Designship2019(1日目)の振り返り

2019年11月〜12月は海外カンファレンスを含めてたくさんイベントに参加したので、少しずつ振り返っていこうと思います。
すべて今更感はありますが、、まずはDesignshipの振り返りです。

Designshipは「業界の壁を越えた、日本最大級のデザインカンファレンス」で、
2019.11.23(Sat.) - 11.24(Sun.) @東京国際フォーラムにて行われました。
https://design-ship.jp
原研哉さんをはじめ、たくさんの有識者の方々が登壇された、お祭りのような会でした。既にたくさん(たぶん)の人がイベントレポを書いていることと思うので、探してみてください。

さて、たくさんあったセッションの中から、個人的に印象的だったものを簡単に残しておこうと思います。

まずは1日目。

「ブランディングデザインのはじめかた - デザインと経営の新しい関係 -」

株式会社エイトブランディングデザインの西澤明洋さんのセッション。
ブランディングデザインとは何か、ブランディングデザインに必要なもの、という話でした。

ブランディングデザインを「マネージメント」「コンテンツ」「コミュニケーション」の3階層に分けて考えているところには腹落ちしました。

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この話のもと、マネジメントとコンテンツとコミュニケーションが、それぞれ「経営者」「プランナー/エンジニア」「デザイナー」の縦割りで役割が分断されているのでよろしくない、デザイナーが最初から関わっていくべきだという話もありました。

こうではなく
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こうあるべき画像3

これらを実現するため、これからの経営者にはデザインリテラシーが、デザイナーには経営リテラシーが必要になるとのこと。
西澤さん曰く、真のブランディングデザインとは、「経営とデザインの融合」。
このあたりは昨今では色々なところでも聞く話ですが、前段からの流れから、説得力がありました。

「失敗こそクリエイション」

REDD inc. 代表の望月重太朗さんのセッション。(Keynote)
いかに失敗を上手く経て成功に繋げるか。失敗をするにも致命的な失敗をするのではなく、その手前で小さく失敗しながら成功に導いていくという、失敗の仕方をデザインするという話でした。
(この手法を用いてSXSWやCannes Lionsでもスピーチをされたそう!)

とりあえず形にすることで前に進めつつ、失敗を予測してそこから逆算して物事を進めていくという考え方。
まず、失敗が起きる要因としては4つの「足りない」があるとのこと。

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(+αで「覚悟」という5つめもあるそうですが、スタートの時点では省いても良さそうとのこと。)
0から1にする(形にする)過程で、それぞれの要因を分解して「失敗をチャンスに変える要素」を見つけます。
見つけた失敗しそうな要素(=チャンス)はフラグ化して、とりあえず形にしながら仮説・検証を繰り返していきます。

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こうすることで、致命的な「やばい失敗」を避けながら、小さい失敗(=成功へ近づくチャンス)を経て「1」に到達していきます。

つまり、失敗を予測して、バックキャスティングしながら進めることで、成功へと導いていくという考えです。

「失敗することを前提に、前を見て進めていく。とりあえず形にしてみることで世界を切り拓いていく。失敗こそクリエイション。」

なんとなく失敗を逆算して物事を進めることは普通にあるかもしれませんが、個人的にはここまで失敗の仕方をデザインできるとは思っていなかったので、自分だけでなく若手を導く際にも使えるやり方としてとても参考になりました。

その他のセッション

他にも面白かったセッションがあったので、簡単に紹介しておきます。

・『イノベーションとデザイン』グロービス田久保さん× Takram田川さん
田川さんと田久保さんのパネルディスカッション。BTC人材や越境をテーマに、なぜ越境が求められているのか、越境型デザイナーとは?、越境型デザイナーになるには?という話がされていました。

・「“世界初”を支えるデザイナーが考えること」popIn株式会社 北村さん
「popIn Aladdin」というプロジェクター機能を持つシーリングライトというスマート家電の話。Androidが搭載されているこのスマート家電のデザイン(プロダクトデザインだけでなく、UX的な広い意味でのデザイン)に関する話で、プロモーション動画や全体の世界観が感動的でした。

・「共創デザイン(和の心)で創る、ブランド戦略」ウジ トモコさん
和の心を取り入れたブランド戦略の考え方。グローバル市場でも戦えるだけの強みをいかに生み出していくかという話。伏見稲荷は鳥居がどんどん増えていく「動的」なアイデンティティを持っていることを例に、最近の「拡張」していくブランドのメソッドの解説や、ブランド戦略の組み立てを着物に見立てているところなど、和の心を取り入れたデザインの考え方がとても新鮮でした。

・「コンテンツを(もっと、よく)デザインしたい」日本デザインセンター有馬 さん
アニメやマンガなどのエンタメコンテンツでのデザインをよくされるそうで、そこで実践していることの話でした。人気ゲームのエースコンバットでは、専用のフォントを作ることで、そのフォントが使われるとどこでもエースコンバットの世界観が表現できるような仕組みを作っているという話が印象的でした。

以上、1日目の振り返りです。
すべてのセッションが刺激的でそれぞれ学びがあるという稀有なイベント。本当に行ってよかった〜と思える会でした。
2日目は原研哉さん、レイイナモトさんという重鎮、それに負けない他の方のセッションと、こちらも盛り沢山でした。そちらも引き続き振り返ったら公開します。
では。

(追記)2日目レポ。


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