2話 自分を成長させてくれた刺激

小学校四年生になると、沼津市内の少年団から選ばれた人たちは沼津市選抜(沼津FC)のセレクションに行く。
自分の少年団からも、自分を含め数名行った。

選抜のセレクションというだけあって周りのレベルは技術も身体能力も高かった。
自分はその中でも一際小さかったが、ドリブルとリフティングだけは自信を持っていた。

結果は合格。
日頃から出来ないことはできるように努力してきた成果が現れた。

ここからサッカー漬けの毎日が始まった。
沼津FCは週に一度の練習と土日のどちらかは試合。残りは各自がスクールに行ったり、少年団の練習に出ていた。

沼津市内の上手い人たちとの練習は新鮮で、刺激をもらえた。技術も能力も市内トップクラスのこの環境は自分を成長させてくれた。『この中で負けたくない。』本気でそう思える環境にいられるのが楽しかった。

自分には当時通っていたスクールのコーチの存在も大きかった。
スクールのコーチは小さいけれど足元の技術が高く、自分には思いつかないようなプレーをたくさん見せてくれた。
それを真似して出来る様になるまでとにかく練習した。
出来ないことを気付かせてくれる人の存在は自分にとって重要だった。

5年生では県トレセン、6年生では県選抜、東海トレセンに選ばれた。
沼津市から静岡県、静岡県から東海地域へと、少しずつ大きな括りでサッカーをすることが出来た。
上手な選手達と一緒にやれたことは大きな経験となった。

ここまで順調に個人としてレベルアップをしてきたと思う。
しかし、『このままではダメだ』と自分を奮い立たせるきっかけとなる大会があった。

それは"全日本少年サッカー大会"の県大会だ。
この大会は静岡県内各地域の選抜チームがトーナメントを行い全国大会への切符を懸けて戦う。
沼津FCは順調に勝ち進んだが、準決勝で静岡JFCという強豪に敗れた。県3位という結果で大会は終わった。

決勝は静岡JFC対清水FC。結果は圧倒的な強さで清水FCが優勝した。
選手一人一人のレベルが高すぎて正直次元が違っていた。

『こんなチームがあるのか!!!』
『こんな凄い選手達がいるのか!!!』

と大きな衝撃を受けた。

『チームを勝たせることが出来る個の力。』

自分の目指すべきレベルはこれだと確信し、自分もこういう選手になりたいと思った。
しかし、自分がその選手達に負けてるとは全く思わなかった。

出来ないことが出来るようになっても、自分より上手くて凄い選手たちを見るともっとやろうとモチベーションは上がった。
周りの環境にも恵まれたと思うし、上手い人たちの中に入って自分の力のなさが分かっても諦めずに練習したことは自分の力になった。

負けず嫌いな性格、人の真似で出来ることを増やすこと、諦めず地道な努力をすること、これらが自分の可能性を大きく広げてくれた。

上手くなるには自分の努力や気持ちがとても大事。
でもそれを気付かせてくれたり、そう感じさせてくれる周りの環境も大事だと思う。

そのあとの中学校進学が人生の岐路になるとはこの時はまだ知らず…

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