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日記のような、びぼーろくのような(2024.7.24 夏のある日の私の日常)

朝から放置竹林整備のNPO「京都竹ネット」の事務所に向かった。
大学合気道部同期のいる生命保険会社からノベルティグッズの注文が入り、その発注、請求の手続き、その他打合せがあっての久々の京都西山だった。

朝7時過ぎに阪急洛西口駅に降りた。すでに蒸すような暑さである。スマホをのぞくとすでに30度ある。
小学生の夏休み、母に「涼しい午前中に宿題をしなさい」と言われたのを懐かしく思い出す。コンビニで冷えたジャスミン茶を買い、阪急のレンタサイクルにまたがった。しばらく来ぬうちに西山の緑は濃く変わり、「無口な蝉」なんていれば仲よくしてやってもいいな、と思うほどの合唱のなか自転車を走らせた。

事務所はもう皆作業に向かった後である。理事長、奥さん、事務所大家のお母さんの三人が私を待っていてくれた。
そこにはいつもの日常があった。
お茶を飲み、話し、笑い、NHKの朝ドラを黙って観てそれぞれにそれぞれの作業がある。私も書類を作り竹の耳かき150本を宅急便屋から発送する。
朝のルーチンが終わればそろそろ人がやって来る時間である。誰もが打ち合わすことなくふらりとやって来る。まずは「竹の塾」の塾長である。「竹の塾」では放置竹林整備と竹の子の栽培を教えている。今日の塾長は少し深刻な顔でやって来た。今年は酷く虫が多いと言う。この時期一番笹の緑の美しい季節、なのに塾長の山は一面正体の分からない幼虫がこの緑を枯らしているというのである。竹の命の危険もあれば、来春の竹の子にも大きな影響が出てくる。すぐに幼虫のサンプルを集めさせて京都市に持って行かせた。調べてすぐに除虫対策を取らなければならない。

近くに住む某大学のもと教授のおじいちゃんが横でその話を聞き、この異常な暑さで弱い虫たちが自己防衛のために大量発生をしているのだろうと言う。早急に手を打たなければ来春の京都の竹の子市場に大打撃を与えてしまう。とりあえず、結果待ちである。

次は京都市産業観光局の担当が通販大手の責任者を連れてやって来た。日本各地の地場の名産を扱う事業者の培ってきたストーリーとともに商品を「BtoC」で届けていると言う。
話を聞けばこれまでも各地の竹関係の食品を商品としている。聞いたことのある事業者の名前だと思っていたら、いくつかは理事長の弟子のような人達だった。

この理事長の大きな特徴であるが、「独り占め」と言う概念を全く持っていない。手弁当でどこへでも応援に出かけて知ってること、自身でこの20年ほどで学んできたことを教えてなにも見返りを求めないのである。「個人や一団体でこの放置竹林整備を成就できない」といつも口にし、日本全国をウロウロしてきた人なのである。京都府、京都市とも長き付き合いがあり、困りごとのある人には本当に便利な存在なのである。

朝から大屋のお母さん推奨の白玉入りのアイスを進められてパソコンに向かいながら、3個めを食べかけていたら、レクサスが事務所敷地に入ってきた。大きな箱を抱えて入ってきた社長の会社がそのアイスクリームを作っている。事務所の冷蔵庫の在庫を切らすことなく運んでくれているという。お嬢さんがバッグを作っている。その持ち手を竹の根ぶち(竹の根っこ)で作っているのである。そう言えば10年ほど前にはフランスの有名ブランドのバッグ用に納めていたことがあった。竹は世界でメイドインジャパンが一流なんだそうである。しかもインキョウトでなお価値は上がるのである。この社長にももう6年も前に根ぶちの加工方法を伝え、今では社長自ら加工し、お嬢さんのバッグ作りを手伝っているそうである。加工した根ぶちは高額である。社長はずいぶん理事長に恩義を感じているようである。お嬢さんの作る高級バッグは今引く手数多で予約待ち状態だそうである。

ここでも理事長は惜しみなく技術を伝承させて広げているのである。
やっていることは非常に分かりやすく、とても素晴らしいことである。でも、このNPO法人も食って行かねばならない。そのために、理事長が健在な限り、私は通い続けなければならないと思っている。

理事長は私より10歳年上である。そろそろいろんな事を考えなければならない。遠くない将来、いろんなことがあると思う。
私は私の生き方と重ね合わせて出来ることと出来ないことを区別もしていかなければならない。

そろそろ帰ろうと思ったら土砂降りの雷雨がやって来た。しかし、帰ってやらねばならない事もあり、雨振りの間を縫って自転車を走らせたが、久しぶりに濡れネズミとなった。帰りの阪急電車の冷房で身体がすっかり冷えた。梅田で紀伊国屋に寄って岩波ジュニア新書を買い、地下鉄御堂筋線で天王寺まで詩の世界に浸り心は潤い身体はすっかり乾いた。昼メシを食ってないのを思い出し、いつもの定食屋でオムライスを食って自宅に向かった。

晩は大家のお母さんがくれたキューリを酢の物にして、スパゲティサラダにも入れて、なんとなくカレーが食いたくなって牛すじカレーを作って食べたら腹一杯になって少し横になったら3時間も過ぎていた。またジュニア新書を開き、明日が木曜日のこの note の投稿日であることを思い出し、あわてて作成、私の休みの一日は終わったのである。
なんだか久しぶりに、夏休みの宿題の日記を書いたような気がした。



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