大喜利天下一武道会に出てきた話

およそ5年間にわたり休止していた、アマチュア向けの大喜利大会としては最大規模の「大喜利天下一武道会」が復活した。

もともと『「大喜利天下一武道会」というでかい大会があって、それがすげえんだよ』、ということ自体は、自分よりも上の世代の生大喜利のお歴々の方々から、神話を語られるようなテンションで聞かされていて、「ははあ、すごいんだなあ」くらいのテンションであった。
というか自分自身も5年前の……それこそ大喜利を初めて、まだ10回目にも満たないくらいの初心者も初心者というくらいの頃に一度「大喜利天下一武道会」の予選に出場していて、ボコボコにやられてしまっていたのであった。
でもその時自分の票数は3票で、自分自身への投票もできるシステムだったとはいえ、2名の方が俺に投票してくれたんだなという事実はかなりありがたく思った覚えがある。本選は観覧に行こうと思っていたのだが、インフルエンザに罹って駄目だった。
同年に、同じ天下一主催による団体戦での大会・天下一チームバトルが開催されていて、こちらはこちらで胸にできた出来物の検査で病院に行かないといけなかったので行けなかった。
その翌年から大喜利天下一武道会は休止の流れに入り、一度だけチームバトルが開催されて、それには自分も漸く出ることができたものの、結果としてはそう良い数字は残すことはできなかった。

それが、今までの自分にとっての大喜利天下一武道会の全てだった。

5年ぶりの大喜利天下一武道会の復活、ということで界隈は色めき立っていたのだけれど、私は極力それを意識しすぎないようにしていた。
というのも私自身、大会とかに対して思い入れが強かったり勝ちたいという意識が先行過ぎているとあからさまに思考が空回りしてしまい、まったくウケなくなってしまうからである。
遠征した大会とかでも「せっかく遠征したし勝ちたいな〜」とか思って勝手に固くなって負けることを何度繰り返したかわからないし、一番苦い記憶としてはT-OSTの現チャンピオンとして臨んだ3枚目の大会で「チャンピオンとして、せめて威厳ある結果を残さねば」とカチコチになった結果何にもできずにボロボロに叩き潰されて無様に放り捨てられたことであった。
想いが強ければ強いほどに、大喜利は弱くなり何も思いつかなくなり恥をかいて死ぬので、私は最近はもう自分の大喜利に対して過度の期待をすることをやめてしまっているのだった。
というわけで、天下一に対しても、他の皆様からはどう思われるかわからないものの、他の数多ある大喜利大会と全く同じ扱いとテンションで臨ませてもらうのが理想的なコンディションだなと思いながら天下一までの日々を過ごしていたのである。まあ、そんなことわざわざ考えている時点で意識しているというのは確実にあったのだけれど。

そういうわけで……というわけでもないのだけれども、変に意識したりしないよう、天下一に向けた練習会の類はほとんど参加しないままで2018年を終えた。まあ、もちろんそれだけが理由ではなくて、スケジュールの都合とか色々あったんだけでも。

話は少し変わるが、2018年末の私は大喜利が絶不調だった。
2018年自体大喜利の調子が良かったか悪かったかといえば、全体通してよくはなかったのだけれど、年末あたりは特にひどかった。
その理由はなぜなのかと考えてみたときに思い当たったのが、2018年の末頃に「アイドルマスター シンデレラガールズ」のライブに参加したりしていて本格的にデレマスに対して傾倒してしまっており、大喜利をほっっっっとんどやっていなかったのだ。
デレマスライブにうつつを抜かしてCDを買ったりしながらヘラヘラ迎えた年末の「EOTスパーリングvol.5」(今度の3月に開催予定のEOT 第4章タッグ大会の練習会)で激スベりをしてしまった。
EOTスパーリングは比較的自分にとってはやりやすい空気とお題が多いので個人的にもかなり楽しみにしていたのだけれど、蓋を開けたら頭を抱えてしまうくらいにとんでもなく非道い出来だった。俺、こんなに大喜利下手くそだったか……? と戦慄すらした。得意な意識のあったEOTでこれなのだから、この時の大喜利のコンディションが最悪状態だったのは火を見るよりも明らかで危機感を覚えた。

大喜利の調子を上げるには、とにかく大喜利を数重ねてやるしかない。
人によって調整方法は色々あるからこれが絶対に正しい方法だとはいえないのだけれど、少なくとも今までの6年間積み重ねてきた経験から言えば、自分にとってはとにかくやればやるほど良い感じになること自体は間違いなかった。多分、大喜利に慣れて緊張が解けるんだと思う。大喜利ノースロー調整とかしてる場合じゃなかったのである。
しかしながら折悪く年末年始にも大喜利をできる機会はいくつもありながら、そのどれにも参加することができず……。
ただ焦りながら、デレマスの曲を聴いていた。「Stage bye Stage」がめちゃくちゃ良いんだよ。

