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《信賞必罰》を実現する準備とコツの話

 どハマりした書籍《失敗の本質》の中で、失敗する組織の特徴として、信賞必罰になれない点を挙げており、ここ数日は「どうしたら信賞必罰を実現できるのか」について考えてました。

5つの準備をすることで信賞必罰が施行できるチームになる

できるようになるには「準備」が必要です。

【準備1】まずシステム主義になる
 大半の人や組織は判断を俗人的に行ってます。勘と経験にたより、心で判断するのが、なんとなく優しいし思いやりある気がしますよね。しかしそれは不公平で旧来的な意思決定なのです。半世紀以上前に、情緒主義ではなくシステム主義による判断が優れていることを太平洋戦争でも証明されてるのに、情緒主義が台頭してしまうのは、何だか人間らしい気もしますが。
 話を本線にもどすと、情緒主義的なジャッジではなくシステム主義的なジャッジにまずは移行する必要があります。

【準備2】アウト!の閾値を決める
「何をどのくらいした場合はアウト」と事前に決めることはとても重要です。一時万事と考えるなら遅刻など小さなミスでもルールを明文化するといいでしょう。大らかな組織は顧客ファーストの行動ではないと言えるものをアウト!と明文化するのもいいでしょう。
 叱られる側としては「これはダメだよー」と事前に言われてないことを指摘されても、なんやねん?と反発心がうまれて組織に対して嫌悪感を育むだけなので、事前に何をどの程度行ったらアウトなのか閾値を決めることが大事です。

【準備3】信賞必罰であることが組織とその人のためになると知っておく
 知るだけで準備完了ですが、案外この考えは広く知られてないのが現状。
 とあるメンバーAくんが、倫理観などの面で間違ったまんま育った場合、端的に言えばその子はポンコツなわけです。異動で他部署に行ったら「誰だこいつ教育したのは?」となるし、異動後の教育でAくんが気づいたときに「なんで言ってくれなかったんだろう」ともなります。勿論、チームとしても間違いを正すと、キチンとさんは「よかった…」となるし、Aくんと似たような人たちも「あれはダメなのか!」と気づくきっかけにもなります。
 賞罰を明らかにして厳格に施行するのは、マネジャーに痛みはあれどもチームとメンバーには良いことなのです。

【準備4】信賞必罰をおざなりにすると組織が腐敗するとも知っておく
 もう一つ知るだけで準備完了なのがこれです。大敗した日本軍が信賞必罰をお座なりにしていたことは前回のエントリーで触れているので、詳細割愛しますが、信賞必罰をやらない選択肢を取る場合、それなりの覚悟が必要だとお伝えしておきます。

 参考までに信賞必罰がなされなかった私の知る組織の話

・年次総会で褒めはするが罰則は特になくダレた空気感のチーム
・違反者がいても叱るとモチベーション下がったり離職するのではとビビるマネジャー
・コミットすべき業務を疎かにしてもうやむやにして指摘をしないリーダー

いずれも解散してたり優秀な方々が早期に転職してました。怖いですね。

【準備5】そういう文化なんだよと予告しておく
 これも準備の一つとして重要です。「われわれは信賞必罰な組織ですからね」と予告するのはとても大切です。いきなり賞罰発生してもメンバーらは納得しにくいからです。(賞与は嬉しいけど)

賞罰を出すにもコツが3つある

やるにしてもコツがいります。

【コツ1】会ってから考えて話すのではなく事前にジャッジを下しておく
 これはとても重要な点です。会ってから賞罰を決めるのだと、相手の顔が見えてるとどうしても甘い判定になりがちです。ジャッジメントは会ってから決めるのではなく、事前に決めたルールに照らし合わせてジャッジを下しておくのが大切。
 勿論会うときにヒアリングをして、新たな事実をもとにジャッジを改訂するのもいいでしょう。本人しか知らない話もあるはずです。そして、ジャッジした内容を話すときにはそのジャッジに至った理由も話しましょう。理由がないとパワハラでは?と相手は思うからです。

【コツ2】フラットかつフェアに話す
 話し方のコツですが、感情的にならず平坦な気持ちで、淡々と話すのが吉です。妙に「寄り添ってるよー」みたいな、ゴマをするような態度だと不信感が生まれます。いたってフラットに話しましょう。
 そしてフェアである姿勢も崩してはいけません。誰であろうと同じジャッジを下すというフェアな姿勢を貫き、ルールに基づく結果であり変更も撤回もないという強い意志で話しましょう。

【コツ3】相手にオプション(選択肢)を与える
 最後に賞罰いずれも「この場合はこの賞罰」と1to1で決まっているケースを見受けますが、可能な限りオプションを与えましょう。

「今回の問題は看過できません。選択肢は3つです。1.自宅謹慎、2.減俸、3.辞職。どれにするか判断は任せます」

厳しいケースを例にとりましたが、人は自分が選択したことにはある程度の責任を持つので(コミットメントと一貫性の原理)、なるべくオプションを示して選択をしてもらいましょう。

さいごに

とはいっても賞を与えても罰がおきない日々が続けばいいなーと思うのが、人の性(さが)ですな…。

サポートいただけたら、嬉しくて本屋に行くと思います・・・笑