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「コミンスキー・メソッド」シーズン3は楽しく短いお別れ

以前も取り上げた、Netflixのオリジナル・ドラマ「コミンスキー・メソッド」の最終シーズンとなるシーズン3が配信開始になったので一通り見た。

マイケル・ダグラス(76歳)とアラン・アーキン(87歳)という往年の名優2人が、老境に入った売れない俳優兼演技コーチのサンディ・コミンスキーと、金銭的にはともかく家族に恵まれないそのエージェントで親友のノーマン・ニューランダーに扮し、老いの悲しみと喜びを描くコメディ・ドラマ、などと書くと往年の松竹新喜劇みたいだが、そこは「ビッグ・バン・セオリー」などで知られるアメリカン・シットコム(シチュエーション・コメディ)の第一人者チャック・ローリがプロデュースなので、あまりベタベタせずカラっと下品でしょうもない。

今までは超高齢のアーキンの、素なのか演技なのかよく分からないぶっきらぼうな演技と、アーキンよりは若いダグラスとの絡みが絶妙で、それが魅力だったのだが、シーズン3ではアーキンは降板。元々2年だけの約束でやっていた、ということらしいが、他にも理由はあるのかもしれない。いずれにせよアーキン最晩年の代表作ということになると思う。そんなわけで彼が演じていたノーマンはシーズン2と3の間で亡くなったことになっていて、その葬式から話は始まる。ジェーン・シーモアのキャラクタ設定が若干おかしくなっていたり、やや不安の残る出だしではあったが、途中からは安定のおもしろさ。

アーキンがいなくなった穴は大きいが(そういえばリサ役のナンシー・トラヴィスもいない)、このドラマに出ているのはとにかく芸達者ばかりなので、まあなんとでもなる。メイン・プロットはサンディのしっかり者の娘ミンディ(3~40代)とその婚約者マーティン(6~70代)の年の差結婚で、そこにキャスリーン・ターナー演じるサンディの元妻ロズが絡む。ターナーはダグラスとは映画「ローズ家の戦争」以来30年ぶりの共演らしいが、なかなか息の合ったところを見せている。さらに金だけはあったノーマンの莫大な遺産が様々な形で登場人物たちに影響するのだが、そちらではノーマンの薬物中毒の娘フィービー(リサ・エデルシュタイン)とその息子でサイエントロジーにはまっているロビー(映画「シックス・センス」の名子役だったハーレイ・ジョエル・オスメント)が、スポイルされたバカ親子を巧みに演じていて笑える。

とはいえ、コロナの影響なのか、何せ6話しかないので(これまでは8話)、いろいろ無理があるというか最後のほうはかなり駆け足になってしまった感は否めない。特に、サンディ自身、あるいはサンディとロズの最後のストーリー・ラインは、あまり書くとネタバレになるが、まあ、かなりはしょってましたよね。終わり方は、個人的な好みからすればちょっと甘口だったかな(あんなにうまくいくわけがない)。個人的には、モーガン・フリーマン役を演じたモーガン・フリーマンの演技力に敬服させられた。確かにすごいや。

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