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出版構造論ノート

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インターネット時代の「出版」のあり方と意味を追求する。
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記事一覧

未来編集研究会のマガジンをフォローしてくれた皆さんへ

未来編集研究会のマガジンをフォローしてくれた皆さんへ

 既存出版業界の崩壊は、もはや一時的な対応策ではいかんともしがたい状況になっています。もういちど、根本のところから出版の意味を考え、考えるだけではなく、未来に向けての出発を開始しなくてはならないと思います。

 出版への想いと技術を持つ人は、連絡をください。現在、定期的に「未来編集研究会」の会合を続けていますので、都合のよい人は合流して欲しいと思います。新しい出版の考え方と具体的方策を考えています

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動的電子書籍論(2)コンテンツの経済学

動的電子書籍論(2)コンテンツの経済学

 コンテンツの値段は、ハードコストとソフトコストと流通コストになる。ハードコストとは出版であれば印刷制作費。ソフトコストは、著者の印税や編集・デザイン費用など。

 既存の書籍でいくと、昔はハードコストは3割と言われていた。つまり印刷費を発行部数で割った1冊あたりのハードコストの3倍がだいたいの定価になる。流通コストは書店・取次で4割。残りの3割がソフトコスト+版元の利益。しかし、書籍は委託販売制

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――カポネ・トライアングル●1980年書きおろし原稿

――カポネ・トライアングル●1980年書きおろし原稿

■ぼくたちの組織論は「つなぐ組織論」だ。上部から強力な指導性を発揮して牽引してゆくことでも、思想を外部注入して変革を迫ることでもない。内部の自発性と必要性に迫られて、ひとつの個として自立したもの同士を、つなげていく方法だ。

■「ネットワーク それは組織ではない。それ自体は何の利益も生み出さず、何の拘束もしない。各構成単位の自立性を損なわず、情報だけが流通する非組織。ネットワーク=八○年代後期の新

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2-1.パッケージ・マガジン◇将来のプリント・メディア●1980年書きおろし原稿

2-1.パッケージ・マガジン◇将来のプリント・メディア●1980年書きおろし原稿

2.プリントメディア■生産量を高めていくだけの時代はとっくに終わっている。不要なものは一切生産しないことと、生産しているものの質を高めていくことがぼくたちの課題だ。

■ぼくたちはもうなにも作らない。なにも生まない。新しい生産は、結局、自繩自縛。ぼくたちの生活を犯す。新しい雑誌を作るということは、それだけパルプの消費を加速し、ゴミを増やすだけだ。

■そこでどうするか。新しい雑誌を作って、それを流

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1-5.見えるもの●ポンプ核通信1979年7月

1-5.見えるもの●ポンプ核通信1979年7月

 ぼくの実感だけど、この一年間ぐらいの間に「七○年代のそれなりのイデオローグ」と思われる人たちのボルテージが、どんどん落ちてきているみたいだ。昨日、子ども調査研究所の高山所長にそう言ったら「もう特別なイデオローグなんか出てこないよ」と言った。確かサミットの時にジスカールデスタンは「もうドゴールのような偉大な指導者は出てこない」と言ったはずだ。出てこない、というのは、つまり、ぼくたちが必要としない、

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未来編集研究会へのお誘い

未来編集研究会へのお誘い

 生命は海の中で生まれ、海を捨てて大地と大気の中に棲むようになった。大地と大気の中で生まれた人類の祖先は、やがて共同体を作りだし、村を作り、村を捨てた者たちが都市を作り、現在の私たちがいる。そして、いま再び、私たちは、都市共同体すらも捨てて、新しい生活環境へと進もうとしている。それがメディアという新しい環境である。

 私の友であり師であった故・林雄二郎は、「情報化社会」という言葉を作り出し、未来

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ライブ空間についてのご案内

ライブ空間についてのご案内

 デメ研では情報メディアの開発と運営体制のネットワーク化を進めています。情報メディアには、紙メディア、通信メディア、ライブメディアがあります。いずれにおいても、仕事を通して新しい仲間と出会い、相互の関係性を深めていきたいと思っています。デメ研の入り口は常に開けっ放しですので、遊びにきてください。

