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Webディレクターは言語化が命 イメージを言葉にできるおすすめ書籍5選

コンセプトを言語化する。デザインを言語化する。
ディレクターにとって言語化は必要最低限のスキルです。

言語化をどのように磨くのか?それには言葉のインプットが必要で、一番身近な方法として読書があります。読書で言葉のインプットすることで、なんとなくボヤっとしてて言語化できなかったことが、作者の言葉を借りて、雪解けのように、言語化できるようにきっとなります。今回ご紹介する5冊はWEBディレクターとして、実務経験1年以上の方々は絶対役立ちます。できれば、2回ずつ読んで欲しいです。

手をひたすら動かしているだけでは、デザインの意図や深く考えたプロセスをきちんと説明することはできません。私は、言葉としてのインプットがないと、アウトプットはできないと考えています。漠然としたイメージ、経験上なんとなく見えている正解など、言葉ではうまく表現しにくいことも、本を読んで言葉のインプットをすることにより、アウトプットできるようになってくると思っています。

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1. 『センスは知識からはじまる』(朝日新聞出版、2014年) 水野 学

“くまモン”のデザインで有名な、水野学さん著書の本です。この本は今まで苦手だと思ってたことでも、やってみようと思わせてくれる、価値観を変えられる一冊。生まれつきのものだと思われがちな「センス」が、決して持って生まれたものではなく、タイトル通り知識や経験で習得できるものだということが、実例も交えてわかりやすく説明されています。

この本を読むと「私はセンスがないので…」などと恥ずかしくて言えなくなる一冊です。
とても読みやすいです。会社の本棚の前で本を選んでるスタッフを見つけたら必ずこれ読んだ?って聞いて薦めてます。

■印象的なセンテンス
「センスのよさとはミステリアスなものではないし、特別な人だけに備わった才能でもありません。方法を知って、やるべきことをやり、必要な時間をかければ、誰にでも手に入るものです。僕もあなたもセンスは等しく持っており、違いはそれをどう育てるか、どう使っているか、どう磨いているかだとお伝えしたいと思います。」

(「センスは知識からはじまる」より抜粋)


2. 『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫、2007年) 佐藤 可士和

TSUTAYA、ユニクロ、楽天、ホンダなどの超一流の会社のアートディレクションを手がける佐藤可士和さんの本です。いま日本で一番有名なアートディレクターかもしれません。この本は、その佐藤可士和さんがモノゴトの本質を見極めるプロセスを解説した一冊です。

モノゴトを「空間の整理」「情報の整理」「思考の整理」の3つに分け、大切なのはプライオリティーであり、視点の導入であり、思考の情報化である、と説かれています。
10年ぐらい前に会社で社員に配ったぐらいお薦めです。最近、また読みたくなってオーディオブックで読み返し(聞き返し)ましたが今でもバリバリ参考になります。

■印象的なセンテンス
「『売れるものを作ろう」と思ったときに必要となるのは、新たな発明でも斬新なひらめきでもありません。モノやサービスが飽和状態となった今の時代、”売れる”“売れない”の違いは本当にわずかです。微差の部分で”売れる”“売れない”が決まるとき、決定だとなるのは次の要素です。『どこまで緻密にアウトプットの質を高めているか』。」
「この整理術、僕は決して義務感で実行しているわけではありません。仕事を快適に進めて行きたいと思い続けているうちに、自然と身についていきました。改めて考えると、自分の仕事であるデザインも、クリエイティビティ溢れる整理術だと捉えています。なぜなら、ひとつのデザインを生み出すことは、対象をきちんと整理して、本当に大切なもの、すなわち本質を導き出して形にすることだと思うからです。」

( 「佐藤可士和の超整理術」本文より抜粋)


