八村塁の26試合目~30試合目までの全記録

◆26試合目◆

2020年2月4日(現地時間3日)、そけい部の負傷により戦列を離れていたワシントン・ウィザーズの八村塁が、キャピタル・ワン・アリーナで行われたゴールデンステイト・ウォリアーズ戦に出場。昨年の2019年12月17日に行われたデトロイト・ピストンズ戦以来、24試合ぶりの復帰を果たした。

 パワーフォワードとして先発した八村は、第1クォーター開始16秒にフェイダウェイでオープニングショットを決める。さらに、開始2分21秒にはプルアップジャンパーで加点し、復活ぶりをアピールした。しかし、第2クォーターは無得点に終わると、チームも63-72と劣勢に。

 第3クォーター、八村は7得点を挙げるなど活躍するも88-96と点差は詰め切れず。最終クォーターでは一時5点差まで迫るも、最後は振り切られ、最終スコア117-125でウィザーズは敗戦を喫した。

 復帰戦となった八村は25分52秒の出場時間で11得点8リバウンドをマークした。

八村は「楽しかったです」と率直な感想を述べると「ああいう出だしをしてしまって、セカンドハーフでもそのまま勢いに乗れなくて、最後の5分頑張ったって感じでした」と試合を振り返った。自身のコンディションについては、「思ったより大丈夫でした。心配はしていましたがやってみたら全然大丈夫でした。シュートタッチもケガ前と変わらない状態で戻ってこれてよかったです。段階を踏んで回復してきたので、その成果が出たのだと思います」と口にした。

 また、ウィザーズのエースブラッドリー・ビールは「戻ってきてくれてよかった。塁は今日、気迫たっぷりだった」と八村を称賛。スコット・ブルックスヘッドコーチも「ハーフタイムに様子を見たら状態が良かったので(予定より)長く出てもらった。第3クォーター終わりにも話したが、本人が”行ける”と言った。塁は良かった。今日唯一のポジティブだった。復帰早々こんな活躍できるとは、正直思っていなかった」と太鼓判を押した。

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◆27試合目◆

2020年2月8日(現地時間7日)、ワシントン・ウィザーズはホームのキャピタル・ワン・アリーナでダラス・マーベリックス戦に臨んだ。

 復帰2戦目となった八村塁は、試合序盤から抜群のシュートタッチを見せ、フィールドゴールを6本連続で成功させる好パフォーマンスでウィザーズをけん引。左コーナー付近からノーマークで長距離砲をリングへ突き刺すと、ファストブレイクではアイザック・ボンガのアシストから豪快なワンハンドダンクをたたき込む。第1クォーター残り約6分には、リング下からコーナーへ通そうとしたキックアウトパスをスティール。そのまま周囲の状況を見つつ、自らボールプッシュしてドライブでフィニッシュ。

 この日、マブスはルカ・ドンチッチを右足首捻挫のため欠いており、221センチのビッグマン、クリスタプス・ポルジンギスを中心にゲームを組み立てていたものの、強心臓のルーキーが第2クォーターに襲い掛かった。ポルジンギス相手にスイートスポットを見つけた八村は、プルアップジャンパーを放り込む。第2クォーターもスタートから出場した八村は、センターのポジションもこなしていた。

 八村は攻撃の手を緩めず、3ポイントラインからドリブルでペイントエリアに持ち込んでターンアラウンドジャンパー、ファストブレイクでトロイ・ブラウンJr.のパスを受け取るとリング下へと持ち込んで迷わずフックショットを鮮やかに決める。さらに、右45度付近からポルジンギス相手に1対1を仕掛けた八村は、ポルジンギスから3つ目のファウルを誘いだし、相手チームのエースをベンチへ追いやる好プレー。

 だが、マブスはコートニー・リーやセス・カリーらが効率よくショットを沈めていき、前半を終えて64-62と2点をリード。後半に入ってウィザーズは八村の3ポイントで逆転するも、両チームはリードチェンジを繰り返し、僅差の攻防が続いていく。八村は後半に入って3ポイントを決めた後は得点がストップ。それでも、パワーフォワードまたはセンターとしてコートに立ち、リバウンドやディフェンスで奮闘。試合は終盤まで勝敗の行方が分からない中、残り1.8秒で1点ビハインドのウィザーズがタイムアウト。