年明けて一番最初に大喜利ができたのは、せんだいさん主催の秋葉原大喜利会だった。
なんとこの時点で、大喜利天下一武道会の東京予選の2日前である。
気持ち的には天下一がどうこうとか考えることすらできないくらい非道い状態で、自分の大喜利の全体の修正くらいの感じで取り組まざるを得なかった。
秋葉原大喜利会は車座大喜利のパートと大喜利トーナメントのパートの、ふたつに分かれている。
車座大喜利のパートは1問に対してじっくりと考えることができるだけの時間をもらいながらやっていたため、何個か大きな笑いを起こすことはできたけれど……でも、制限時間のラスト1答とかでやっとそこそこの当たりが出せるレベルだったので「いや、これ普通の大喜利会だったらもう出せる時間終わってるだろ」と悩ましさは消えず。
大喜利トーナメントに至ってはまったくウケなくて普通に1回戦で負けてしまって「いや、俺いよいよ調子が最悪だな」と焦燥感ばかりが募る。

大喜利天下一武道会の東京予選の前日は、ネイノーさん主催の天下一予選練習会に参加した。
天下一を意識してしまうから〜とかそんなこと言ってられるレベルですらないくらいヤバイ状態だったので、とにかく大喜利をする必要があった。
結果、ここに関しては秋葉原大喜利会よりも輪をかけてひどくて、3分2問を5セットくらいやらせてもらったのだけれど、ウケたのが1回だけで「これはひどい……」と目の前が真っ暗になった。

あまりのウケなさに自分の大喜利そのものに対する自信だとかそういう類のものが完全に根っこからぶち折れてしまって、大喜利をすることによって何かを残せるような感覚がまるでなく、もう、なんていうか、これ本当に大喜利とかやっていいのかな、って、そういうふうにすら思った。

5年間、なにやってきたんだろうな、と思った。

そうはいっても大喜利天下一武道会の東京予選の当日は、やってきてしまうのである。
私はもうなんというか自分自身の大喜利と向き合う自信が完全に喪失してしまっていて、東京予選1・2は観覧にこそ行ったものの、一番後ろ隅っこの席で隠れるように観ていて、休憩中もほとんど人と話すこともなく、終わったら即、席を立って帰った。
東京予選3もまた同様で、あれだけでかい大会でほとんど人と話すこともなくずっと隅っこで縮こまっているのは、普通に勿体無いことをしていたような気がするのだけれど、どうにもそうしていないと自分自身が保ちきれなかったのだ。

さっっっっっっすがにこのどん底のテンションで自分の出番を迎えたら頓死するのは目に見えている。
というわけで私は東京予選3が終わるや否や会場を飛び出して、駅前まで戻ってそこでひたすらiPodに入れてあった「純情Midnight伝説」を聴きまくっていた。
これはプーチンと白プーチンさんから以前借りたデレマスライブの音源を使用したリミックスメドレーの中に入っている、ライブバージョンの「純情Midnight伝説」で、私はそのリミックスメドレーの中の「純情Midnight伝説」の部分だけを抜き出して何度も何度も聴いていた。
ライブバージョンなだけあって、拓海の観客をブチ上げさせるように大声でシャウトする歌い方をしていて、とにかくテンションを上げるためにこれを何度も何度も聴いてコンディションを無理やり高めていった。

東京予選4の開場直前になって会場まで戻ると、なんとか人と普通に話せるくらいのところまではテンションが戻っていた。
ジャージの顔さんに「いったじゃん」とか、電子レンジさんに「いったじゃん」とか言った。
観覧の時はずっと端っこにいたけれど、出場者として出るときにはとにかくテンションを高く維持してないとどうにもならないと思ったので、東京予選4の時だけは前の方で、仲のいい人たちと近い席になるように座っていた。
入場後、出場者たちのブロック分け抽選が行われて、一発目に出た名前は自分の名前だった。
最初にやること自体は別になんの問題もなく、むしろ入場一番手だったので、舞台に上がるための準備をしやすかったのはありがたかった。
同じブロックに入った人としては「俺スナさんか〜」「endomagicさん、噂でめちゃくちゃおもしろいって聴いてるからな〜」と思ったけれど、この時の自分は他人がどうこう以前に自分がウケるかどうかというレベルでコンディションが悪かったので、あまりブロック分けはそんなに気にしていなかった。

自分はAブロック1番だったので、挨拶やルール説明が終わったらすぐに出れる位置まで移動してスタンバイしていた。

さて。
5年前に大喜利天下一武道会の予選に出たときに印象に残っていたものがひとつあって、それは入場する時の決めポーズ、である。
大喜利天下一武道会では入場するときに→Pia-no-jaC←の「ダイナマイト」が流れ、橋本さんが出場者の名前を1人ずつ順に読み上げていく。
で、5年前に見た時、まるおさんが舞台に上がった後サタデーナイトフィーバーみたいな決めポーズをしていたり、親泊さんがブルースリーみたいな決めポーズをしているのが良かったな〜、という記憶が強く残っていたのである。
と、いうわけで今大会では自分もああいうのをやろう、と思っていた(1人ずつ名前を呼ばれていくのだから、銘々バラバラ上がっていくよりも、ちゃんと名前を呼ばれてすぐ上がり、ポーズを決めた方がかっこよかろう、と思ってもいた)。
で、考えた結果自分がとったのは、

