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B型肝炎の話

ウイルスの特徴

肝機能障害を起こす主な5つの理由の最初に挙げたのが、ウイルス性でした。そのウイルス性で引き起こされる肝炎の代表的なものの一つが「B型肝炎」です。ウイルス性の場合、経口感染のタイプと血液感染のタイプと、大きく分けて2種類存在しますが、B型肝炎ウイルスは血液感染のタイプに属します。一般的にB型肝炎ウイルスはHBVと略して表記されることが多く、「肝臓に炎症を起こすBタイプのウイルス」といった意味になります(以下、B型肝炎ウイルスの場合はHBVと表記することにします)。

このウイルス、発見されたのが1964との事で、当時はオーストラリア抗原と呼ばれていたそうです。この名前を知っているという事は年齢が・・・、その辺りはさておき、B型肝炎は現在、日本では新たな感染者数は減少の傾向がみられます。また、輸血用の血液製剤もすべて、HBVの検査を行なったうえで供給されています。

このHBVですが、医療機関では重要な位置づけにあって、全ての医療機関の職員が注意すべきものとして取り上げられているんです。それは、こんな理由があるからです。

・ウイルスは目に見えない大きさなので、どこにいても分からない。
・治療や処置、検査などの都合上、患者さんに注射をしたり、針を使ったり、また組織などの一部を切り取ったりすることがあるので、鋭利なものを使ったり、血液が出たりすることがある。
・患者さんがHBVを持っているかいないかは調べてみないと分からない。
・HBVは血液を介して感染するので、手指を含め目に見える見えないに関わらず、傷口のケアをしておくことが必要。

こういった理由があるので、医療機関では職員が単回使用の薄いゴムのような手袋をして仕事をしているんです。もちろん、患者さん毎に手袋を交換しますし、場合によっては同じ患者さんの連続業務であっても、ワンステップごとに交換することもあります。それだけ感染に対して神経を使うという事ですね。また、そうしないと自分自身のみならず、患者さんの間にも感染をさせてしまったり広げてしまったりする可能性が出てきます。医療機関ではこういったことに、ずいぶん費用をかけているんですよ。

症状

話が逸れたので戻します。B型肝炎の症状は、一般的にはあまりはっきりしない事が多いようで、抵抗力がある人の場合では、気が付かなかったという例もあるくらいです。また、季節にもよりますが、倦怠感や食欲不振といった一般的に体調不良で見られる症状があった場合、それが暑い時期だと夏バテと勘違いしてしまうことだってあるんです。

症状として出てくるのは、全身の倦怠感(体がだるいといった感じ)や食欲不振、悪心といったものですが、これらは先に書いた通り、普通に体調不良の時にも現れるものですから、ここで気付く人はなかなかいないのではないでしょうか。嘔吐といった症状が出る場合もありますが、真っ先に頭に浮かぶとすれば、「何か変なモノ食ったかな?」といったあたりでしょう。

その人の免疫力に問題が無ければ、これらが治まる頃にはHBV自体が体外に排出されている事もあるでしょうし、症状がこれ以上酷くならないといった例も、多く存在します。ウイルスの方が強かったりすると、更に症状が進んで白目の部分が黄色味を帯びたりすることがあるかもしれません。また、尿の色がかなり濃くなったと感じられるような、褐色といった色合いになってくるかもしれません。

こういった症状が出たりするのは、主に急性肝炎を起こした時です。B型肝炎では大きく急性と慢性に分けることが出来ますが、慢性の方はほとんど症状らしいものが出てこないのが一般的です。急性になった場合でも、発熱などの症状が出て肝機能が悪くなることはありますが、あとはケロッと治ってしまうことが多く、そうなるともう再発や再感染は無いのが普通です。ごく稀に急性肝炎から劇症に進むことがありますが、こちらも治療の方法が進んできています。適切な治療を受けることで、救命率も以前より良くなっています。

感染を予防する

普段の生活の中でB型肝炎に感染する場面というのは、あまり見当たりません。ですが、カミソリを何人かで共用するといったことは避けましょう。また、仕事などでうっかりと指を切ったりするかもしれません。あるいは爪切りで切り過ぎてしまったり、ちょっと血が出ることはあるでしょうが、自分と周囲の人のためにも、キチンと手当てをしておく事が大切です。指先のちょっとしたささくれも注意して、リスクを下げるようにしておきましょう。


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