逆転をかけた最後のチャンスに、ウィザーズはこの日もアウトサイドショットが当たっていたダービス・ベルターンスを囮に使うと、トップ・オブ・ザ・キーでモリッツ・ヴァグナーがブラッドリー・ビールへスクリーン。するとリング下へ入り込むビールへトロイ・ブラウンJr.のパスが通り、劇的なレイアップ。長身選手をコートに送り出し、残り0.2秒からティップインで逆転を狙うマブスのオフェンスをしのいだウィザーズが、119-118で接戦を制し、今季18勝目(32敗)を手にした。

この試合でいずれもゲームハイとなる29得点8アシストを挙げたビールは「今日は粘り強く戦った。終盤、ショットがなかなか入らなかったけど、最後にコーチがすばらしいプレーを選択してくれたんだ。今日、一番簡単なショットだった。ベルターンスとモーのナイススクリーン、そしてトロイのナイスパス、最高のプレーだったね」と満足気。

 八村も復帰2戦目で17得点6リバウンド2スティールと活躍。日本語版公式ツイッターへ「最初からアグレッシブに行って、後半は落ちてしまったんですけど、ほかのチームメートたちがしっかりとフォローしてくれて、こういう形で勝てて良かったです」と口にし、復帰後初勝利を喜んでいた。約2か月間の戦線離脱から復帰し、ここまで活躍できていることにコーチ陣も驚いている中、八村はこう分析している。

「僕もこんなにバスケから離れて、戻ってきたことはないんですけど、家にいた時もずっとバスケの試合を一日中流してました。僕がどういうところでもっと活躍できるかな、というところを見てました。それが出てきてるんじゃないかなと思います」。

 2020年2月8日は八村にとって22歳の誕生日。現地では試合後、約2時間後に誕生日を迎えるのだが、特別な予定はあるのかと聞かれ「いや、別にないですね。今日も試合があって、(誕生日の)次の日も試合があるので、それに向けてしっかり準備していきたいなと思います」と受け流していた。

 ウィザーズの次戦は10日のメンフィス・グリズリーズ戦。グリズリーズは8日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦に敗れたものの、渡邊雄太(2ウェイ契約)が11分48秒プレーし、鮮やかなボースハンドダンクを含む9得点に1リバウンド1アシスト1スティールをマーク。

 昨年2019年12月15日に実現した八村と渡邊による“日本人対決”が、10日の試合で実現されるかもしれない。

スコット・ブルックス・ヘッドコーチは「2か月近く離脱して、何もなかったように活躍している。選手によってはそういうすごいことができる」と、復帰から2試合連続で二桁得点をマークした八村を称賛した。

離脱中も自宅で「一日中バスケの試合(映像)を流していた」という八村は、「どういうところでもっと活躍できるかというのを見ながらやっていたので、そういうところがよく出てきているんじゃないか」と話している。

なお、8日が22歳の誕生日となる八村だが、特別な予定はないとのこと。「今日も試合があって、翌日も試合があるので、その試合に向けてしっかり準備していきたい」と述べた。

ウィザーズはプレイオフ出場ラインの8位オーランド・マジックに3ゲーム差。ビールは「今日の勝利は大きいね」と喜んだ。

「オールスターの中断まで、ホームで4、5試合ある。それらを最大限に生かして、プレイオフへの絵を描くことができる」。

一方、2連敗のマーベリックスは、セス・カリーが20得点、ハーダウェイJr.が19得点を記録している。

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◆28試合目◆

 2020年2月10日(現地時間9日)、キャピタル・ワン・アリーナでワシントン・ウィザーズとメンフィス・グリズリーズが対戦した。ウィザーズの八村塁は、ケガから復帰後3試合連続となるスタメン出場。一方、グリズリーズと2ウェイ契約を結ぶ渡邊雄太はベンチスタートとなった。

 試合開始1分3秒、ジャンプショットで初得点を決めた八村は、第1クォーターでフリースローと3ポイントもマーク。しかし、開始約4分間で2つのファウルを犯しベンチへ下がった。

 試合はホームのウィザーズリードで進む中、同クォーター残り2分53秒に渡邊がコートイン。渡邊は約8分間続けてプレーしたが、その間、ウィザーズはセカンドユニット中心だったため八村は出場せず。

