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9.やらなければいけないこと

寝ても醒めても、好きなことへの情熱は尽きない。諺に「好きこそものの上手なれ」ってのがあるけれど、まったくその通りだ。なんたって好きなことは長続きする。結果、その取り組みは磨かれ、質も向上する。

僕は、中学の入学式で聴いたブラバンの生演奏に魅了され、その興奮のまま部活見学に行ってみた。小学生時代、音楽の授業はあまり好きじゃなかった。ハーモニカもリコーダーも苦手。それがどういうわけか突き動かされるように部室に。「今、空きがあるのはこれ。」とホルンを触らせくれた。ワクワクした気持ちから、その場で入部を決めてしまった。
部活が始まると、合同練習の時間はもちろん、居残り練習したり、家に持ち帰ったり。すっかり楽器中心の生活になってしまった。入学してほんの数ヶ月、最初の中間テストでいきなり音楽が100点。1学期の通信簿には満点の5が付いた。特に猛勉強したわけではない。部活を一生懸命やっていただけだ。いつの間にか、苦もなく譜面が読めるようになり、音楽理論だのも自然と頭に入ってくる。音楽に関する様々が自分の中で常識化していった。  “好き”なことをやるって、こういうことなんだろうなぁ。

まぁ、自分でやると決めたことが楽しいのは当たり前。こんなことばかりでやっていけるなら人生は楽勝だ。問題なのは義務的なこと。つまり“好きじゃないけど、やらなければならないこと”ってやつだ。社会は人との関わりで成り立っている。自分の都合だけじゃ物事は円滑にまわらない。物心ついた頃には、この“やらなければならないこと”のオンパレードだと気づくはずだ。
そう考えると、上手な生き方って、義務のこなし方が上手ってことなのかも。日々沢山ある“やらなければいけないこと”の隙間に、ちょこっとある“やりたいこと”というバランスが、概ね人生の形。まぁ、しかし、束縛ってもんがなければ、自由が嬉しいなんて気づかないだろう。いや、そもそも自由って概念も生まれてこない。好きなことをする喜びは、案外、義務の窮屈さを越えたところにあるのかもしれない。

根が怠け者の僕が実践してきた、義務への対応法をいくつか記しておこうと思う。

1. 結果に注目する。
得られるメリットを取りにいくといった心持だ。「やり遂げればこんな良いことが待っている」と、プロセスの先に起こることを第一の目的に据えるのだ。到達地点を見ていれば、何のための我慢かを見失うことがない。きっと行動の後押ししてくれるはずだ。

2. 意義を考える。
社会的に、どんな意味があるのかを考えてみる。「怠れば、人にどんな迷惑をかけるのだろう?」「これは誰かにとって役立つことだから…」という捉え方。つまり行動の動機を自分の外側に見つけるということだ。誰かに感謝されるって、大きな力になるもんだ。少なくとも嫌な気はしない。また、誰かが自分を助けてくれてたってことにも気づけるだろう。

3. バランス感覚を身につける。
思いつめないこと。妥協も、時には必要ということも覚えておいてほしい。長いこと人生を続けていかなければならない。適度に手を抜き、心の負担を軽くしてあげる。なにもかも完璧ではないけれど…、まぁそんなもんかなぁ~と考えてみる。ゆるゆると取り組むことで、力みがとれ、かえって良い結果を招くことも多い。

ともかく生きてると、やらなければならないことが次々やってくる。たとえ面倒を感じても食べなければ死んでしまう。ずっと続けていたくても、寝なきゃ体が持たない。仮に共同作業だったなら、仲間と歩調を合わせていかなければ物事は進まない。生き方って、そういったことをどうしていくのかって話かもしれないね。
そういえば時々こんなアドバイスをもらったなぁ。「やらなければならないことを好きになれば良い」とかね。まぁ、気持ちはわかるけど、そんな都合よくはいかないもんだ。どうしたってイヤなものはイヤだし、面倒なことは面倒なのだ。まぁ、そこいらを自覚した上で、義務的なことは、サクッとこなして、好きなことにいっぱい時間を使ったらいい。

おっと、まず好きなことを見つけなきゃだね。出会えればラッキー。すぐには見つからないかもしれない。でも、探し続けたらいい。なくても生きていくことはできるけれど、あればより楽しくやっていけるから。

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