これの真ん中に写っている、澤梓ちゃんのポーズだった。
すなわち、客席に対して、ビシッと指を突き立てたのである。
正直なんのリアクションも求めていない自己満足の決めポーズだったのだけれど、思いの外このポーズがウケて笑い声が結構な量であがり、「ウケるようなポーズか???」と思いつつも受け入れられたのは良かったなと思いながら着席した。

発想のオリジナルは澤ちゃんポーズなのだけれど、一応、イメージ的にハルヒと金剛も混じっている。

Aブロックの1問目は「ベストジジイニスト賞を受賞したジジイの決め手となった行動」というお題。
一目見た瞬間に「広いな」と思った。基本的に自分は二要素お題大好き子なので、シンプルな傾向の強い天下一のお題は苦手意識があったのだけれど、その中ではまあジジイというわかりやすいとっかかりがあるだけマシだったかなと思う。
やってる最中から俺スナさんが爆ウケしているのが聞こえた。そしてendomagicさんも一撃ドーンとでかいのを出しているのが聞こえてきて、名前を見て「ははあ」と思った2人はやっぱり順当に強いなと思った。
と思っていたら隣の席のそうせきさん(こちらは存じ上げない方だったのでマークのしようがなかった)もかなりウケており、けれど不思議とあんまり焦りとかはなかった。
結局このお題の中で有効打らしい有効打はほとんど打てなかったものの、最後の最後で「すでイジジ」と書かれたフリップを出して、時間差でジワジワウケた。これがちょっとばかり1問目の延命措置になった、ような気がする。

2問目の画像お題はマリオとソニックがラグビーをしている画像お題。

画像お題も苦手なので(我ながら苦手お題が多いというか、得意お題が少ないというか)、要素が強いお題(マリオという明確な取っ掛かりがある)だったのはかなり幸運だった。
マリオの顔を見た瞬間頭に浮かんだのは「今度のマリオは○○〜!?」という言い回しで、これはもう長年の大喜利の経験からかあっという間にフォーマットとして頭に浮かんだ。
あとは何とくっつけるかどうかだったのだけれど、答えのガワが経験からきたものならば、ウチは完全に閃きの勝利というか、画像をじっと見ていた中でいきなりパッと単語が出てきた。そのまま書いた。
「今度のマリオはひったくり〜!?」
めちゃくちゃウケた。出した瞬間に、劣勢をひっくり返したのが肌で感じられるほどにウケたのがわかった。
2問目の初手、という非常に良い印象を残しやすいところで出せたのも幸運だった。
そのあとはとにかく初手の爆ウケの印象を下げないように、とにかく滑らない程度のクオリティを保った回答を出すことに努めて、どうにか3分を逃げ切った。最後の回答はウケ的にはちょっと怪しかったが、いつもやっている演技手法で出した回答なので、大方のみんなには見逃してもらえたと思う。

そんな感じで予選の1回戦が終わった。
ウケた実感はあったので、自信を持って舞台を降りた。
ただまあ、とりあえず1位通過は俺スナさんだろうなというのは肌で感じていた。これは絶対に揺るがないだろうから、問題は2位争いである。
endomagicさんは1問目ででかいのを出していたのを聞いていたし、そうせきさんもかなりの大きな笑いを何度か出していた。
ただ瞬間最大風速的にはかなり良い勝負と良いタイミングだったと思うので、当選確実とはとても言えないまでも、どっちか分からんくらいの感じではあったと思う。

休憩時間は、不安すぎるのでいろんな人に評判を聞いて回った。
だいたい俺が肌で感じていた通りの評価が大方を占めており、(私本人が目の前にいるからというのもあるだろうけれど)「まあ、でも、流人さんは大丈夫じゃないか?」くらいの評価だった。
全然安心はできなかったけれど、とりあえず予選2回戦の出場時のポーズを検討し始めるくらいの余裕はあった。

結果発表。
予選1回戦は得票数に関係なく順番に出てくるので、自分の点数が最初に出てくる。
星野流人、21票。
あれ? 思ったよりも取ってるな、と思った。やってる時の体感的には、俺スナさんが荒稼ぎしていて70票くらい持ってかれてて、残る15票くらいを4人で奪い合う感じの展開かと思っていたのだ。
続くそうせきさんが15票で、この時点でもうかなり票数も出てしまっているので、通ってるんじゃないかという期待は強くなっているのだけれど、やはり最後の最後まで怖かった。
結果、俺スナさんが41票で1位抜け、次いで自分が21票で2位抜け。辛くも、どうにか、なんとか予選1回戦を抜けた。
ここしばらく大喜利絶不調が故に、大喜利天下一武道会復活の第16回を何らウケることなく自分で自分に投票した1票だけでむざむざ帰る姿を、夜な夜な想像しては薄ら暗い気持ちになっていた自分にとって、この結果はかなり気が楽になるものだった。というか、最悪落ちていても、「でもひとつ爆笑とったからよかった」と言って帰れるくらいにはこの時のメンタルは疲弊しきっていたのである。

