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獣機装着ズーティックギア【ティアラーの目覚め】

シュウジが開けた目の前には床。隣席だった青年が倒れている。
上京のため装甲列車で海沿いを往く午後、シュウジは微睡みながら春からの生活を想っていた。
――きっと、他の乗客も。
この惨劇の主……地球上全存在と相いれぬ者……”エネミー”が列車を蹂躙するまでは。

(ここは巣<コロニー>からは遠いはずだぞ)
だからこそ、列車が運行されていた。
(ニンゲン! 目を覚ませ!)
そんな曖昧なシュウジの思考に、突如、荒々しい声が響く。
(立て! 死にたくなければ!)
死。その言葉で彼の頭は一瞬で覚醒した。
力なく立ち上がったそこには、浮遊する金属板、装甲壁が破壊され見える外界、そして……囲む小型エネミー。

硬直するシュウジを、エネミーらの無機質な瞳がターゲットする。
(さあ、叫べ! オレの名を。生きたいならば!)
「「紫紺の顎王(バイオレット・ザ・タイラント)!」」
――瞬間、彼の意識は光に塗りつぶされ、身体は機械鎧を装着していた。

.../続く

資料費(書籍購入、映像鑑賞、旅費)に使います。