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「参加型社会宣言」発行になりました。(「あとがき」が終わらない)


1.私の発想


 私は1981年に最初の単行本「企画書」(JICC出版局)を出した時から「これからは本は読むものではなく書くものだ」と決めて、よい読者ではなく、よい著者になろうと思いました。しかし、原点が「参加型社会を推進する」ことだったので、「雑誌は参加型だが、書籍は一方通行的だ」という思いが強く、普通の著者のようにはなれませんでした。

 多くの読者は、書籍に「正解を求めている」ことを理解したのは、相当、経ってからです。根が雑誌型の私は、書籍というメディアも「みんなで考えていくための素材」としてか思えなかったのです。

 その態度は、書籍の著者としては異質でしょう。すくなくとも、私は、そういう著者に出会ったことがない(笑)。

 しかし、そういう異質な著者でも、これまで多くの優秀な編集者に出会うことがあり、たくさんの本を出させていただきました。その読者の中で、私の真意を受け取ってくれて、連絡をくれて生涯の友となった人がたくさんいます。現在の私の友人の大半は、学校の同窓生でもなく、会社の同僚でもなく、趣味やサークルの同好会でもなく、私の本や言葉を通して1対1の関係性を築いてくれた人だけです。

 思えば、私を育ててくれた、子ども調査研究所の高山英男さんも、私の記事を読んでくれたことがきっかけだし、真崎・守のマンガを読んで彼との交友が生まれ、林雄二郎さんの本を20代の時に読んで感動して手紙を送ったところから彼との40年の付き合いが生まれ、ポンプを発行することで小谷正一さんから連絡をいただいたり、と、私の関係はすべてメディアを媒介にしています。

 「メディアを通して1対1の関係が生まれる」ことこそが、これからの情報化社会の本質だと思います。まだまだ、古い組織論である党派的な抱え込みや、組織対立構造がうっとおしく世界の表面を覆っていますが、その暗雲の中で、情報化社会の新しい関係性がはじまっていると確信しています。

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2.組織幻想の崩壊

 コロナ情況の中で新刊を書きました。社会生活の遮断という現実は、オンライン授業、オンライン勤務、という新しい現実を生み出しました。多くの大学や企業は、オンラインの可能性とデメリットを感じていると思います。しかし、たぶん、根本的な変化を見逃していると思います。

 それは、オンラインになれば、これまでの大学や企業という組織的なフレームが不要になるということです。近代組織は、コロナ情況を乗り越えるためにオンラインを活用していますが、オンラインになれば、優秀な教員や会社員は、既存の組織を必要としなくなり、独立するでしょう。

 大学で言えば、アメリカでMOOCSが登場した時に分かったことですが、これまではブランドとか偏差値で大学が選択されていた。それは、授業の中身が外部からは見れないので、偏差値の高い大学は、それなりのレベルの授業をやっているだろう、という想像で選択するしかなかったからです。しかし、現実は、そんなことはありません。偏差値の高い大学でもくだらない授業はあるし、低い大学でもユニークな授業をやっている先生はたくさんいる。それらの授業の中身を公開したのがMOOCSであり、インターネットという社会システムなのです。

 すべての大学がオンライン授業をやっています。うまくやっている大学もあれば、うまくいってないところもあるでしょう。来年の受験生の大学選びの要素の一つに「オンライン授業への評価」になるでしょう。しかし、うまくやっているのは大学ではありません。うまく対応した先生がいるだけです。そうなれば、評判の良いオンライン授業の先生は、他校から引き抜きが来るかも知れません。そして、大学という具体的な装置が必要がなくなったと思えば、独立して、自分で私塾を開始するかも知れません。

 それは、例えば、人気のあるYouTuberを旧来の芸能プロダクションの発想で抱え込もうとしたUUUMから、大量の離脱者が出ているのも、コロナ情況と無縁とは思えません。オンラインの情報社会が、新型コロナイルスが作り出した情況の中で、くっきりと未来の現実として現れたことにより、能力のあるYouTuberは、自分ひとりで世界を相手にすることに自信を持ったのです。

