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また、旅する日まで。思い出せ、ロンドン。

子供のころから英語に縁があった私は自然とイギリスに憧れを抱いた。でも記憶に残ったのは歴史でも文学でもファッションでもなかった。
でもある意味とてもイギリスらしかった。

今使っているパソコンの買換えを検討の為、パソコンの中身を点検する。あれ?いくつかの旅の写真がない。忘れないうちに文章に残しておこう。


はじめてのヨーロッパ。9月終わりのロンドン、天気は良かった。
大英博物館、ナショナルギャラリー、ビック・ベン それにバッキンガム宮殿。バスに乗ってぐるーりとテムズ川を片手に一周して街並みを眺めた。
それと、母の知人を訪ね、父に頼まれて科学博物館でイギリスの誇る発明を写真に撮りまくった。
あっそうだ、初のミュージカルもロンドンだった。思い出せてよかった!

ミュージカルを忘れさせそうになるくらい、私の記憶を支配しているのはあのホステルの食堂だ。
ポンドを日本円に換算してしまうと何もかも高く、食べることも躊躇しまった。でも何か温かいものが食べたかった。値段も安くってライスだったからだと思う、マッシュルームストロガノフなるものを注文した。

ほとんど人もいなくって、これは私のイメージが作り出しているかもしれないけれど、石のレンガ調の壁でなんだか寂しい雰囲気。呼ばれて食事をとりに行き早速、一口目、”うん、うん。”。
二口目、”うん?”、三口目、”まさか…。”、四口目”あぁ、無理かも。”。
こんなお金払ったのに認めたくない。でも、まずいものはまずかった。

どうしたらこんなにまずくなるの分からなかった。シンプルなクリームソースにキノコが入っていて、クリームシチューご飯って感じなんだけど、とにかく気持ちが滅入る味だった。いや、味がなかった…。うまみが全く存在していなかった。これが噂のイギリス料理か。この先もこれよりがっかりした食事をしたことはない。

翌朝にホステル周辺のミレニアム・ブリッジ辺りを散策していると味のある物に飢えていた私は出会ったのだ、救世主に。

いい匂い。インド系の30代の男性がサンドイッチを売ってる。間違いない。具材をその場でバケットにサンドしてくれるタイプで、私はチキンを頼んだ。それはスパイスのほのかに効いていてちゃんと塩味のある素晴らしい美味しいサンドだった。あぁ、ありがとう。味があるってこういう事だよね。私はロンドン滞在中、そのサンドイッチを食べつつけた。

人生史上最もがっかりの食事と、人生史上最もありがたかったサンドイッチの街が私のロンドンとなった。

Photo by Pablo Valerio (Pixabayからの画像) 

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