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今日は2022/7/31の日記「果穂、誕生日おめでとう、トロッコ問題を教えてあげよう。そしてトロッコ問題を考える」

・明日には東京で、最高気温38度を叩くらしい。水道水もお湯となって出てきた。ばか。あほ。この、夏に溜めた熱さを、冬に活かし、冬に溜めた寒さを夏まで保存しておくことってできないんですか? 技術的に。理系のみんな! 理系のみんなー!

・7/29は小宮果穂の誕生日でした。誕生日おめでとう果穂。夏に君が生まれたなら夏はあったほうがいい。そしてこんな暑苦しい世の中も、果穂みたいな健やかで清々しい可愛さを持つ子がいてくれると、楽しくなるってもんだよ。ねえ果穂、果穂! 聞いてるか、果穂。新宿でばったり出会って私とツーショット撮ってくれ……

・小宮果穂は可愛い。小学六年生でありながら私と身長がそこまで変わらないところも、可愛い。でも二次性徴がそこまで強くなくて、周りの子に身長を抜かされ始めたりしたら、私はあまりの可愛さに感極まって死んでしまうかもしれない。それで死ねるなら本望だ。

・果穂、君は自分が、ヒーローみたいなアイドルに、なれると思うか? ――なれるよ。信じていればなんでもなれる。そうなっている自分が想像できるような大人に、人はなれるんだよ果穂、分かるか? 人はみんな誰かのヒーロー足りうるんだ。生きていればとんでもない悪意に触れることもあるだろう。この先が長い、中学生も高校生もこれからの果穂にはよっぽどなことだ。でも、悪意があるからこそのヒーロー。どんどん美しさを失っていく世界に、君がいてくれたら、私たちは守られるんだよ。

・でも果穂、いま着ている服、いまに着なくなるんだよ。中学生になったら、周りの人たちも、自分と違う人々に見えてくるようになる。果穂が高校生になる頃には、ちょこ先輩も樹里ちゃんも凛世さんも、別なことに悩む大人になっている。でも果穂、大丈夫だ。なぜ大丈夫かって? きみは哲学を持っているからだよ。

・哲学はね、果穂。動じないことだ。哲学とはね、動じないことなんだよ。正義や悪、不幸や幸福は、瞬間瞬間に形を変える。その時に使える道具が哲学だ。

・知っているかね、トロッコ問題を。これはね、二手に分かれた線路上で、片方には一人、片方には数人いる。君の手に線路を動かすスイッチがあって、動かさなければ数人が犠牲になるが、君が動かせば犠牲は一人で済む。果穂、どうする? いや、答えは出さなくていい。答えは出せないからだ。

・なぜなら、このトロッコ問題にはそれほど意味がない。むしろこのトロッコ問題は意味が無いことを重要な意味としている。たとえば、ある人が「私ならスイッチを動かして犠牲は一人にする。そのほうが数人が助かるからね」と言ったりする。だがその人に別な条件を与えてみよう。

「もし、その一人が君の友人だったら?」

あるいは

「数人の方が、死刑囚の集団だったら?」

あるいは

「スイッチを動かさずとも、自分が線路で犠牲になればみんな救われるとしたら?」

・あるいは、あるいは、エトセトラ、エトセトラ。

・そう、条件はいくらでも有り得るんだ。答えはきっと変わるだろう。そのとき、瞬時に選択をすることが哲学を所持するということなんだよ。

・条件Aの場合、私はこう行動する。Bの場合、こう行動する。Cの場合、あるいはAとBが複合する場合、もたもたせずに行動を起こすこと、それが哲学なんだ、果穂。付いてきてるか? 私は難しい話をしているから、いまは理解できなくていい。

・哲学はね、つまり、思考の基盤なんだよ。思考の基盤ということは、行動のきっかけなんだよ。ときに鬱陶しく付いて回るコンパスなんだ。そしてそれはそれと知らずに存在する場合が多い。でも言語化できるならした方がいい。そして徹底的な検討に検討を重ね、自分の哲学はこうなんだと声高々言えるのがいい。それは昨日と違っていてもいい、明日変わってもいい。むしろ変わるべきだし、それより変わったことを自覚していることこそが重要なんだ。

・誕生日おめでとう果穂。

・果穂に教えたので改めてトロッコ問題の無意味について語ろう。これは無意味だが、価値がある思考実験です。

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