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欅坂46夏の全国アリーナツアー2019 東京ドーム2019年9月19日

欅坂46夏の全国アリーナツアー2019
東京ドーム2019年9月19日

 つくづく欅坂46というのは、平成世紀末を全力で駆け抜けたグループだな、と思う。「ガラスを割れ!」からはじまり、「カタミラ」「エキセントリック」「セカアイ」「青空が違う」・・・・・・・・・怒涛のように続くメドレー。どれも完成度の高い、時代が作った、見事な楽曲。欅坂46は、もうこの楽曲群がある限り、誰が卒業しようが、新しいメンバーになろうが、アリーナーで公演し続けられるのではないか、というぐらいに見事な曲たち。歴史的名曲とも思われる「二人セゾン」、出会い頭にやられた「サイマジョ」、おおこういう視点から来るのかと思った「避雷針」「アンビバレント」。二度目のセゾンは「風に吹かれても」そして、アンコールは「不協和音」。

 最高に楽しめたコンサートではあったが、各楽曲が登場した時の、さまざまな思い出が脳裏に浮かんでしまう。そして再度思うのは、欅坂46というのは、初期メンバー+長濱ねるの21人のグループだった、という再確認である。セゾンの並びにずーみんとねるがいない。避雷針で平手を受け止めるのは、リサではなくてモナだろうと思ってしまう。どうしようもないが、そう思ってしまうのは事実である。まとわりつく幻影のように、いなくなった4人の姿が東京ドームに存在していた。オダナナもいなかった。メンバーもまた、彼女らのことを思いながらパフォーマンスしていたのかも知れない。

 アンコールナンバーは不協和音。この曲は、ステージでやればやるほど
厚みが増す。かつて、平手が不在の時でも、この楽曲は欅坂46の存在そのものを表現していた。平手が中心にいれば天下無敵。

 会場がざわついたのは、「アンビバレント」の時。平手が歌いながら笑ったのだ。えっ? と思った。でも間違いない、平手は笑ってる。それは、無理して作った笑顔ではなく、何かに解き放たれたように、自然に浮かんだ笑顔だった。続く、「風に吹かれても」でも、自然に笑っていた。これまでのライブでは緊張感の塊のような平手であったが、18歳、なにかが内側から変わったのかも知れない。そういえば、今回のライブは、最初から、緊張感ある楽曲でも、なにかしら、ゆるやかな踊り方であったような気がする。

 剛を追求する剣豪がついに開眼して柔の剣法を見出したごとくに。

 ダブルアンコールは、平手の主演映画の「響 -HIBIKI-」の主題歌の「角を曲がる」。この曲は、欅坂46とは関係ない。平手が単独で出演して、これまでのメンバーやスタッフとは違う世界で、新しい自分を発見した仕事だ。

 単独で、踊りながら歌ったが、この振り付けはTAKAHIRO先生ではないのだろう。踊りというより、自分の気持ちを身体で表したような、動きである。欅坂46というグループ活動の中で「自分らしさ」を求め続けてきた平手。最後に深々と一礼をし、「ありがとうございました」と言った。そして笑顔。

 多くの観客は涙した。この「ありがとう」を言われた観客は、そうじゃない「ありがとう」を言いたいのは、こちらの方だ、と思って泣いたのだと思う。あるいは、この「ありがとう」が、もしかしたら平手が卒業する時に最後に発する言葉だと受けとってしまったのかも知れない。お別れの時に「ありがとう」と言われることが一番悲しい。

 でも、もしかしたら、平手が「ありがとう」と言ったのは、自分をここまで連れてきてくれた、「14歳から17歳までの自分」に対して言ったのかも知れない。

 秋元さんは、欅坂46がデビューした時の平手について、スターというのは、他人が勝手に誤解するキャパがある人、みたいなことを言ったと思うが、まさに、平手友梨奈は、存在そのものが謎であり解答であるような、稀有な存在であることを、東京ドームで再確認したのである。

 そして私たちは知るのである。欅坂46の最大の魅力は「せつなさ」にあるということを。

 時は流れる。流れすぎてゆく時に対して、私たちが言える言葉は「ありがとうございました」だけ。

しかし、東京ドームで、月スカと黒い羊は見たかったな。すごい音量で聞きたかった。それだけは残念。

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欅坂46と平手友梨奈についての論考です。

考えることが好きです。考えて、すぐ試してみることが好きです。試しながら考えを調整したり、最初から考え直してみたりすることが好きです。言葉の力を信じています。自分の考えを言葉にしようしない人を信じません。一緒に考え言葉にしていきましょう。

参加型メディア一筋。メディアの活動家、橘川幸夫が体験した中で感じたこと、考えてきたことをベースに、時代のシーンに対して考察します。月額...

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参加型社会一筋
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