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北スペイン ア・コルーニャを巡る〈スペイン巡礼の旅 #1〉

〈まえがき〉
2023年の夏、スペインを巡礼した。

この夏、私と恋人は一年間の遠距離生活の終え、最後の二ヶ月をヨーロッパで一緒に過ごした。
はじめの一ヶ月はロンドンで四畳ぽっちの恋人の部屋に滞在させてもらい、残りの一ヶ月はスペイン、ポルトガル、フランスを周遊。
着いてからの日々はまばゆいばかりだった。


恋人に誘われるまで知りもしなかったカミーノデサンティアゴ 。
カミーノ巡礼には、複数の道(ルート)が存在するが、私たちは「イギリス人の道」と呼ばれる道を歩いた。約111.5kmの道のりを五日間かけて歩く、他の道と比べると初心者にはとっつきやすい道だ。

今になって思うのは、歩く前の私は、一日に20〜25kmを歩くこと、巡礼がどういう事か想像できていなかった。ただ恋人の希望を叶えさせてあげたかったのと、「歩くこと」と「旅」が好きだから快諾した。そんな旅について、記憶が薄れないうちに書いてみようと思う。

イギリス人の道

サンティアゴ・デ・コンポステーラまで徒歩で向かう

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2023.7.19

旅のスタートは、スペイン北西部に位置するガリシア州ア・コルーニャ。
サッカー好きには有名な地らしい(帰国してから知った)

実際に巡礼を始めるのは「フェロール」という町だが、そこに行くためにイギリスのガトウィック空港からア・コルーニャ空港へ。そのあとフェロールまで列車で行く必要があり、一泊をコルーニャで過ごす事にした。


早朝のガトウィック空港。
ちゃちな飛行機に乗り、あっという間にスペインにつく。空気がからりとしていて、明らかにイギリスのそれとは違う。

しまった。飛行機から宿までの順路を前もって調べる事も、換金する事も忘れていた…が空港から出てるバスはクレジットカードで乗れた。Googleマップに頼りなんとか乗車。


まず宿に向かい、荷物を置いた。

「Hospedaje Lopez」という中心地と空港の中間に位置する眺めのよい宿を選んだ。
街に行くためにバスに乗ろうとしたが、街を走るバスは現金か交通ICが必要で、持ち合わせてなかったので45分かけて街まで歩く。

喉がカラッカラなことに気がつき、水分補給のことしか考えられなくなる。自販機はあっても現金がないので、デカいスーパーが見えた時は歓喜してかけ込んだ。

道中のATMに寄ってお金を下ろそうとするが、エラーのような表示がでて困っていたところ、通りがかりのおばさんがスペイン語で何か言っている。咄嗟に身構えてしまったが、ATMが故障している事を教えてくれていたのだ。それを知るのは数分あとだった。
イギリスや日本でも、困っていたら察して向こうから声をかけてくれるなんてあんまり経験した事ない。コルーニャの人々は、他の場面でも困っているとき、私たちが助けを求める前に手を差し伸べてくれる、そんな印象を受けた。

ガリシアでの一発目の食事は、絶対にタコのガリシア風と決めていたので、真っ先に目当ての店に向かう。

タコのガリシア風

うわ〜こんなに美味しいの!目を見張るおいしさ!このあと幾つか食べたなかでも圧倒的だった。肉厚で、よく煮込まれている。
腹ぺこだったので色々と頼んで腹を満たしたかったが、バルでは酒のつまみとして小料理をちょこちょこ頼むのが一般的のようで、それに倣った。

定番、Pimientoの素揚げ。
スペイン版ししとうみたいな野菜、全然辛くなくて
手が止まらない

この店でタコのガリシア風を食べるためだけに、またコルーニャに来たいくらいだ



甘いものを求めてアイスクリームパーラーに入る。洒落たタイル張りの店内、新しい店かと思いきや30年以上続いているそう。種類豊富で、味もよかった。


アイスを食べながら海を見にいった。
てっきり港だと思っていたが、歴としたビーチだ⛱️
地元の人が椅子やらシートやらを持って、日光浴や読書をしたり、思い思いにゆったり過ごしている。

水着を持ってこなかった事をひどく後悔した私たちは、泳ぐ方法をあれこれ考え、宿から海が見えたことを思い出して、すぐに宿に戻った!

地図でみると目と鼻の先なのに歩くと一時間かかる。でもワクワクしすぎてどうって事ない。

携帯と財布は盗まれたら困るので、道順を頭に叩きこみ、タオルと僅かのコインだけ持ってむかう。


小さな海だったが、ファミリーでごった返していた。海での遊び方を知らない私は、水が冷たいというだけで大笑いできるほど楽しんでいた。
ここの海は先までいってもずーっと浅くて、這って泳ぐしかなかった。浅いからか水もぬるく、でも油断してると急に冷たいゾーンが現れたりして可笑しかった。


八時くらいまで遊んでもまだ陽は出ていた。
帰り道、ご当地のおにぎりや餅の形の話で夢中になっていたらすっかり道を間違えた。なんとか記憶を頼りに宿に戻り、早めに就寝した。

翌朝、私たちが向かったのは街のチュロス屋。
地元の人が日常使いするような店。

ここのチュロスもベストな美味しさで、このあと他の地方でも食べたがここのを超えるのには出会えなかった。

価格もお手頃で、何よりチョコレートが甘すぎずドロっとしてるのがわたしの好みだった。持ち帰りのお客さんがひっきりなしにくるもんだから、比較的揚げたてのチュロスが食べれる。

隣の席をみると、チュロスをカフェラテに浸して食べている。なるほどそういう食べ方もあるのか


せっかく来たんだからと、恋人の薦めで世界遺産のヘラクレスの塔に出向いた。

真下に海があった。世界遺産よりも海で泳ぎたい私は木陰で水着に着替え バックパックを岩陰におき、思う存分泳いだ。


フェロール行きの列車に乗る直前に食べたタコのガリシア風はいまいちだった。今度コルーニャに来るときは、あのお店のタコのガリシア風とチュロスは二回以上食べる計画を立てて来たい。
思い返せば、タコのガリシア風くらいしか前知識がなかったのにも関わらず、コルーニャで過ごした時間は、後にも先にもないほど良かった。

A Coruña駅
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