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株式会社グッドパッチ|「デザインの力を証明する」道は開かれた。崩壊から蘇った組織が目指すIPOのその先

2020年6月30日は、日本の株式市場にとっても特別な1日になりました。

「デザインの力を証明する」株式会社グッドパッチが、東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場。

現時点の日本市場で、唯一の「上場デザイン会社」の誕生です。

マネーフォワードシンカにとっても、IPO支援サービスのクライアント、初のIPOです!

「僕らのような会社が上場するのは、マーケットにとってもおそらく初めてです。マーケットが、デザインというものの重要性に気づくのも、もしかしたら初めてかもしれない。」

喜び以上に、さらなるミッション実現に向けた思いを語ってくださった土屋さん、槇島さん、柳沢さん。

デザインの力を証明するために大きな1歩を踏み出した、株式会社グッドパッチの上場承認直後のインタビューをお届けします!

登場人物

土屋 尚史(つちや なおふみ)
株式会社グッドパッチ代表取締役 兼 CEO。
Webディレクターを経て、サンフランシスコに渡りデザイン会社でスタートアップ支援に携わる。2011年9月にグッドパッチを設立。

槇島 俊幸(まきしま としゆき)
株式会社グッドパッチ執行役員。
マンツーマン英会話スクールのCFOとして東証マザーズ上場後、教育関連事業会社のCEO職等を経て、2019年2月にグッドパッチにジョイン。2019年9月より執行役員に就任。主な管掌領域は、経理・財務・法務など管理全般。

柳沢 和徹(やなぎさわ かずゆき)
株式会社グッドパッチ執行役員。
マーケティングリサーチ会社を経て2017年7月にグッドパッチにジョイン、経営企画室を担当。2019年9月より執行役員に就任。主な管轄領域は人事・広報・事業開発。

金坂 直哉(かねさか なおや)
マネーフォワードシンカ株式会社代表取締役。株式会社グッドパッチのIPOアドバイザリーを担当。

苞山 美香(つとやま みか)
マネーフォワードシンカ株式会社。今回のインタビュー、noteを担当。

「おめでとうGoodpatch!」社外からの反響も大きかった上場承認

苞山:この度は東証マザーズへの上場承認、本当におめでとうございます!

土屋さんのTwitterにも、沢山のリツイートといいねの反応がありましたが、インプレッションもすごい数だったと聞いています。

土屋:そうなんです。僕のTweetだけで70万、公式Twitterと合わせると100万人くらいの方に見ていただけたようで、反響の大きさに驚いています。

金坂:注目度もそうですが、Goodpatchというブランドやカルチャーがものすごく愛されているのを感じますね。

土屋:IPOを目指していたこと自体を、驚かれているという感じもありますね。「まさかデザイン会社が!」と思われた方も多いと思います。

苞山:そういった「IPOの背景」についても、今日はいろいろお話を聞かせてください。

IPOを決意して6年。カルチャー崩壊の渦中でむかえた直前期

苞山:「周りから見るとIPO自体が意外だったのでは?」という話もありましたが、IPOを目指された背景などおうかがいしたいです。

「カルチャー崩壊と再構築」のnoteを読ませていただいて、直前期の2017年、2018年はまさに組織の再構築の真最中だったと思います。その中でどういう思いで、IPOの準備をされていたんでしょうか。

土屋:IPOを最初に意識したのは、今から6年前ですね。

それこそ、最初の資金調達をしたタイミングでは「いつかIPOや事業売却などの選択肢も出てくるのだろうか」くらいの認識でした。

そこから、優秀なメンバーもどんどん集まって、僕自身のデザインという領域に対する思いや、デザインに対する世の中の誤解を解かなければという使命感も、より確かなものになっていきました。

そして生まれたのが、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョン、「デザインの力を証明する」というミッションです。

このビジョンとミッションを決めた時に、腹をくくりました。

「例え条件の良いM&Aなどの声がけがあっても、事業売却はしない。このGoodpatchという組織でやっていくんだ」と、それ以外の選択肢を捨てました。それがちょうど6年前です。

そして、Goodpatchは急成長フェーズに入り、当初2018年スコープでIPO準備を始めたわけですが、その当時、組織は大崩壊中。もしあの時に社内で「IPOするぞ」と言っても「何を言っているんだ?」と白けた雰囲気だったと思います。

実際に、CFOを含めて管理部門メンバーが全員辞めてしまったり、初期にSO(Stock option)を渡したメンバーも大半が辞めてしまうなど、酷い状態でした。

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金坂:そのタイミングで、管理部長の瀬川さんが入られたんですね。

土屋:そうです。ちょうど当時のCFOが辞める2週間前に入ってきてくれて、何とか乗り切ってもらえた感じです。それが2017年、本当だったらIPO直前期ですが、全くそれどころではなかったです。

苞山:そこから改めて、2020年を目標に定められたんですか?

