【ほぼ日更新/ネタバレ御免】チェンソーマン8巻読んだ

 ほぼ日更新15日目。漫画を30分で読む時間を含め、なるべく1hに収まるよう、それに関する絵と記事を書く日課。

※作品に関するネタバレ注意

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 チェンソーマン7巻。最新刊。念のため、念をおしてネタバレ注意。



 今まででぶっちぎりで面白い巻でした。日頃ツイッターで「チェンソーマンマジで面白い 今見ないとヤバい」みたいな意見を散見するなあと思ってたら、この8巻あたりの展開を言っていたのか。
 正直クソ面白い。SCPとかクトゥルフを通ってきた自分からすると、もうびっくりするくらい面白い。悪魔という存在が人智を超常した存在なんだ、ということが非常によくわかった。指さす(敵意を向ける)だけで対象の腕をもぎ取り、体中の穴という穴から血を噴き出させ(メイドインアビスか?)、腕と指をひしゃげさせるような超越的な能力を持つ闇の悪魔、マジでやばかった。
 地獄に連れていかれた時の魔人たちの怯えようと、そこからの闇の悪魔の怒涛の展開、完全にクトゥルフ神話でクリーチャーが出てくる流れだったし、SAN値もHPもゴリゴリ削られていってたし、そこにステータスがブチブチに振り切れているマキマさんというNPCが現れてなんとか現世に戻ってきて、戻ってきた先で闇の悪魔の力を得て暴れまわっているサンタクロースがいて…その撃破の方法も闇に対して光(焼身し特攻)をぶつけるという捨て身の策で、いやあ、クソおもしろい。

 もはやだれが生きてて誰が死んでるのかよくわからん(呪いの悪魔に刺されたデンジくん無事だったし)(でもクァンシ一行は…明確に処刑されてたし死んじゃったかもしれないな…)けど、そんなカオスな展開を繰り広げる8巻「もうめちゃくちゃ」、決して頭が痛くなる展開ではなくワクワクする意味不明さがあって、死ぬほど面白かった。はああ~~。ジャンプでこれをやるあたりは確かにおもしれえな~~。

 個人的にはサメという生き物に目がないので、ビームが恐らく死んでしまったのがすごく悲しかったです。ビーム…

■無知と知

 「この世でハッピーに生きるコツは 無知で馬鹿のまま生きること てめえは大人しく首輪つけときな」

 「人形が人の真似をしているだけだ 躊躇せず殺せ そういうことで理解すれば殺せるだろ バカになれデンノコ」

 「そして貴女は今度こそ本当にすべてを理解することができます すべてを理解した者は皆…」

 7巻終盤から8巻にかけてクァンシや宇宙の魔人(コスモ)が言っていた内容の引用。7巻終盤で急にクァンシが言い出した「無知で馬鹿のまま生きること」というフレーズが妙に引っかかってたんだけど、なるほどこれを説明するための8巻だったんだ、と思った。

 端的に言うなら、デンジVSサンタクロースの戦闘の勝敗は「どちらが無知で馬鹿であったか」に左右された。デンジはガソリンを自分にぶちまけて発火させ、サンタクロースに「光の力~~!」とばかりに特攻し、人形に伸し掛かられても、車に突撃されても攻撃。

 「貴方は恐れを知らないのではない 頭が足りず理解できないだけ」

 そうサンタクロースに揶揄されるデンジだけど、しまいには「すべてを理解しました」と宣うサンタクロースから「アイツは理解ができません 近付けないでください」と言わせ、サンタクロースを瀕死に追いやることに成功。結局クァンシの言うように、無知で馬鹿な者が、全てを理解したと宣う者を凌駕するという結果になった。まあ、クァンシが言ったのは「幸せに生きるには」なので強さではないんだけど、ただ、この馬鹿さは理解の枠を超えていて(マキマさんと旅行に行けないからって車に轢かれて爆発しても生きてるのは誰が見てもおかしいだろ)、全能を自称する者の知識の穴を突いてくるところが、やっぱり強いのだろうなと思う。それは以前のほぼ日更新の記事でも書いた通り、相手を恐怖させる力の強さが悪魔の強さそのものになる、ということとも通じている。デンジの強さはバカさ、相手の理解を超えたタフさと強さ、その行動原理の純粋すぎる欲望にある。

 さらにサンタクロースの最期はクァンシの女である宇宙の魔人(コスモ)の精神世界に引き摺り込まれ、「闇の悪魔の能力で得た知識はこの図書館のほんの1ページにすぎない」と言われ、図書館の情報全てを流し込まれてハロウィンしか喋れなくなる化するという(これめちゃくちゃSCPっぽくて好きな演出)。これはクァンシが岸辺先輩に忠告した「大人しく首輪付けとけ」に通じる。下手に手を出して知ろうとしたら、それより知識と力が上回るやつにボッコボコにされんぞ、というやつ。8巻の最期、岸辺はマキマさんの能力を見てはいけない決まりに従って、クァンシを見捨てて目隠しをし、クァンシはマキマさんに処刑されたという流れも、まるでクァンシは首輪を外してしまった犬で、岸辺先輩は首輪をつけたままでいる犬、という印象を受ける。

 ああ、弱肉強食だなあ、と思いつつも、弱い・強いは単純に0から100まであるパラメータではないのだと思う。知を極めてもより高い知に圧倒されるが、無知を極めると知に対して有効打になる。知は普段から知の状態に慣れているから、突然無知が飛び込んでくると狼狽し恐怖する。そこのどんでん返し感があるデンジくんだからこそ、弱肉強食の悪魔と魔人の世界の中で、読者に希望を持たせるダークホース足り得るんだろうなと思った。


■絵の話

 闇の悪魔の欠片を得たサンタクロースを描きました。バキバキにヒビが入ってるビジュアルが、東方の磨弓ちゃんみたいでかっこよかった(そこはこう、宝石の国とか別の例えがあるのかもしれないけど、そういう直感だった)。


画像1

 サンタクロース模写 50min (線の色を従来の青⇒黒に変えた)

画像3

 原画との照らし合わせ(青が自分の線)。ジョジョ10巻で承太郎を模写した時もそうだったけど、どうも目が俯きがちになる癖があるかもしれない。個人的な話だけど、リアルで人の顔を正面からまともに見てないのが災いしているかも……しれな…い?


それではまた明日