 それでライブメディアですが、現在、阿佐ヶ谷アニメストリートのカフェで行われている「デメ研クラブ」と

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CLOSER@note を開始しました。

CLOSER@note を開始しました。

CLOSERマガジン

「0.8秒と衝撃。」(ハチゲキ)が登場した時に、津田くんがハチゲキのレビューをブログに書いていて、その言葉の扱いに驚いて連絡をした。僕は20代の時に、「ロッキングオン」「ポンプ」という投稿雑誌の編集をやっていて、無数の原稿や手紙を読みまくる生活をしていたので、言葉の扱い方で、その人の人物が見えてくることがある。往々にして文章のうまい人は、性格的に問題ある人が多いが(笑)

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CLOSER@noteがスタートしました。

CLOSER@noteがスタートしました。

日本の音楽シーンの、一番、ホットで魅力的なシーンを紹介するマガジンです。ネットと紙とライブを組み合わせていきます。編集長は津田 真。ガンガンいきますので、フォローよろしく。

https://note.mu/closer_note/magazines

Mediumの意味

Mediumの意味

エヴァン・ウイリアムズについては、詳しくは知らない。ブログを作って、Twitterを作った人ぐらいのことしか知らない。ネットを調べれば、もっといろいろ分かるだろうが、とりあえず、そういうことはどうでもよい。Mediumが登場した時、この20数年余り、ネットの世界に生きた人間であれば、その「新しさ」を察したことだろう。

見た目は、どうということない。ブログとどう違うのだと思われるかも知れない。しか

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もうひとつのメディアについて

もうひとつのメディアについて

人が原稿を書く時には「何かについて書く」というところからスタートする。それはジミーペイジについて書くとか、ドラゴンボールについて書くとか。書く対象に対する愛情が書く動機になるのだが、どのような「何かついて書いた」原稿も、書かれた原稿には書いた人の想いや思考が現れる。

何かについて書いたつもりでも、自分のことを書いたことになるのだが、普通は意識しないだろう。70年代のロッキングオンが、「ロックにつ

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「ポンプ」プロジェクト・メンバー募集

「ポンプ」プロジェクト・メンバー募集

 さて、ここのところ、30数年前の「ポンプ」の開発ドキュメントなどを読み直しているのは、「インターネット時代のポンプ」の可能性を考えているからだ。考える前にやっみる。やりながら考える、か。

 それで「インターネット時代のポンプ」を手伝ってくれる人を募集します。視覚などはありませんが、僕のポンプに関する原稿などをよく読んでからにしてください。

ポンプノオト/ポンプ核通信’1979年8月

ポンプノオト/ポンプ核通信’1979年8月

ポンプノオト。このテキストは、ポンプを創刊する時にネットワークした150人ぐらいの「ポンプ核グループ」と1000人ぐらいの「ポンプアンケート要員」のみんなに、配布していた内部情報ペーパーである「ポンプ核通信」に掲載されたもの。「ポンプ」は参加型の新しいメディアなので、こうした人たちと内側で議論しながら、作業を進めていた。

報告など。

 例えば、東京に住んでる人なら、池袋という町には、「東側に西

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時代をつらぬく面白装置/宝島’80年5月号

時代をつらぬく面白装置/宝島’80年5月号

◇この原稿は、ポンプを創刊して2年目の体験を基に、1980年に宝島に書いた原稿。宣伝と報告を兼ねた文章だが、当時、僕がどういう想いと意図で、この雑誌を作ったかが、インターネットが普及した今だと更にしっかりと分かる。しかし、それでも「業界」という奴には、古い体質意識がしぶとく生き延びているような気がする。

                   
時代をつらぬく面白装置(ポンプ中間報告)


 

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