同調から共感へ。自他の境界線とアンテナの調整。

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「私は、ひとから音は聞こえないんですけどね、話を聞いてイメージは湧くんですよ。私の中であなたはこんなイメージ」

と、SCの先生はイメージを描いて見せてくださった。

「あなたはたくさんのアンテナが立っている、ひとりの人からだけじゃなくて、たくさんの人の音(感情)を一度にわーっと拾っている。

そのアンテナは、幼少期からの家庭環境の中で、ご両親や祖父母、周りの大人の顔色や機嫌を伺って生き延びてきた、適応の結果、培われた能力。これ自体は、悪いものではない。アンテナを出したりしまったり、あるひとにはアンテナを張るけどあるひとには張らない、或いは耳を澄ませる場面やひとと耳を塞ぐ場面やひとを選んで、自分でコントロールできるようになったら、良い道具にもなる。

たくさんのひとの音(感情)を拾って、そのままイコール自分になっている状態、これはとてもしんどかったと思います。

音の方が速いからそうなってしまうんだと思いますが、、無自覚に無意識に相手と一体になってしまうのは、大変だった。

だから、境界線を持つ。相手の音も聞こえてていいけれど、自分の中に取り込まない。境界線を保って、自分の音(感情)を持ちながら、必要に応じてアンテナを立てて、ひとの音も聞く。

そうすれば、随分楽になると思います」

イメージはとても分かりやすくて、まさに自分でもそうだと思っていた内容でもあった。

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前回教えてもらった、「同調(I feel)」と「共感(You feel)」について得た知識といまの自分の理解、それに基づいた対人関係を確認することもできた。

同調について知って、私の目の前には、「他者」がいると気がついた。ひとから聞こえる音は、「私が」過去の自分の体験や、これまでひとの顔色を伺ったり機嫌をとったりすることで培われてきたデータを元に、相手の感情を予測して考えるより前に音として出力されているもの。(例えば、怒りは大きな音。幼少期、大人が怒るのは自分の身を脅かすものだったから、緊急度が高いので、大きな音に変換されて自分の警戒度を上げている)

その精度はある程度高いものの、あくまで他者に「自分」を投影した上での予測。色眼鏡をかけた他者理解。例えば、私にとって学校に行くことは大変な心労を伴うものだったから、子供が登校前に不快感を示すと、過去の自分が感じていた負の感情が想起されて、本当は過去の自分の感情なんだけど、それこそが相手の音(感情)だと思い込んで、その気持ちになって、いまの自分も苦しくなる。これは、同調。

でも、「共感(You feel)」について学んで、「私と他者は違う」ことと、「私は他者を完璧に正しくは理解できない」という事実を知って、救われた。音もよく聞くようになったけど、それが本当かどうかは分からないから、もっとよく他者を見るようになったし、こういう音が聞こえるけどそう?と尋ねて確認するようになった、音だけじゃなくて、他者の行動や言葉も、よく見て聞いて、他者理解の音以外の情報源にするようになった。

他者をもっとよく理解したいと思うようになって、尋ねたり確認したりよく見るようになったら、他者から辛い音が聞こえても、これは自分じゃないと境界線を保ちやすくなったし(まだまだ難しいけど)、自分は自分として置いておいて、他者(とりわけ子供)の音に合わせてダンスするような感覚は、とても楽しいものだと思った。

同調から共感へ、の練習について、これで大丈夫なものか聞いたら、「他者がいると気がついた、自分と他者は異なっていて、他者を正確には理解できない、だから、他者に尋ねて確認するようになった。うん、これならあなたは大丈夫です😊」

とニコニコされて、ほっとした。

精神分析家の先生は、「答え」はくれない。私の中で問いが熟成するのを見守って一緒に考えてくださるけど、SCの先生は、ある程度「答え」をくれるというか(笑)、こういう確認作業を一緒にしてくださって、私は本当に助けられている。 

「これまで、小さな大人として生きてきて、ご両親の宿題を代わりに背負ってきた感じ、何個も何個もランドセルを背負って、大変でしたね。そのときは、それが家族をつなぎとめる方法であなたが生き延びる戦略だったけど、もうランドセルはおろしていいんですよ。ご両親の宿題はご両親に返却しましょう」といい、いまの私が親族の宿題をまた代わりに背負いつつあることを指摘し、「あなたが相手にならなくていい、相手の宿題は相手がするもので、その取り組みを応援しましょう」と言われて、確かにその通りだなあ、と思って、肩の荷が下りたし、ある意味、私は私の価値観を他者に押し付けてしまうところがあったと内省に繋がった。

これが、「信頼できるひと(信頼関係を築いて)を頼って相談する」ってことかなあ、と思うようになった。

次回と次次回の予約もして帰路についた。




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