土屋:そうです。ただ、そもそも直前期にいけない、N-2をずっと続けているような状態でした。

2018年は、通常の決算が回せる状態に持っていくまでが精一杯。そこから、ボロボロになった管理部を作り直しているような状況だったので、すごく上手くいって2020年という感じで動いていました。

苞山:そこから2020年6月30日上場予定。こう言っては失礼ですが、よくこのタイミングに間に合われましたね。

土屋:もっと延びても全然おかしくない状態でした。奇跡が重なったなと思います。

先ほど話した管理部長の瀬川さん、執行役員の柳沢さん、松岡さんが入ってくれて、組織崩壊から立ち直っていくところを一緒に頑張ってくれたというのは、本当に大きいです。

最後の課題は、CFOの採用でした。

面接で50人以上の方とお会いしたんですが、デザイン会社という特殊性や、ロジックだけでなくエモーショナルな要素への理解、さらに上場経験など要件が多くて、なかなかマッチする方に出会えず…。

一時、CFOの採用を諦めたこともあったんですが、やはり必要性を感じて採用を再開した時に出会ったのが、槇島さんです。2018年の年末くらいに出会って、直前期上期終わり頃に入ってきてくれたので、振り返ると、あの時槇島さんに出会わなければ、このタイミングでのIPOはきっと無理でしたね。

槇島:入社直後に、監査法人の方に「このままでは直前期にいけません」って言われて、すぐドイツに飛びましたからね(笑)

金坂:いきなりドイツに!?

槇島:「Goodpatch GmbH(Goodpatchのドイツ法人)の内部統制が危うい」と言われて、飛びました。ドイツの経営はほぼ現地メンバーに任せていたんですが、気づいたら日本での組織崩壊の後を辿りかけていたような状態で。売り上げもあって、最終的には連結子会社扱いになるということで、無事対応できて良かったです。

「信じてくれてありがとう」メンバー全員で目指したIPO

土屋:その頃からは、Goodpatchメンバー全員でIPOに向かっていきました。

一般的に、IPO準備中は、準備中であることを社内に言わない企業も多いと思います。一生懸命準備して、IPOが叶わなかった時の反動などもありますし、無事承認が降りてから報告しても、メンバーにとってハッピーなニュースには変わりないですから。

でも、僕たちに関しては、組織崩壊が明ける少しくらい前から、明確にIPOを目指していることを社内に発信していました。叶わなかった時のリスクも覚悟した上で、です。

メンバー全員で覚悟を決めて、強い意思をもってやり抜く。逆にそれくらいの気持ちがないとIPOはできないと考えていました。

1年半前の社員総会では、「デザイン会社として初のIPOを見せよう」と明確に伝え「直前では意味がない。1年半前のこのタイミングで全員で意識を高めて取り組まないと、成し遂げられない」とメッセージングしました。

苞山:メンバーの皆さんの反応はいかがでしたか?

柳沢:IPOについては、組織崩壊時にも言及してはいました。ただ、組織が再構築されてどんどん良くなって、それに伴って売り上げも達成されていって、みんなの気持ちもどんどん高まっていっていた中だったので、みんなも受け入れてくれたんだと思います。

