見出し画像

「ドル円相場と○○の関係」という都市伝説③日米のインフレ率

「トルコリラなどの外貨預金は高金利で、一見お得に思える。しかし、実はトルコリラは高インフレ(通貨価値が下落)なので、日本人がトルコリラで預金すると、トルコリラの価値は少しずつ下がっていく。そして結局は損をする」という話を聞いたことがある。実際、そのとおりである。

ところで、アメリカは毎年安定したインフレを続けている。インフレとは、通貨価値が下落することである。そうすると、米ドルの通貨価値は長期的に下落するのではないか。

そんなわけで、過去30年の値動きを調べてみた。

下図は、日本とアメリカのインフレ率。

画像3

1990年~2019年の30年間をみると、アメリカは常にインフレ率2%台を維持している。一方、日本のインフレ率はほぼ0%で、マイナスのときもある(デフレ)。

インフレとは通貨価値下落のことだから、アメリカのインフレ率2%は、ドル下落を意味するはず。1年につき2%の円高ドル安が進み、30年後には60%の円高ドル安になっているはず。しかし過去30年を通じて、実際のドル円相場は、100円±20円のボックス相場で推移した。

ドル円


つまり、日米のインフレ率の違い(アメリカのインフレと、日本のデフレ)は、長期的にはドル円相場に影響を及ぼさなかったといえる。

ちなみに新興国通貨は、高金利・高インフレ率で、日本円に対して長期的に下落し続けている(円高=新興国通貨安)。円とドルという互いに先進国通貨の場合と異なり、新興国通貨の場合、「インフレ=通貨価値下落=新興国通貨は円に対して安くなる」という図式は成立するといえる。

§ まとめ
基軸通貨国アメリカがこの世界を支配している(陰謀論)。


§ 参考webサイト
インフレ率はCPI(消費者物価指数、前年比)を使用。
・日本:総務省統計局 
・アメリカ:FRED(Federal Reserve Economic Data)
・日米インフレ率は「世界経済のネタ帳」でも見れる。



あなたのグラスのてっぺんを、私のグラスの足元に。私のグラスのてっぺんを、あなたのグラスの足元に。ちりんと一回、ちりんと二回。天来の響きの妙なるかな! byディケンズ。Amazon.co.jpアソシエイト。