詩 流体
りょうてをふさげば底へ溜まり
りょうてをあければ空へ浮かぶ
陰りに降りしきる岩石と
陽りに差しかかる白色光
重い、想い、入れで、花弁は沈む
ミクロにとっての対偶
そのさらなるミクロにとっての対偶
マクロにとっての対偶
そのさらなるマクロにとっての対偶
体内に沈む情念と
表層に浮かぶ灰汁
カフェオレの粉末
ミルクティーのラテ
急速冷凍
により
宇宙の位置関係は固定される
むくろは
鈍重にしずみ
ぼうれいは
軽佻にうかぶ
そして
分かたれた世界の
それぞれの
なかで
また
沈殿と浮揚が
それぞれうまれる
そしてまた
旅立ちたいという願いが
立ち現れる
そして、やがては
それぞれ屍体のなかで
生きわかれた情念たちが
くらい空のしたで再会する
『東方妖々夢』に登場する亡霊『西行寺幽々子』
および『秘封倶楽部』シリーズを基にした詩