 企業のオンライン勤務も同じです。能力のある技術者やスペシャリストは、会社員である必要がなく、自分で会社を設立し、勤務先の企業と業務提携すればよいわけです。そうすれば、三菱の人間が三井とも契約交渉出来るようになります。

 近代の組織論、つまり、人材をまるごと抱え込んで組織に人格をもたせる、という幻想が崩壊するのです。

3.出版の可能性

 私の今回の本は、クラウドファンディングで資金を集め、既存の出版社に頼ることなく発行しました。このことの意味は、「近代組織の溶解と新しい個人の出立」という私自身の意識の表現でもあります。

 126人の支援者が印刷制作費を出してくれました。彼らは、誰よりも大事な読者です。そして、ここから、次の段階に進みます。

 Zoomの普及は、新しい関係装置を多くの人が共有しましたが、まだ、Zoomで交流出来るのは、友人知己だけです。新しい出会いはありません。だからといって、不特定多数の人がネット上で出会う、出会い系を作っても何も生まれません。Zoom環境の中で、本当の1対1の関係を作り出すために、私は、本を出しました。新しい時代を本気で考えるなら、単に考えてても駄目なので、自らの肉体を使った行動しないと。

 本書の初版は1000部ですから、書店に陳列されて売れるものではありません。しかし、これまでもそうであったように、思わぬ人や才能をメディアを通して出会う、ということを私は信じています。まずは、私が取次口座をとって、今は友人が経営している出版社であるメタ・ブレーンを通して、Amazonや書店などの販売ルートを確保しました。

 その上で、多様なプロモーションを行います。これも、これまで私のメディアを通して私のことを理解してくれている友人たちに相談しています。それぞれのメディアで、新しい人との出会いの契機が生まれればと、思います。

●川田十夢のラジオ番組に登場します。6月26日の21時です。

十夢は、彼がジューキミシンのサラリーマンだった頃に出会い、「この本読め」「この本も読め」といろんな本を推薦しました。そういうことはあまりしたことないのですが。私は、一応「AR三兄弟の祖父」という位置づけです(笑)十夢の書いてくれた、私の処女作である「企画書」のレビューは、素晴らしいものです。

川田十夢の10年前の解説

●7月4日の10時からは、スピーディの福田淳さんとFacebookライブをやります。福田さんとは、彼がソニーデジタルエンターティメントを創業する時に、故・内田勝さんの紹介で出会いました。内田さんは、講談社の伝説の編集長で、私が20代の頃からのメディアの兄貴分です。そして福田さんの師匠になります。

ジョージ秋山と内田勝との出会いについて。

福田さんの素晴らしさは、アートとビジネスを同じものとして語り、行動しているところです。彼のアートはビジネスだし、彼のビジネスはアートです。時折、思い出したように会って、おしゃべり出来る関係もよいと思っています。

福田さんが、持ち前の直感で、「もう、出版社に頼って本を出す時代ではないな」ということでしょう、自前で、出版活動を開始しました。最初の本は自分の本です。

パラダイムシフトできてる? ポストコロナ時代へ

ということで、同じ時代の同志として、福田さんと、Facebookライブをやります。当日、Facebookにアクセスしといてください。

世界を動かすというのは、こういうことで、既存の出版社に頼りきって、大量に本を売っても、世界の本質的な動きとは関係ない(笑)「量」による啓蒙の時代は終わっているのです。

4.著者と読者との対話

 今回の私の本は、「本を通してリ出会い」を、より強固に推進するものなので、読者との対話を進めていきます。

 本を読んでくれて、何か私の伝えたいことがあれば、以下で反応してください。


「参加型社会宣言」反応器


 著者と読者との対話を進めて行きます。

すでにゲラの段階で読んでくれた友人たちと、Zoom対話を進めています。

対話「参加型社会宣言」為本吉彦(株式会社三菱総合研究所 主席研究員)

対話「参加型社会宣言」久米信行(iU情報経営イノベーション専門職大学教授)

今後、さまざまな人と対話を続けていきます。


 その先がどうなるかは、乞うご期待(笑)いろいろメディアで遊びます。
 まずは、読んでくださいね。

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