 第2クォーター残り6分31秒に渡邊がベンチへ下がると、ウィザーズは八村、ブラッドリー・ビール、イシュ・スミスをコートへ戻す。八村は同4分29秒にレイアップ、同5秒にはダンクシュートを決めて前半で10得点4リバウンドを記録した。

 55-47でスタートした第3クォーター序盤にもダンクを叩き込んだ八村。このクォーターは5本のリバウンドをもぎ取ってチームに貢献し、ウィザーズの5点リードで最終クォーターへ。

 第4クォーター開始1分2秒、グリズリーズは渡邊をコートへ送り出したが、ここでも八村がベンチにいる状況。渡邊は主にディフェンス面でチームを支え、同2分6秒にジャ・モラントと交代した。

試合はホームのウィザーズが追いかけるグリズリーズから逃げていたが、試合終了残り5分33秒にカイル・アンダーソンの得点で93-93。同点に追いついたグリズリーズはモラントのジャンプショット、ブランドン・クラークの3ポイントも決まって終盤で7点リードを作った。同44秒にはモラントがショットクロックギリギリで3ポイントを沈めて勝利を大きく手繰り寄せ、最終スコア99-106で試合終了。

 逆転負けを喫したウィザーズは、八村が約25分間の出場で12得点11リバウンドをマークした。一方のグリズリーズは、モラントが27得点10リバウンド10アシストの“トリプルダブル”を挙げたほか、渡邊が10分8秒のプレータイムで1リバウンドを記録。この試合では八村と渡邊が同時に立つことはなかった。

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◆29試合目◆

2020年2月12日(現地時間11日)、ワシントン・ウィザーズの八村塁がキャピタル・ワン・アリーナで行われたシカゴ・ブルズ戦に出場した。

 八村はジャンプショットでチームの初得点を生み出すと、豪快なダンクなども決め、第1クォーターで6得点を積上げる。続く第2クォーターでもフリースローを4本沈めるなど着実にスコアを伸ばし、前半だけで14得点。チームも69-62とリードして試合を折り返した。

 後半はややトーンダウンするも、第4クォーター残り4分37秒にフリースローを2本沈め、20得点に到達。復帰以来4戦連続となる2ケタ得点を記録した。また、チームも126-114と12点差で勝利を収めた。

 なお、八村は31分48秒のプレータイムで20得点4リバウンド3アシスト2スティール2ブロックをマークした。

八村はチームの公式Twitterを通じて「試合が始まる前からチームで『この試合は絶対に勝たなきゃいけない」と話していたので、勝てて良かった」と喜びをあらわにした。この試合で八村を含め7選手が2ケタ得点をマークしたことについては、「みんなが得点できるというのが僕らの強み。ブラッド(ブラッドリー・ビール)をこれからもっと活かせるように、続けていきたい」と手応えを口にした。

 また、自身の20得点については「最初からアグレッシブに行って、後半も落ちないようにしっかり保てたんじゃないかなと思う」と振り返りつつ、復帰直後から安定した活躍ができている理由を問われると、「休んでいた時にビデオで試合を見たりして、今まで見ていなかった部分を自分で分析できて、それが今活かされているんじゃないかと思う」と話した。

 翌13日にはアウェイでのニューヨーク・ニックス戦を控えるが「こういうNBAのタフなスケジュールの中でも、しっかりと結果を出せるように頑張っていきたい」と話した。

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◆30試合目◆

2020年2月12日(現地時間13日)、八村塁が今季NBA前半戦の最終戦を敵地マディソンスクエアガーデンにてニューヨーク・ニックス戦に出場した。

 開幕戦より30試合連続で先発出場を果たした八村は試合序盤こそシュートタッチに苦しむも、第1クォーター残り4分7秒にダンクを沈め、この日初得点を記録。続く第2クォーターは無得点に終わった。

 第3クォーターでは開始33秒にジャンプシュートを沈めると、その後も得点を伸ばしこの10分間で6得点をマークした。77-73で迎えた最終クォーターは、試合終了残り5分18秒から登場するも、得点は挙げられず。八村は23分の出場で8得点、5リバウンドをマークした。なお、試合は最終スコア114-96でウィザーズが勝利した。

NBA前半戦での八村のは全30試合出場で、下記成績を記録した。

平均出場時間:28.8分、平均得点:13.9点、

5.9リバウンド(1.5オフェンスR、4.4ディフェンスR)

