見出し画像

くん液のはなし

今回取り上げるものは「くん液」というものです。初めて名前を知ったときには「何、これ?」といった印象でした。まず、「くん」って何でしょう、どんな漢字を書くのでしょうか、漢字が分かれば意味も判断出来るかもしれません。

くん液とは「燻液」という漢字を使います。燻製(くんせい)という意味ですね。その名前の通り、燻製の風味をつけるための食品添加物ということで、調味料といった感覚でいいのかなとも思います。

燻製といえば、傷みやすい食材を長期間保存できる状態に加工するための技術として出てきたものですが、今の時代では保存技術も発達していて敢えて燻製にする必要が無い状況になっています。それよりも、普段味わう事の少ない食感なども含めての食を楽しむためのモノとして変わりつつあるようです。

燻製は、一般的には塩漬けなどで下味をつけたうえで乾燥させ、燻煙(木材が熱せられたときにで得る煙を食材に充てて風味付けをして、殺菌や防腐の効果を高める技術)して食材の水分量を減らすという方法です。なかなか面倒な手順が必要なんですね。くん液とは、この燻製の手間を省いてより簡単に食材を味わえるようにした調味料のようなものなんですね。「簡単に」というように、漬け込んだり振りかけたりするだけでよいもののようです。実際に、スーパーなどでも販売されているものとのことでした。

気になることと言えば、安全性とか危険性とか、そういう事でしょう。それには成分を知る必要があります。くん液は燻煙から作られることもあって、その成分は同じとされています。主成分は、有機酸、フェノール系化合物、カルボニル化合物(ホルムアルデヒドなど)などとなっています。他にも、ベンンゾピレンやニトロソアミンといった物質もふくまれているのだとか。こういった成分のおかげで、燻製独特の風味を味わう事が出来るんですね。また抗酸化作用も防腐という意味で有用じゃないかとされています。

でも、何か気になる名前の物質も含まれていますよね。くん液の元になる燻煙は煙です。完全燃焼すれば煙はあまり出ませんが、それでは燻製にならないので、不完全燃焼させて煙を多く出させるようにするのだそうですが、そこからくん液が作られるのであれば、ダイオキシンなども含まれるんじゃないかと心配になってきます。実際に、ベンゾピレンという物質の発がん性が気になるところです。

ただ、くん液は既存添加物に分類されているものなので、長く用いられてきた実績があるとのことでした。ということは、国としては安全であるという判断をしているという事になりそうです。モヤっとするところもありますが、私たちが出来ることを考えれば過剰摂取を控えて食を楽しむといったところでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?