見出し画像

クナト・ビデオシステムズ ビデオ撮影・編集・ダビング一括お任せ ※妖魔退治もお請けします

お客さんビデオ屋さんなんですか? へー。

レンタルとかではなく撮る方。なるほどなるほど。確かに肩が大分張ってますね。

ん? と言うか全身かなり凝ってますね。やっぱり身体使う仕事なんですか?

あー、タレントさんが「決死行! アマゾンに隊長が散る」みたいなのでもカメラ持って同じとこ行くんですもんね。正直あれはカメラマンさんのがすごい気が。

あの~……なんか情報番組とかの話って有りませんかねぇ。ウチ、見ての通りお客さん少なくて。

……そういうのは撮らない。そうですか。残念……。

はい、今回は終わりです。っていうか、どうも僕、自分で言うのも恥ずかしいんですけど、すごくマッサージ上手いらしくて、一度施術したら一発で治って再来院してくれないんですよね……。

なんで、なにか宣伝とか出来る番組の話があればまた教えてほしいんです。

あ! もちろんお礼とかはしますから。

……え?

■■■

「てわけで、オリマツ鍼灸院の織松さんだ」
「はあ? 社長なんでマッサージ行ってマッサージ師連れてきてんです? あほなんですか?」
僕は言われるまま、お客さんの会社に連れて来られていた。目の前には目付きの悪い女性事務員さん。僕と同世代位……20代なかば位だろうか。
「いやいや、マジやべーんだって織松さん。天才だよ」
「街角情報番組はこの前撮影すっぽかしてブチ切れ契約破棄されたばっかでしょ?」
「違う違う。タイマの方だよ」
大麻!? 何の話だ!?
「へぇ……」
事務員さんが目を細める。あ、ちょっとキレイかも。いやそうじゃなくて。
「あの、僕そう言う反社会的なのは……ちょっと……」
「織松さん、天然でっパない気功操ってるんだよ。下級妖魔ならビンタでぶっ殺せるよ」
……ん?
僕は逃げるため身体を7割ほど出口の方へ向けていると、ガシっと社長さんに肩を掴まれた。
「ウチはクナト・ビデオシステムズ。略してKVS! ビデオ制作全般。それと妖怪退治、退魔師してんだわ」
……え?

【続く】

資料費(書籍購入、映像鑑賞、旅費)に使います。