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まいこ・ザ・ジャンパー 1

新しく誕生したジャンパー・チャイルドに伴って現れたアーキタイプにより、街が丸ごと呑み込まれた。との報に、俺は驚きを通り越して間抜けな顔をしていた。

「……で、被害は」
『例によって、この規模でも人的被害はありませんでした。が、街が丸ごとですから、物的には、それは、もう……』
言いづらそうに、画面の中で区切り区切りエージェント・マルシャが言う。
『住人はともかくとして、もう街ごと艤装にしてしまえば良いのでは。と言う案も出ています』
「それはまた、剛毅だね」
そう答えながら、俺は朝食と着替えもそこそこにプライベートモビリティに乗り込み、マルシャの姿をそちらのディスプレイに移した。

『アドレスを送ります。では、お気を付けて』
「はいはい。現場でね」
画面が変転し、確認。大体、20分というところか。俺はモビリティのアクセルを踏み込み、ベランダから飛び立った。

地球人類が宇宙に進出して100年。太陽系をヨチヨチ歩きしていた我々を哀れんだのか、ビッグ・ママ。またはパパ。あるいは神。超越知性? 宇宙の王?(まあ観測されてない存在はどうでもいいよね)は、あるギフトを贈ってくれた。

ジャンパー。そしてアーキタイプ。
生得的にワープ出来る”ひと”と、その乗り物。

これを、全世界は皆で育てることにした。
世界の果てのような村に突然現れた第一号のその子は、可愛い赤ちゃんだったからね。

【続く】

資料費(書籍購入、映像鑑賞、旅費)に使います。