1.5アシスト、0.7スティール、0.1ブロック、

フリースロー成功率:82.6%

フィールドゴール成功率:48.7%

3ポイント成功率:23.6%


また、試合後のインタビューでは、

「今夜はディフェンスが俺たちにとって大きかった。この数試合は守備面で崩されていたからね。俺たちは個人としてだけでなく、チームとしてもプライドを持って取り組んできた。勝利するために、アグレッシブに行きたかったんだ」

 12試合連続で26得点以上をマークしたブラッドリー・ビールが試合後に語ったように、ウィザーズはニックスのフィールドゴール成功率を40.9%(36/88)に抑え込んだだけでなく、チーム全体で13スティール、7ブロックを記録。誘発した20本のターンオーバーから29得点を稼ぎ、ファーストブレイクの得点でも18-5と圧倒した。

 八村塁も「ディフェンスの部分が今日は光っていたので、それが勝利の要因になったと思います」と振り返っており、守備が改善されつつあるウィザーズは直近7試合で5勝と調子を上げてきている。

「オールスターブレイクの前に、俺たちが勝てたかもしれない試合がふたつあった。だが、俺たちは今、いい位置にいると思う」というビールの言葉どおり、イースタン・カンファレンス9位のウィザーズ(20勝33敗)は、プレーオフ出場圏内にいる8位のオーランド・マジック(24勝31敗)に3.0ゲーム差と肉薄している。

なお、イースタンカンファレンスはバックスがリーグ最多の46勝(8敗)で前半戦を折り返した。八村塁のウィザーズは2連勝で20勝33敗の9位。

ウエスタンカンファレンスはレイカーズが41勝12敗でトップ。渡辺雄太が2ウェイ契約を結ぶグリズリーズは28勝26敗とプレーオフ圏内の8位。
NBA後半戦は2020年2月20日より始まる。

八村塁は、14日~16日(日本時間15日~17日)のオールスター・ウィークエンドに行われる、若手のオールスター「ライジング・スターズ・チャレンジ」に出場する。鼠径部の打撲から3日(同4日)のウォリアーズ戦で復帰。5試合連続スタメン出場を記録するなど好調の1週間を過ごしたが、NBA公式サイトで発表されている“週間新人ランキング”では3位にランクインしている。

並の新人ではないと認められている。NBA公式サイトは「ルイ・ハチムラが帰ってきた」という見出しで、“週間新人ランキング”を5位まで発表。1位のジャ・モラント(グリズリーズ)、2位のザイオン・ウィリアムソン(ペリカンズ)に次ぐ3位に八村を選出した。

 八村は49日ぶりの復帰戦となったウォリアーズ戦では26分間の出場で11得点、8リバウンドをマーク。以降、11日(同12日)のブルズ戦で復帰後最多の20得点をマークするなど、5試合連続スタメン出場を記録している。

 プレーオフ進出も視野に入れるチームを牽引するルーキー。記事では「ハチムラの復帰はチームにとって、歓迎すべきことである。彼が怪我をしていた期間、ウィザーズは9勝14敗だった。しかし復帰後は3勝2敗である」と復帰後はチームが好調であることに言及している。

 八村はNBAデビューシーズンの今季、昨年12月16日(同17日)のピストンズ戦で味方と接触して鼠径部を負傷するまで、開幕から25試合連続出場を続けていた。NBA公式は「ハチムラはシーズン序盤、最高のルーキーの1人だった。25試合で平均13.9得点、5.8リバウンドを記録。そして怪我をするまでは新人王の有力な候補であった」と開幕からの活躍に注目している。

 新人王の可能性については「ザイオンやハチムラの場合、怪我をしたので新人王を獲得するのは難しいかもしれない」としながらも、「ウィザーズをプレーオフに導いたり、大本命のモラントが離脱することなどがあれば、彼が新人王の候補になってくるだろう。ルーキーの中では八村は3位の平均得点、平均リバウンド、5位のフィールドゴール成功率を記録している」と今後に期待している。

 14日(同15日)から行われる若手のオールスター「ライジング・スターズ・チャレンジ」にも、日本人で初めて「世界選抜」の一員として選出されている八村。日本の全バスケファン必見の一戦になりそうだ。


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