そんなわけで緊張とかよりも、不安からの解放感の方があった予選2回戦。
結果発表からすぐに入場が始まることはわかっていたので、今回もあらかじめ通路側に待機して名前を呼ばれたら即舞台に上がる。

5年前に大喜利天下一武道会の予選に出たときに印象に残っていた入場する時の決めポーズ、なのだけれど。
まるおさんは5年前の天下一予選で入場する際、予選1回戦と予選2回戦で入場ポーズがちょっとだけ違ったのだ(ひとつはサタデーナイトフィーバーで、もうひとつはサタデーナイトフィーバーのポーズをしたあと突き上げた右手をそのまま左右に振る)。
そのバリエーションある感じ、ちょっと良いなと思って、自分も予選2回戦ではポーズを少しだけ変えてみた。
澤ちゃんポーズでビシッと会場を指差したあと、そのままぐるぐる回転させてみた。意味がわからない動きだったけれど、澤ちゃんポーズからわかりやすいバリエーションを考えるのが難しかったのだ。
で、入場して着席した後に続く次の出場者俺スナさんを見れいたら、俺スナさんも客席に向かってぐるぐる指を回転させていた。自分の何気ないポーズを拾ってもらえて、ありがたかった。

予選2回戦の1問目、文章お題。
『「東京ディズニーランド」の真逆みたいな言葉を教えて下さい』
要素が無いに等しいお題で自分の最も苦手なお題だったのだけれど、この時の私はなぜだかトランス状態に入っていたらしく、すぐさま『つまり何を言っても良いんだな』と雑な解釈をして、東京ディズニーランドの要素を無視して全く関係ないことを言いまくった。
お題があるのにお題を無視してそれっぽい単語を出していると、自分でも驚くくらいにその回答はウケていた。ただ、マジで何を言ってもいいなと思いながら何でも出していたので、回答そのものすらをも終わった後まったく思い出せなくなってしまっていた。
あと、序盤にウケて気を良くしたせいか、終盤はちょっと要素を考えながら回答を出してて、こっちは普通に滑った。

予選2回戦の2問目、画像お題。

広島東洋カープの新井さんが2016年の巨人戦でサヨナラタイムリーツーベースを打って喜ぶ画像じゃん、と思った。
思った瞬間に、明確にトランス状態が解けた。びっくりした。こんなにトランス状態ってはっきりとやってる最中に解けることあるんだ、って思った。
本当に何を考えてもカープと新井さんないしは野球関連のことしか言えなくなってしまって、本当に駄目だった。でももう思いつかないのは仕方ないし、とにかく野球好きな人たちにだけでも伝わってその人たちの票がもらえれば……と藁をもすがる思いで野球回答を出し続けた。

2問終わったところで、わりとかなりちゃんと後悔した。
普通に、「失敗した」と思った。
大喜利天下一武道会の予選は厳しい。ありとあらゆる強者が集まって、アマチュア大喜利最大の称号を手中に収めるべく、冴えた回答を叩きつけ合う。
そんな中にあって、予選の2回戦に勝ち進むことすらかなり難しい。
今回はお題に恵まれた幸運もあって2回戦まで勝ち進めたけれども、また次いつここまでやってこられるかわからない。
だからこそ、この時この場所で本気で本選のチケットを奪いに行かなければならなかったのに……と心の底から後悔した。
せめて、野球回答ばかりにこだわらず、もっと広い視野で画像を見ていれば……と後から後から後悔ばかりが襲いかかってくる。

投票の集計時間中は、立ってもいられなかった。
けれど、1人でいるのも駄目だった。
もう次いつここまで上がってこられるかわからないのに、なにをこんな中途半端なことをやってしまっているのか、と本当に辛かった。
もう駄目だとかおしまいだとか絶望に暮れた表情で言っているところを、プーチンと白プーチンさんやキルヒホッフさんに「大丈夫大丈夫」と声をかけてもらいながら、なんとか過ごした。
下馬評を聞くに、とにかくかさのばさんがウケまくっていたらしい、との評価だった(予選1回戦と違って、やってる最中の他の人のウケ具合は聴けてなかった)。
じゃあまあかさのばさんが1位突破だとして、あとはもう、どうだろう、わからない。1問目でウケたのは確実なので、そこでの貯金が、どれだけ残ったかだけれど、たぶん3票とかで死ぬんだろうな、と思っていた。

結果発表。
予選2回戦は順位が下から発表されていく。
生きた心地がしなかった。
6位にカミヤマさんが、2票。
予選1回戦をかなり爆勝ちしていたと思うのだが、2連続でウケるのって本当に難しいんだな……。
5位に俺スナさんが、5票。
もう本当に読めなくなってしまった。誰が票を取ってるんだ。
4位に謹製さんが、7票。
まだ出ない、持ちこたえている……と思う。
かさのばさんが1位なのは確定。2位は、自分か、渡のどかさんか……。

