ガーナの歌姫MzVee ～音楽の国ガーナから響く芳醇なアフロポップ！～

アフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキです。
6月22日にJ-WAVE「SONAR MUSIC」に出演させて頂きました。番組を聴いて下さったリスナーの皆さん、SONAR MUSICの皆さん、そしてナビゲーターのあっこゴリラさん、本当にありがとうございました！

3回目の出演となる今回はUK音楽シーンとアフリカ音楽の関係性を軸に、ナイジェリアのアフロポップを私が、そして南アフリカのAmapianoをDJ＆プロデューサーのaudiot909さんが担当し、世界を席巻するアフリカ音楽の最新動向をご紹介させて頂きました。
番組の内容は来週28日までradikoのタイムフリーでお楽しみ頂けますので、ぜひ聴いて頂けると嬉しいです。SONAR MUSICの番組公式Twitterもぜひフォローお願いしますね。

さて、今日ご紹介する音楽はガーナ！カカオの生産で有名なアフリカの国ですが、実はナイジェリアと双璧をなすアフロポップ大国でもあるんです。そこで今回は6月23日に誕生日を迎えたガーナの歌姫をピックアップ！

MzVee

（画像・記事参照）https://www.classicghana.com/music-boosted-my-confidence-mzvee/

今回紹介するMzveeは1992年にガーナの首都・アクラ生まれのアフロポップ・ダンスホールシンガー。6月23日に誕生日を迎えた彼女のTwitterのタイムラインは多くのフォロワーから送られた「Happy Birthday！」のコメントで埋め尽くされていました。

今年5月にリリースされた最新曲「Vanity」は、昨年2020年12月に発表された彼女の4枚目のアルバム「inVeencible」からの5thシングルで、この曲では同じくガーナの人気アフロビーツシンガーであるKelvyn Boyをフィーチャーしています。またプロデューサーはガーナで「King of Beats」の異名を持つレジェンド的存在のSamsney。彼は前述のKelvyn Boyやガーナの音楽界のボスともいえるStonebwoy、そして音楽だけでなくファッションセンスの良さでも知られるDarkovibesなど、多くの人気アーティストとの仕事でもその才能を余すところなく発揮しています。

そんな鉄壁の布陣でつくられたメロウチューン「Vanity」ですが、タイトルを日本語に訳すると「虚栄心」や「見栄」という意味になります。GhanaWebなどの記事によると、曲はネットを含めた詐欺まがいの手法で簡単にお金を稼ごうとする若者たちに対しての警告であり、成功には謙虚さや忍耐強さ、そして神への感謝が重要であるという彼女のメッセージが込められています。

彼女は20歳だった2012年に「D3（Diamond 3）」という3人組ガールズユニットのリードヴォーカルとしてデビューしました。ちなみにメンバーはMzVee、Esbee、Samira Nadiaの3人で、曲はダンサブルなR&B路線と言っていいでしょうか。この時代は例えばナイジェリアのYemi AladeやTiwa Savage達も欧米流R&Bテイストの曲がほとんどだったので、きっとこうした売り出し方が主流だったんだと思います。

2014年にはソロデビューシングル「BorkorBorkor」をリリース、その後 Ghana Music Awards 2014で「Unsung Artiste Award」を受賞しています。「Unsung」という言葉が聞き慣れなかったので調べてみたら、「まだ歌われていない」「まだ称えられていない」などの意味になるので、いわゆる「新人賞」に値する賞だと思います。ちなみに「BorkorBorkor」は「ゆっくりゆっくり」の意味だそうです。

そして同じ2014年に1stアルバム「Re-Vee-Lation」、翌2015年に2ndアルバム「Verified」をリリース。この２枚のアルバムはガーナ国内で高い評価を受け、「Verified」からのリードシングル「Hold Me Now」はGhana Music Awards 2016で「Best Female Vocalist of the Year」を獲得、またアメリカのBET Awardにガーナ人女性シンガーとして初めてノミネートされてました。

アーティストとしてはこの上ないほど順調にみえた2017年、MzVeeは突如活動を休止します。彼女はうつ病を患い2年間の長い休みを取りました。この活動休止中の彼女にとって最も心の支えとなり励まし続けたのが、同じガーナのアーティストで一緒に曲を制作したこともある友人Efyaの存在だったそうです。

僕はこの「Abofra」のMVが彼女の作品の中で一番好きです。海沿いの素朴な街並みの美しさと二人の親密さ、そして強い信頼関係が感じられる素敵な映像でしたし、何より二人の歌唱力が半端じゃないですね。
Efyaのサポートの甲斐もあってMzVeeは見事に復活し、冒頭でご紹介した4枚目のアルバム「inVeencible」を発表しました。「Sing My Name」や「Falling」など本当に素晴らしい楽曲が多い彼女ですが、ここでの締めくくりとしてこの「Hallelujah」を選ばせて頂きました。

Yemi Alade、Patoranking、Kojo Funds、Stonebwoyなど錚々たる顔ぶれとの共演も多いMzVee。その卓越した歌唱力とパフォーマンス、そして過去には世界銀行大使を任命されるなどガーナ国内外においてその発言力と存在感は今後もますます大きくなっていくと思います。
というわけでこの後もガーナから素晴らしいアーティストを何人かご紹介できればと思ってます。

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最後までお読み頂きましてありがとうございました。
アフリカ音楽キュレーターでMetal Butterflyプロデューサーのアオキシゲユキでした！

＜出典＞
https://www.modernghana.com/entertainment/62090/i-was-super-depressed-to-leave-music-industry.html
https://www.ghanaweb.com/GhanaHomePage/entertainment/MzVee-appointed-as-World-Bank-ambassador-387708
https://www.ghanaweb.com/GhanaHomePage/entertainment/MzVee-Kelvynboy-tackle-scramble-for-quick-wealth-in-Vanity-video-1261237