詩 水晶のような
百点未満だからだめなんじゃないし、一位じゃないとだめでもなくて、けれど不足しているものがあった。
森の木立の四方山話。血液が染み出して白皙。新品のテディベアだけで妖怪は退治できるらしい。力を与えてくれるものを神様と呼ぶなら、足を引っ張るものをどんな侮蔑によって迎えるのだろう。雨ざらしになるでもなく、庇に走るでもなく、ただ朧気に両者の引力のあわいを抜け出せない。
もっとも中途半端に間違っているのは私かもしれない。どうか割り切るなよという囁きは呪詛で、いま奏でられることばは少ない。
代わりに墜落してくれていたんだね。
月から水面に落ち行く姿に飛び込む。抱きかかえたとき飛び出すものは、水晶のような血液。
似合ってる。
たぶん細い首だったものが猫のように跳躍した。不安とも安心ともつかない夜空がすきだ。そこで踊っていたのはかつての千秋楽だった。
『東方輝針城』に登場する琴の付喪神『九十九八橋』を基にした詩