結果。
3位に渡のどかさんが、8票。
2位に星野流人、10票。
1位にかさのばさんが56票。

団子も団子の中での、2票差。
かさのばさんがかっさらった中での、こぼれた票をかき集めた、どうにか手を伸ばして奇跡的につかめた、本選のチケット。
座っている位置が近かったので、結果が出た瞬間にかさのばさんが立ち上がって喜んでいる様子が見えた。
自分はというと椅子からへたれ落ちて、それでも「やったあーーー!」と叫んでいた。
前の席にいた羊狩りさんが私の腕を掴み「やったな!」と言い、周りの席の椙田さんやとれいんさん、せいぎさん、電子レンジさん、山本俊治さんらが口々に「おめでとうございます」と言ってくれた。

結果発表後、本選行きのチケットを手に入れた6人は舞台に上がる。
私はいっしょのブロックから本選に上がったかさのばさんと抱き合った。
特に泣くつもりとか全然なかったのだけれど、なぜかインタビューの時に私は泣いていた。
なぜ???
普通にがっつり泣いてしまったし「自分の大喜利にあんまり自信がなくて……」とか弱音吐いてたし、今思うとめちゃくちゃ恥ずかしいインタビューになってしまったな。東京予選全通だったけどこんな雑魚のインタビューしたやついなかったぞ。
とりあえずかさのばさんに「次は負けねえからな!」とは言っておいたものの、「流人さんには負ける気しないな」みたいなテンションで返された。

そういえば今大会のライバル指名数トップタイが自分だったらしい。
自分なんてライバル指名されるほどのモンじゃないよ……と卑下していたところもあったけれど、指名してくれた人たちに顔向けができるだけの結果が残せて本当に良かったと思う。

予選が終わり、会場を出る間際、プーチンさんから「だから大丈夫って言ったでしょ!」と言われた。
ATPさんやオフィユカスさんからも、「おめでとうございます」と言われた。言われる側になったんだな、と思った。

本選進出者にはかんたんなアンケートがあります、と言われて予選突破の6名は控え室へ。
予選会場やロビーとは打って変わって静かな控え室に、改めて「通ったんだな」と思った。
控え室では「本選進出者用に紙コップにお水が入れておいてあったのだけれど、歯医者さんの口をゆすぐやつくらい微量しか入っていなかった」「山本俊治さんがアンケートのことをすっかり忘れて帰ってしまった(道中で思い出して戻ってきた)」「妙子さんが『よっしゃ〜、みんなもっと俺のことを褒めろよ〜』とハッキリと欲望を口にしながらツイッターに本選進出報告」「写真撮影で、予選を共に戦った澤ちゃんポーズで応じる」「3枚撮ります、と言われたので指が1本のやつと2本のやつと3本のやつを撮ってもらった」「大仕事を無事終わらせた橋本さんから、『お前らいつまでいるんだよ! 他のブロックの人たちはすぐにアンケート書いて出て行ったぞ!』と怒られる」といったことがあったり。
そして外に出てから東京予選4突破の6人で記念写真を撮り、Kouさんが代表してツイッターに載せたところ、今見たら96件のいいねがついていた。
でもマジでいい写真だったと思う。この写真を撮れただけでも、東京予選4から突破できたのは良かったなと思った。

……と、いうのが予選突破までの話なのだけれど。
思ったより長い、というかこの時点で1万字近い文字数に達しようとしている。

え? これ読んでる人いるか? 1万字の、他人が天下一に出た話、読むやついるのか?
なんだか急に、書いても誰も読まない文章を書いている気がしてきたな……。
というか前半の俺が大喜利に自信ないって書いてあるパート、ほとんど要らないような気がするな……誰も得しないんじゃないのか、この記事ってもしかして?

まあ、でも、いいか別に。
吐き出すところは、必要だ。

大喜利天下一武道会の予選を抜けるということは、それだけで大喜利の履歴書に書ける立派な実績である、と聞いていた。
大喜利の履歴書とは? とは思ったが、まあとにかくそれだけすごいことなのだと伝え聞いている。確かに過去の天下一本選進出者の名前をずらっと並べてみれば、そのそうそうたるメンツに「はわわわわ」となることだろう。
自分も第16回大会にしてその中の1人として名を連ねたわけなのだけれど、じゃあ実際のところ何かかわったのかなと思えば、そのあとは特にあまり何も変わったということはない。
超加点練習会とか大喜利冬季杯はあったけど普通に負けてるし、予選の時と同じように大喜利天下一武道会本選のルールで練習する会もあったけれど予選練習会の時と全く同じ調子で私はズタボロに負けていた。
けれど、まあ、でもどうあれ天下一本選行ったってのは一応はそういうことなので、元から打率が高い方ではない自覚はあるし、元々天下一のお題は向き不向きで考えれば不向きだと思っている。天下一の舞台とは集中力とかも全然違うだろうし、う〜ん緊張とか? まあいろいろあるんじゃないかな。
でもまあ俺の大喜利もう駄目だみたいなどん底からは抜けられたのかな、というくらいの心理状態ではあった。