3. 『100年の価値をデザインする』(PHPビジネス新書、2013) 奥山 清行

奥山清行さんは、イタリア人以外で初めてフェラーリをデザインした工業デザイナーです。ゼネラルモーターズ、ポルシェ、イタリアのデザイン会社ピニンファリーナなどでチーフデザイナーを歴任。近年は家具や食器、そして秋田新幹線やヤンマーの農機具のデザインまでを手がけ、世界的に活躍されている方です。水野学さんや佐藤可士和さんとは違い、主に工業製品のデザインを手掛けているので、例えば耐用年数を考えたデザインや機能性、操作性などの要素も重要なポイント。その思考や洞察の深さは、非常に勉強になります。

私はこの本で奥山さんのデザインに対するストイックさと洞察の深さに感動しました。その感動を伝えたいと思い、当時の新卒のスタッフに課題図書として読んでもらってました。

■印象的なセンテンス
「これは同じ世界を目指す後輩に向けてのメッセージだが、若いデザイナーは質を追うならひたすら数を出せと言いたい。頭を振り絞って考えに考えて、その上で数を出すのだ。それだけでではなく、労をいとわず体を動かせ。億劫がらずに現場に行け。手を動かせ。そこに答えがある。」

(「100年の価値をデザインする」本文より抜粋)


4. 『仕事をつくる』(ちくま文庫、2009) 安藤 忠雄

世界の建築家、安藤忠雄さんの本です。安藤忠雄さんぐらいになると仕事がどんどん舞い込んできて、好きな仕事だけを選んで思うままにできるのだと思ってましたが、実は我々のWeb制作業と同じで、限られた予算の中で、いかにクライアントの要望と自分たちが考える“あるべき姿”を両立させるか…という、すり合わせの連続なのだそうです。しかも、結果責任も背負いながらの作業。読んでいるうちに、親近感と共に、世界の安藤さんでもモノづくりとなれば、同じような苦労はあるんだなと思わされます。これからもがんばろう、と勇気付けられた一冊です。書かれている言葉に、特有のキレがあって、とにかくカッコイイです。

■印象的なセンテンス
「コンペは建築家にとって真剣勝負だから競争者の優れた案を見ると、力量の差を思い知らされ、恐ろしい。正解は一つではないが、明らかな優劣は致し方ない。現実を突きつけられ負けからまた学ぶ。しかし、そういった不安と緊張感の中でしか生まれない想像力がある。挑戦しなければ、向上は望めない。」

(「仕事をつくる」本文より抜粋)


5. 『デザインのデザイン』(岩波書店、2003年) 原 研哉

日本を代表するグラフィックデザイナーで、無印良品のデザインも手がけられた原研哉さんの本です。この本の書き出しは「デザインを言葉にすることはもうひとつのデザインである」で始まります。シブすぎます。何かの小説のような書き出しです。この本は独特の言い回しで少し難解なところもありますが、しっかり読めば論理的な文章で、奥深さがあり、とにかく言葉の重みがハンパないです。

私自身、この本と出会ったのは10年ぐらい前だったと思います。実は当時はあまりピンときてなかったんです。理解できませんでした。ですが、最近、読み直してみて、ビリビリ電流が走りました。この本は人を選ぶかもしれません。アートディレクターに近い方はビリビリくると思います。何度か読んでくださいね。

■印象的なセンテンス
「無印良品が目指す商品のレベル、商品に対する顧客の満足度のレベルはどの程度のものだろうか。少なくとも突出した個性や特定の美意識を主張するブランドではない。『これがいい』『これじゃなきゃいけない』というような嗜好性を誘発すうような存在であってはいけない。いくらのブランドがそういう方向性を目指すであれば、無印良品は逆の方向を目指すべきである。すなわち『これがいい』ではなく『これでいい」という程度の満足感をユーザーに与えること。『が』ではなく『で』なのだ。しかしながら、『で』にもレベルはある。無印良品の場合はこの『で』のレベルをできるだけ高水準に引き上げることが目標である。」

(「デザインのデザイン」本文より抜粋)

以上、5冊をご紹介しました。どれもいい本ばかりですので、気になったものがあれば、ぜひ読んでみてください。




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