土屋:そして、今期の全社OKR(Objectives and Key Results)のObjectivesを「デザインの力を証明する」にしました。

今期に絶対IPOするという決意で、会社のミッションをそのままObjectivesに設定したんです。

苞山:IPOが「デザインの力を証明する」の一歩なんですね。

Goodpatchという企業が上場する、それこそが「デザインの力を証明する」ことだという。

Goodpatchにとっての、IPOは、資金調達の手段というだけでなく、社内外への意思表示の意味合いもとても強いように感じました。

土屋:その側面は大きいですね。経済合理性だけで見れば、ビジネスモデルや上場維持にかかるコストなどを考えると、IPOは必須ではなかったかもしれません。

「デザインの本質というのが誤解され続けている」という現実があって、その誤解が解けて社会に理解が広がれば、確実に人々の生活や暮らしがよくなると確信しています。

そういった社会意義があると考えていて、だからこそ、GoodpatchメンバーもIPOを一緒に喜んでくれたんだと思います。

組織が崩壊していた3年前は、「IPOします」と言っても、メンバーに信じてもらえるような状態ではなかったし、信じてもらえる力もありませんでした。

そういう時代を乗り越えて、上場承認がおりた日、まず僕からメンバー全員に伝えた言葉は「信じてくれてありがとう」です。

僕の中でも、そして苦労を共に乗り越えてきたメンバーの中でも、すごく印象的な瞬間になったと思います。

苞山:感動…。2020年6月30日が、私もとても楽しみです。

上場するデザイン会社。Goodpatchの強みと価値

苞山:そして、最初に土屋さんからも「まさかデザイン会社が!」というお話がありました。

「デザイン会社」というカテゴリーでは、資金調達自体が非常に珍しいですし、IPOとなるとさらに、他に例がないと思います。

そういった状況で、市場に対して「Goodpatchの価値」を伝えるのって、すごく難しいのではないかと思いました。

一見するとデザイン会社であり、そして同じような事業をされている企業がないので、ロードショーなどでは、投資家の方にどのようなお話をされて、反応はどうだったのでしょうか?

土屋:事業の構造自体はコンサルティングファームが近しいので、その文脈でお話しています。

一方で、コンサルとの違いは、戦略から実際のプロダクト開発まで一気通貫で携わることができる点です。

戦略コンサルであれば、上流の戦略を立て、マーケットでどう戦うのかを考えるのが仕事なので、実際にその戦略をプロダクトに落とし込んで、作ることはしません。一方で、SIerであれば、プロダクトの機能開発などは強いですが、上流工程での戦略にしたがって開発することになります。

誰のためにどのような価値を提供するのかを考えて、上流から下流まで一気通貫でサポートできることが、Goodpatchの強みであると伝えました。

まさに、デジタルトランスフォーメーションが進んでいく中、デジタルをどうデザインして、ユーザー体験に落とし込んでいくところまでできる企業は中々ありません。

苞山:実質的に、市場に競合がいない状態ですね。

土屋:そうですね。「UIUXにフォーカス」「デザインカテゴリ」「企業規模」「蓄積したノウハウ量」などを考えても、株式市場で比較される企業はあまり無かったです。

そのため、逆に企業価値の判断が難しいという側面もあったと思いますが、直接お会いした投資家の方々には「応援しています」と言っていただけたり、良いフィードバックもいただけたのは嬉しかったです。

「属人性が強くナレッジマネジメントという概念がほとんどなかったデザインファームをここまで強力な組織化を成し遂げていることは特筆に値する」といったお言葉をいただいた時は、Goodpatchの特徴をよくみて下さっているなと思いました。

苞山:確かに、Goodpatchはナレッジの共有をとても重要視されていますよね。

土屋:デザイン会社で、ナレッジマネジメントにここまで注力しているところは非常に珍しいと思います。

ナレッジマネジメントを実行して、文化として根付かせて、チームでデザインするところまでできているのも、Goodpatchの個性であり強みですね。

Goodpatchにいるデザイナーたちは「チームでやるからこそ自分たちのパフォーマンスが最大化できる」ということを、自分たちで理解しています。

そのため、実は、独立を理由に退職するメンバーがほとんどいないんです。

特にここ数年で入ってきたメンバーは、『Goodpatch Anywhere』という、フリーランスを近くに感じる事業も立ち上げているのに、誰もフリーランスになっていない。

結果論になるかもしれないんですが、社内でナレッジをためて、チームで働くことを前提に属人性を下げたデザインのやり方になっているので、そのためかもしれないです。

じゃあ、個々人の属人的な能力が全く無いのかでいうとそうではなく、それぞれに尖りがあった上で、それを補い合っている感じです。1人でやれる範囲は限界がある。でも、色々な能力がある人が集まることで、成果を最大化できるんです。

金坂:Goodpatchメンバーは発信力も強いですよね。よくある会社だと、社長だけが発信している、もう少し良くなると経営幹部層までが発信するというのはありますが、Goodpatchは、メンバー全員が発信しているイメージです。

柳沢:各人が発信することで、自分たちのビジネスチャンスも増えるので、みんな自然と、楽しんでやってくれているところはありますね。

土屋:言語化の文化が出来ていて、時々「Goodpatchになのにあまり言語化できてなくてすみません!」みたいなことを聞いたりもしますね。

柳沢:会社としてはそういうプレッシャーはかけてないんですが(笑)

苞山:メンバーの皆さんの当事者意識がすごい(笑)

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Goodpatchとマネーフォワードシンカ

金坂:お話を聞いていて、改めて、マネーフォワードシンカがGoodpatchのIPOに、少しでも関わることがでて良かったなと思いました。

僕はGoodpatchという会社が好きなんですが、特に、クライアントワークに対する姿勢は、共感し過ぎてうちのメンバーにもnoteを共有しています(笑)