勝てなくても、ウケなくても。
せめて自分の好きな大喜利ができれば。自分の出したい回答が出せれば。
それでいい。それくらいで、いいんだって。
期待しないことで、ようやく精神を保てているのだ。
6年やってるんだから。
6年やってるんだよ。
それでも少しは夢見てる。でも意識しすぎると、夢が叶わない時に辛いから。
ひたすらに図太く、鈍感に、見ないふりをして、心の平穏だけを求めて。

本選当日。
たっぷり寝た。
予選終了後から大喜利界隈でパンデミックが起こっていたインフルエンザの流れからも逃げ切った。
出れる、と思った。
天下一の歴史に、どうあれ、名前が残せる、と思った。

会場に到着して聞いた話によれば、どうやら本選出場者は自分の前のブロックから控え室に移動することになるらしい。
「えーっ、Bブロック見れないのかー!」と思ったが、まあ、その分演出面でこだわってくれているのだから、ありがたい。どうせ自分はDVDも買うだろうし、その時に観られるだろう。

あと、私はこの日「超月刊朝比奈みくる」を手に持って会場入りしていた。
あれはなんなんだと思われたかもしれないが、あれは自分なりのお守りというか、精神安定剤である。もう10年以上好きな女の子なので、彼女のことを見ていると精神が落ち着く。ので、緊張が紛れるかなと思って連れてきた。
私は特に最近、ルーティーンをいろいろ決めてたりとか、精神安定に余念がない。頑張る方向がおかしいような気がしないでもないが、気休めにはなるし、気休めになってれば気は休まっているということだ。

会場入りした時にもらったパンフレットの裏側には本選進出者が主催したり多く参加しているイベントの紹介欄があったのだけれど、自分が主催しているイベント「EOT」「名人戦」「デレマス大喜利」が3つも載ってて、「いや俺めちゃくちゃ主催しているな」などと思ったりした。こういうかたちで大喜利会の盛り上げの一助として認められたと思い、主催していてよかったなと思った。

兎にも角にも第16回大喜利天下一武道会が始まった。
予選の際にもあったオープニング映像が、めちゃくちゃかっこいいし、その中で自分の写真も使われているというのが感慨深いものがあった。

Aブロック。
ゴハさん、入場時に走って登場してマイクのケーブルに思いっきり蹴っつまずく。あとで本人に聞いたら、M-1初期の笑い飯のイメージ、らしい。あー、西田さんが髪を縛ってない頃の。
ヨリミツさんのキャッチフレーズ「人の形をした大喜利をするもの」で会場が沸きすぎて、橋本さんの呼び込みの声が全く聞こえない。聞いたら、本人がつけていた。
ヨリミツさんはワンチャンあるのではないか、という下馬評だったが、普通にヨリミツさんがヨリミツさんらしくウケてて良かった。
片野さんもすごく久しぶりに見たけれど切れ味が全く衰えていなくて、とても良かった。
投票は、迷った上で、一番安定感があったように思えた再度メニューさんに入れた。

Bブロックが始まる前に、Cブロック出場者の皆さんと一緒に控え室へ移動。
控え室ではみんなそれなりに緊張していたいのか、そこまで和気藹々としたふうでもなく、みんな言葉すくなだった。
ダンジョンのTさんが「キャッチコピーなんだろうな。『がんばれ』とかだったらヤだな」と言っていた。「『がんばれ』ダンジョンのT」
Bブロック観れないな〜、と思っていたけれど、控え室には小さなテレビが置いてあって、会場内の模様がそこに映し出されていた。
画質も音声も悪いし画面自体かなり小さかったのだけれど、とにかく鞘さんがえらい切れ味でウケまくっているのだけは分かった。
あと、宇多川さんがマイクが篭りまくっていて、音質の悪いテレビ越しに観ていたのもあってか一言も聞き取れなかった。

Cブロック。
ひとりひとり、キャッチフレーズと橋本さんの呼び込みで舞台に上がっていく。
自分のキャッチフレーズは目に焼き付けておこうと会場のスクリーンをじっと見上げていたけれど、やっぱり緊張していたのか、今となってはキャッチフレーズと呼び込みの前口上がどんなだったのかあんまりよく覚えていない。
過去のDVDとかを見るに映像化も難しそうな気はするけれど、どこかでまた見れる機会があればなあ……なんてね。
うっすらと覚えていることだけだけれど、「今日は観戦ではなく参戦だ」みたいなニュアンスのコピーだった気がする。
主催めちゃくちゃやってるからだろうなと思いながらスクリーンを見上げていたけれど、今思い返すとたぶん「大喜利観戦記者 鵠」もかかっているような気がした。
呼び込みが終わり、自分の名前が呼ばれて、舞台に上がる。
スポットライトに照らされる中、予選と同じように会場に向けてビシッと腕を伸ばして指差した。
予選と違うのは、広い会場の観客席が段々に上がっていく形状だったので、心持ち上方を意識して指差し形にしたくらいだろうか。今回は澤ちゃんポーズというより、ハレ晴レユカイのエンディングのハルヒっぽいポーズになったなと思っていた。
ポーズを決めると会場内から笑いと拍手が起こり、盛り上げられてよかったなと思って席に着く。

