは Scott Litt. プロデユーサは Jack Frost (Bob Dylan).

次の参加ミュージシャン。

Bob Dylan - vo, org
Charlie Sexton - g
Stu Kimball - g
David Hidalgo - g
Donnie Herron - steel g
Tony Garnier - upright b
George G. Receli - ds

(vo: vocals, org: organ, g: guitar, b: bass, ds: drums)

〈報われない長い歳月〉とは悔恨のにじむタイトルですが、どんな歌なのでしょう。アルバム 'Tempest' では、本歌は 'Narrow Way' と 'Pay in Blood' にはさまれた位置にあります。

本歌は、〈詩を唄うというより語る〉ように歌われるのは、これが〈ひどく深刻な歌〉(a deadly serious song) であることを際立たせると、カーウォウスキは主張します。この真剣な、語りのような歌い方は、最近では 'Murder Most Foul' (アルバム 'Rough and Rowdy Ways' [2020]) でも聞かれます。

そんな真剣な本歌を、カーウォウスキは、ディランが20世紀後半の時代精神(zeitgeist)を('Blowin' in the Wind', 'The Times They Are A-Changin' ', 'It's Alright, Ma' で)捉えたとしたら、21世紀前半の時代精神を捉える歌であると、高く評価しています。

参考文献 は、文字数の関係で別の note にあります。

カーウォウスキの本は Karwowski, Michael. 'Bob Dylan: What the Songs Mean' (Matador, 2019) です (下)。

Michael Karwowski, 𝐵𝑜𝑏 𝐷𝑦𝑙𝑎𝑛: 𝑊ℎ𝑎𝑡 𝑡ℎ𝑒 𝑆𝑜𝑛𝑔𝑠 𝑀𝑒𝑎𝑛 (2019)

※「英詩が読めるようになるマガジン」の本配信です。コメント等がありましたら、「[英詩]コメント用ノート(202205)」へどうぞ。

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【内容】〈英詩の基礎知識〉〈歌われる英詩1〉〈歌われる英詩2〉の三つで構成します。
【取上げる詩】2018年3月からボブ・ディランを集中的に取上げています。英語で書く詩人として新しい方から2番めのノーベル文学賞詩人です。(最新のノーベル文学賞詩人 Louise Glück もときどき取上げます)
【ひとこと】忙しい現代人ほど詩的エッセンスの吸収法を知っていることがプラスになります! 毎回、英詩の実践的な読みのコツを紹介し、考えます。▶︎英詩について、日本語訳・構文・韻律・解釈・考察などの多角的な切り口で迫ります。

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🔶 Long and Wasted Years

次のボブ・ディランの詩テクストはリクスらの校訂版による。

動画リンク [Bob Dylan, 'Long and Wasted Years' (Official Audio)]


Long and Wasted Years
Bob Dylan

🔷1連

It's been such a long, long time since we loved each other and our hearts were true
One time, for one brief day, I was the man for you

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