苞山:定期的に「まだ読んでない人読みましょう」って共有されます(笑)そして何回も読んでいます(笑)

苞山:金坂さんがファンという前提もありますが(笑)改めて、今回マネーフォワードシンカにアドバイザリーを依頼してくださった理由も教えていただけますか。

土屋:金坂さんとはもともと面識もあって、それこそマネーフォワードシンカを立ち上げた時に「僕もクライアントワークやります!」と、言ってくださったり(笑)

Goodpatchには金融出身がいなくて、ファイナンスや投資家対応の知見が足りていないのが課題でした。そして、IPOだけでなく、その後のファイナンスについてもアドバイスいただきたいなと思ってご依頼したんです。

IPOに関しては、証券会社とのミーティングに参加してもらいましたが、やはり金坂さんからの質問は、僕たちには無い切り口でした。

メンバーの神谷さんにも、ロードショーマテリアル資料にアドバイスをいただいたり、ロードショー直前のピッチ練習をさせてもらって。本当に助かりました。

スライド資料に関しては、証券会社の担当者の方も一緒にチェックしてくれるんですが、プレゼンテーションは、相談できる相手が中々いないんですよね。

マネーフォワードシンカには、これからもM&Aや資金調達なども含め、継続的にご相談させていただきたいです。

金坂:こちらこそ!ぜひよろしくお願いします!

「デザインの力を証明する」Goodpatchのこれから

苞山:では最後に、そんなGoodpatchのこれからについてお話を聞かせてください。

Goodpatchは「1つの案件を担当して終わり」ではなく、クライアントに「デザインという文化を根付かせる」ということも、とても大事にされていると思います。

クライアントワークを通じてということであれば、Goodpatchの規模自体を大きくしていく必要があるのかなと思ったんですが、今後の成長や事業戦略については、どのように考えられていますでしょうか?

土屋:成長と人員規模が比例する部分もあるので、規模は大きくなっていくと思うのですが、長期目標で人数目標などは掲げていないです。

「デザイナーを1,000人かかえてビジネスが回っている」という状態になったら、それはそれでインパクトはあると思いますが、基本的には、ポートフォリオ経営を強化していくつもりです。クライアントワーク以外の事業も積極的に立ち上げていきたいですね。

それは、リスク分散という側面もありますが、何より、事業があるとそこに経営チームができます。その経営に、Goodpatchであれば、必ずデザイナーが携わる。その中で、デザイナーを経営人材として育てていくというのは、やっていきたいですね。

苞山:そういったデザイナーの方々が世の中に出ていって、例えばスタートアップの経営に携わるようになれば、事業の立ち上がりスピードが変わりそうですね。起業家の提供したい価値や独自性を、社会に浸透させるスピードや精度が格段に上がりそうです。

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金坂:経営に関わりたいデザイナーの方は多いと思います。そうすると「経営×デザイン=Goodpatch」というブランドにもなりますね。

土屋:「経営×デザイン」ができる場所って、世の中にあんまりないので、Goodpatchがその場所になれたらと思います。

そういう面も含めて「デザイナーを目指すのならGoodpatchに入りたい」と思われる会社であり続けたいです。

槇島:Goodpatchグループとして、デザインパートナー事業だけでなく、あらゆる事業を通じて「いかにデザインで世の中を変えていくか」にも、チャレンジし続けたいですね。

土屋:僕らのような会社が上場するのは、マーケットにとってもおそらく初めてです。マーケットが、デザインというものの重要性に気づくもの、もしかしたら初めてかもしれない。

これまでの日本では、「表層や見た目を綺麗にする仕事」がデザインだと誤解されてきた側面があります。

僕らがやっているのは「本質的な価値を作る仕事」です。

これまでのクライアントワークはもちろん、デザインをベースにそこにあらゆるファンクションを繋げて、事業を発展させていきたいです。

一例ですが、社会意義のある素晴らしい企業があれば、M&Aなどの形で関わって、その会社の企業価値を、デザインの力でより高めていくような事業も考えています。

デザインとは、本質的な問題解決を行うこと。そのデザインの力を、これからもあらゆる分野で証明していきます。

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マネーフォワードシンカでは、IPO支援サービスも行っています。
IPO実務/支援の経験豊富なメンバーがエクイティストーリーのアドバイス等を行います。ご興味ある方は、ぜひお問い合わせください。

文・構成/苞山美香

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「経営者の想いとSynchronizeし、経営者とともに進化する」 成長企業向けフィナンシャル・アドバイザリーサービスなどを提供するマネーフォワードシンカの公式noteです。 https://corp.mf-synca.jp/

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