1問目。
「ニュースキャスターのアホ山くんは『バールのような物』をなんと表現した?」
海原雄山先生が「バール」と2回言っていた。自分も便乗して「バール」と答えようかなと思ったけれど、それで票が自分の方へ流せるかと考えた時に無理だなと思ったので自重した。
「NIKEのようなもの」と言ってバールっぽいかたちのNIKEのマークを出したらちょっとウケた。

2問目。

牛の被り物をした女性が海を見ている画像。
捉えどころが無いので、もう牛の要素だけで考えた。
初手、「あの人全然こないわね……もう」という回答を出して、これちょっと良いんじゃないかなと思ったけどあんまりウケなかった。でも今思うと、「もう(モー)」のところもうちょっと調理しておけばウケたような気がするな。初手を取ろうと焦りすぎた気がするな。まあ小細工でどうこうしてもどうしょうもないけれど。
「赤潮が来た瞬間、海に飛び込んでいく」という回答を、後々かさのばさんに褒められた。

3問目。
「『全員、3歩右へ!』 なにがあった?」
要素がほとんどないシンプルなお題で、やべー苦手だーが初見の印象だった。
実際、4分ある中での3分30秒くらいは絞りカスみたいな回答しか思いつかなかったんだけど、残り30秒で急にデスノートが頭に浮かんだ。
なんで? と思うかもしれないけれど、頭に浮かんだのだ。
正確にいうと、「3歩右へ!」という命令口調を見て、デスノートの「死に際の行動を指定して殺す」要素が頭の中で繋がった。
なんで? と思うかもしれないけれど、頭に浮かんだのだ。
その結果、マジックタイムをもらいつつ、最後の最後は、どうあれ自分らしい回答で締めることとなった。
「なあ月(ライト)。どうして3歩右へ移動して死ぬなんて、デスノートに書いたんだ?」
「なんでかなあ……。うーん、なんとなく、かな」
「そうか」
一方その頃の、L。
「なにか理由があるはずなんだ、なにか理由が……」

最後の1答は、けっこうウケた。拍手笑いだったと思う。
流石に4分3問の間低空飛行だった分をひっくり返すほどの爆笑とまではいかなかったけれど、「なにしに天下一の本選までやってきたのだろう?」と思い悩まずには済みそうなだけのリターンを得ることができた。
あと、これは個人的にかなり嬉しいことだったのだけれど、予選ではできなかった、自分らしい、星野流人らしい空白の5年間の間に積み上げた大喜利のスキルを詰め込んだ回答で、復活の天下一で、本選で、ウケたのはとてもよかった。
突破は厳しいだろうけれど、でも、ここまで上がってこれてよかったな。そう思いながら、舞台を降りた。

というか体感的に、誰が勝っているのかまったくわからなかった。
たぶんなんだけど、Cブロックは誰も抜きん出ていない代わりに、全員がデカい当たりをだしてたんじゃないかな。そのくらいの混戦ではあったと思う。たぶん。

Dブロック。
直泰さんのキャッチコピーが「閃光」でめちゃくちゃかっこよかった。
ジャージの顔さんがキャッチコピーが「禁生の秘密兵器」で呼び込みにもシンデレラストーリーの単語があって、めちゃくちゃ「っポイ!」と思いました。
電子レンジさんが入場した時ジョジョ立ちを決めていた。普段そんなでもなかったのに、天下一付近の電子レンジさん、めちゃくちゃジョジョに傾倒していたな。
番茶が飲みたいさんがあからさまにいろいろな小道具を持ち込んでいたのだけれど、運営から「小道具は”原則”禁止です」とやんわり注意を受けていた。
店長さんがキレキレすぎて、店長さんに投票する以外の選択肢が無かった。もちろん他の人たちもよかったけど……。

Eブロック。
一番楽しみなブロックだったのだけれど、最初のお題が「何かを実況するYOUTUBERとそれに怒る人のやりとり」みたいなお題で、フィジカル面に秀でたプレイヤーが多かったこともあってかみんなめちゃくちゃおもしろくてずっと観ていたかった。マジでこのお題の時間がこの日を通して1番おもしろかったかもしれない。そんくらい全員が爆ウケだった。
で。ぺるともさんがめちゃくちゃウケていたし、その他の方々も前述の通りめちゃくちゃでかいホームラン打ってるんだけど、その上でも鉛のような銀さんのおもしろさが群を抜いていてやばかった。
鉛のような銀さんに入れた。

Fブロック。
サツマカワRPGさんが、FANさんに銃口を突きつけて人質にとり、パンツ一丁で登場。
スポットライトに照らされ、一度消え、再度スポットライトが点灯。
橋本さんに「早く席につけ!」と怒られてFANさんを席に放り投げて解放するも、FANさんは紹介VTRがまだなので一度はけて再度入場する羽目に。
Kouさんはブルーベリー大好き。
このブロックはお題ごとに跳ねている人が違って、一番投票に悩んだと思う。自分は3問通じて考えた時に一番安定してウケていた俺ランさんに投票した。

