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橘川幸夫のメディア・レビュー●SONYやるなあ、「PROJECT REVIEWN」

ライブの感動をそのままに、モバイル端末で映像を購入・視聴できるイベント会場限定の映像コンテンツ販売プラットフォーム PROJECT REVIEWNを開始

 久しぶりにSONYから「おおっ」と思わせるサービスが登場した。「PROJECT REVIEWN」である。ライブ会場限定で、ライブや楽屋の動画コンテンツを販売するシステムだ。

 もう言い古されているが、旧来型のメディアの方法論が行き詰まった時に、その突破口として登場したのが「フェス」「ライブ」である。メディアのコンテンツは、どんどん無料になり、情報は拡散していくので関心を持つファンは増えるが、コンテンツはタダなので、いくらメディアを充実させても、そこではビジネスにならない。リアルな空間でコンテンツを提供する「フェス」「ライブ」が人気を博し、旧来のメディアの枠組みを超えるビジネスに成長している。

 ここで大事なことは、メディアが駄目になったからリアルに流れたのではない。メディアが充実したから、そのことによって関心層が拡大し、情報が深化して、リアルなコンテンツに向かう層も増大させたのである。

 PROJECT REVIEWNは、ライブ会場だけで販売するメディア・コンテンツである。メディアからライブへ、そして、ライブからメディアへという新しい線をひいたことに新しさを感じた。PROJECT REVIEWNは、SONYの社内提案からスタートしたプロジェクトのようだ。メディアとライブの相関関係を体感的に理解した若い人が提案したのだと思う。

 マイナーなイベントのライブに行けば、物販やチェキ撮影などが盛んで、こちらの売上の方がチケット販売より大きくなっている。

 更に、チケットの抽選にはずれて、入場出来なかったファンも、会場の側までくれば購入出来るという。大昔、ビートルズが日本武道館で公演やった時に、チケットの購入方法を知らなかった高校生の僕は、とりあえず武道館の門のところまで行き、中から漏れてくる歓声だけを聞いていたことを思い出す(笑)

 寺田倉庫でやっている、DAVID BOWIE is(デヴィッド・ボウイ大回顧展)は、チケットがなくても物販コーナーには入れるみたいで、回顧展の会場は、見るのにえらく時間がかかるので、物販は別の日という人も珍しくないようだ。

 こうやって、大きな流れを見ていると、歴史を思い浮かべたりする。それは、楽市・楽座というものだが、物販するために、歌舞伎公演や大道芸人を集めて賑わいを作り、そこに物販の出店を集めたのだ。人間のやることの構造原理は変らない。

 さて、亀田くん、例の企画は、この原理を踏まえて進めていきます(笑)

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