休憩。
正直、ウケはしたけれど、でも、通ってはいないだろうな……と絶妙に期待が持てないくらいの感じだったので、まあ、言ってはなんだけれど気楽に過ごした。
「おもしろかった」「もう一回見たいと思いました」的な言葉をかけられたと思う。ありがたかった。
ヨリミツさんに「絶対上位だと思う」というふうに声をかけた。
ヨリミツさんが白いホワイトボードを出して「透明なニンジンをあげる」という回答を出したことに対して言及し「フィジカルをやってしまいました」と言っていたのだけれど、私とアオリーカさんが2人して「あれはフィジカルではない」「あれは発想」「フィジカルというものはその人本人にしか出すことのできない特殊な回答手法を総じている」「白いホワイトボードを出すという行為自体は誰にでもできるので、あれはフィジカルではなくヨリミツさんによる発想の勝利である」ということを熱弁した。フィジカルに対して一家言ある流人アオリーカ。

結果発表。
Cブロックの結果が表示される。
果たして、というきもち。

6位、3票、海原雄山。
あっ、最下位じゃない。と思った。意外と、というか、少なくとも4票以上票をもらってるじゃん、と思った。
5位、5票、星野流人。
「うわっ……」と、文字列を見た瞬間に、声が漏れた。上がっている可能性なんてほとんど無かったと思っていたけれど、それでもやっぱり声は漏れた。悔しいかどうかと言われれば、うーんまあでも今回の出来だとそうだろうなあこれでも上々ぐらいだよ、と思っていたけれど、でも、それでも、どうしても声は漏れた。
隣に座っていたまるおさんが、小さくこちらに向けて拍手をしてくれたのが見えた。

5票。自分自身の票を除いて、4票。
100人を超える観衆の中で、大事な本選でのこの1票を、「星野流人さんがよかった」と思って票を投じてくれた人が4人いた。
それは思ったよりも心の中のシコリを解きほぐしてくれて、ああ、なんというか、言葉にするのも難しいのだけれど、「私を選んでくれて、ありがとう」という想いに尽きる。

俺の第16回大喜利天下一武道会、そして初めての天下一の本選は、そうして終わった。

……あと、これに伴い、全然大喜利とか関係ない人には「海原雄山先生に勝ったことがあるんですよ」と言うことができるようになった。なんかネームバリュー的に凄そうじゃないか? いや、大喜利関係ある人から見ても、これはすごいことなんだけどさ。

決勝戦。
片野さん、鞘さん、ダンジョンのTさん、店長さん、鉛のような銀さん、FANさんが勝ち上がり。
決勝戦はさすがここまで上がってきた人たち、と思わせるくらいに全員ちゃんとウケてて、でかい笑いをとっていて凄まじい光景だった。
そんな中でも抜きん出ていたのは、本選1回戦を100票超えという信じられない得票数で突破した鉛のような銀さんだった。
あの歯切れの良い回答、キレの良い動き、フィジカル面において理想形ともいえるようなプレイスタイルで本当に見ていて感動したしとてもおもしろかった。すごい。よかった。

第16代目チャンピオン、鉛のような銀さん。本当におめでとうございます。

エンディング。
せっかく良い雰囲気だったのに、ザ・キンタマが全てをぶち壊した。
予選から含めて2ヶ月に渡って行われてきた大喜利天下一武道会を、全部伏線にしてウケるんじゃないよ。
エンドロールでスタッフや出場者たちの名前が流れる中で、自分が予選を突破した際、出場者紹介のための写真を撮っている様子が流れていた。カメラに向けて指を向け、ポーズを決めている。良い光景じゃん、と思った。



そんなわけで、第16回大喜利天下一武道会、でした。

最悪な大喜利絶不調のさなかにあって、どん底の気分で迎えた天下一だったけれど、どうにかこうにか、こうしてnoteの記事を書こうと思えるような結果にはなったのでよかった。

自分が、星野流人が大喜利天下一武道会の本選に進出したっていうことは、自分にとってもそうだけれど、人にとっても勇気を与えられる結果になったのではないかなと勝手ながら思う。
星野流人が……あいつが通ったんだったら、俺でもいつかいけるだろう、みたいな。
あいつでも6年間かかってでもなんとかたどり着いた舞台なんだから、7年でも8年でも、何年でもずっとずっとやってれば、いつか手が届く舞台なんだろう、的な。
それが良いことなのか悪いことなのか、わからないけれど。
少なくとも、大喜利をやっていて、鳴かず飛ばずの中で何度挫けて心が折れて傷だらけになって泣いて苦しんでもう二度と大喜利なんてやるもんかって叫んだって……続けている限り、「一度も日の目を見ずに終わる」だなんてことはないんだということは、証明したのだ。

俺も……一度たどり着いた舞台なんだから、またもう1回目指そうと、前向きに思えるように変わっていく。

だから、まあ。
俺はここまできたよ。

ここまでこれたよ。

もっともっと、もっともっともっと長いこと続けてたら。

もっと高いところからの景色も、見える機会がもらえるかもしれないな。


2019年2月15日
大喜利天下一武道会 本選から6日。
星野 流人