メッシュワーク

合同会社メッシュワークは「人類学者の目をインストールする」ことをミッションとする、2人…

メッシュワーク

合同会社メッシュワークは「人類学者の目をインストールする」ことをミッションとする、2人の人類学者によって創設された企業です。ウェブサイト:https://meshwork.jp/ ご相談・ご依頼はhttps://forms.gle/mpN2DF3UALc47ivz6

マガジン

  • 第2期メッシュワークゼミの記録

    こちらのマガジンのゼミ生の展示が2024年3月9日〜17日に行われます。 https://meshwork.jp/presentation2024

  • 第1期メッシュワークゼミの記録

    受講生が毎回参加後に書く、リフレクションをまとめていきます。

  • 人類学者がみる団地の暮らし

    人類学者である比嘉夏子と水上優が、UR都市機構とのプロジェクトで実施している団地のフィールドワークについて執筆していきます。

  • もしも人類学者の目がインストールされたら。

    学生アシスタントの井潟が、2022年4月に合同会社として走り出したばかりのメッシュワークの日常を内側から伝えるマガジン。

  • 2022年メッシュワークの記録

    2022年に配信したメッシュワークのメールマガジンをまとめています。

最近の記事

デザインリサーチトリップにフィールドワーカーが同行して見えてきたこと

2023年6月29日〜7月2日に鹿児島県阿久根市で行われた、専修大学・上平研究室のデザインリサーチトリップに「フィールドワークの専門家」としてメッシュワーク水上が同行した。青果市場跡地の利活用を学生と地域の方が一緒に考えるプロジェクトの一環として、今回のリサーチトリップが実施され、KDDI総合研究所とメッシュワークが協力することとなった。 トリップ全体の概要や経緯に関しては、上平さんがブログにて紹介している。 フィールドワーカーの背中を見せる…?上平さんから事前に頼まれた

    • 第7回(最終回) 「住む」フィールドワークの可能性

      今回私たちが実施した団地のフィールドワークプロジェクトは、おかげさまで予定の期間を終え、無事に幕を閉じた。あらゆるフィールドワークがそうであるように、もっと長く滞在すればもっとわかることも増えていったであろうし、様々な人との出会いも増え、そこでの関わりをさらに深めていけたに違いない。そういった意味で未練がないといえば嘘になる。とはいえ限られた期間と状況のなかで「住む」という選択をし、その目線で行ったフィールドワークだったからこそ、気づけたことはあったはずだ。団地に住むフィール

      • 第6回 歩くスケール、車のスケール

        今回は建物や周辺環境が、団地に住む人にどのような影響を与えているのかを考えてみたい。「団地」と聞くと画一的で全国どこでも同じような建物が立っていることを想像してしまう。しかし実際は、緑地の多さ、駐車場の位置、建物の高さ、色、形など、それぞれ異なる設計がなされている。第6回では建物や木々、空間の大きさが私たちにどのような影響を与えているのか、訪れる人の行動や感覚が団地によってどう違うのかをみていこう。 私は駅から徒歩5分ほど離れた、A団地にてフィールド調査を行っている。お祭り

        • 第5回 「祭りのまえ」から「祭りのあと」まで

          私が団地に住んでいた子どもの頃、夏祭りはひとつの大きな楽しみだった。やぐらが組まれ、屋台が立ち並ぶと、団地の広場は普段とはまったく異なる雰囲気を見せる。雑踏のなかを仲良しの友達と一緒に、浴衣を着てぷらぷらと歩き回ったものだ。お小遣いを握りしめ、リンゴ飴を買おうか、わたあめを買おうか、それともヨーヨー釣りをしようかと、真剣に悩む。やがて日が暮れて盆踊りが始まり、あたりに太鼓の音が響きわたる。東京音頭や炭坑節、ドラえもん音頭など、まだ小さい頃は見よう見まねでなんとなく踊っていた記

        デザインリサーチトリップにフィールドワーカーが同行して見えてきたこと

        マガジン

        • 第2期メッシュワークゼミの記録
          21本
        • 第1期メッシュワークゼミの記録
          28本
        • 人類学者がみる団地の暮らし
          7本
        • もしも人類学者の目がインストールされたら。
          6本
        • 2022年メッシュワークの記録
          9本
        • 人類学者×デザイナー
          6本

        記事

          第4回 拡張する井戸端

          私たちは今回「団地」を調査している。団地で営まれる暮らしや、そこで息づいている様々なことを知るために団地に住みながら団地を知ろうとしている。団地の中に商店街や郵便局があり、団地の中だけで全てが完結しているようにも思えるが、住人は必ず団地の外部とのつながりの中で生活している。 働いている人は、毎日職場に通勤するために団地の外に出ていくだろう。大きな病院に通う人、団地内の学校に行きながらも放課後は塾に行く小学生、団地外に住む親戚や友人が訪れるとき。 何かを知ろうとする時、その

          第4回 拡張する井戸端

          第3回 自治のなかにある余白と、ちいさな創意工夫

          新しい土地で暮らすには、そこに生活するうえでのさまざまなルールを身につけていく必要が生じる。今回、団地に越してきた私がまず最初に確認したのはゴミ捨ての方法だった。ゴミには分類のルールがあり、それに応じて自治体指定の袋を使わなければならないことが一般的だ。そしてさらには、そのエリアや住宅に固有の、捨て方のルールがある。 URの管理事務所に部屋の鍵を受け取りにいった際に、ゴミの捨て方の件についても尋ねてみたのだが、「詳細は自治会で聞いてください」という話だった。この団地は自治会

          第3回 自治のなかにある余白と、ちいさな創意工夫

          第2回 新しい住民になるということ

          私たちのフィールドワークは「賃貸契約」からスタートした。 契約を行うために、印鑑証明や登記簿の写しなど私たちが私たちであるという証明を集めて契約をしていく。数々の書類に会社名を書き、社印を押した。書類を書いていると「賃貸契約」をするという実感がわいてくる。 審査が終わると、鍵の引換券が郵送で届き、なんだかドキドキしてくる。フィールドワークを始めるときの不安や、緊張、楽しみが入り交じった不思議な感覚。当面の着替えやPCさえあればよいと考え、1泊2日用のキャリーケースに荷物を詰

          第2回 新しい住民になるということ

          第1回 そこに住みながら、わかろうとする

          こどもの頃、団地に住んでいた。 学校から帰ったあとに遊ぶ友達はほとんどが「団地のこども」だったし、私にとっての「公園」とは団地のなかに造られた小さな公園だった。夕方、そこにいくとたいてい誰かがいて、いつのまにか見知らぬ子たちとも一緒になって、暗くなるまで遊んでいた。 その後、引っ越して団地住まいからは離れてしまったため、私のなかにある団地のイメージは当時の、いくぶんノスタルジックな光景のままだ。夕暮れの暖かい光のなかで、ふんわりとした繭に包まれているような、そんなイメージ。

          第1回 そこに住みながら、わかろうとする

          「私が観た」ということに向き合う 〜人類学ゼミトークセッションレポート〜

          登場人物 水上さん:メッシュワークの共同代表。ゼミの運営を行なった。 佐川さん:UXリサーチのお仕事をしている。「カフェ」と「銭湯」を舞台に、居心地を形成する要素を探った。ご自身による振り返りはこちら 根岸さん:隠岐島・海士町で共育コーディネーターのお仕事をしている。隣の家に住む「じっじ」を取り巻くものを媒介して、じっじ理解を試みた。ご自身による振り返りはこちら 井手さん:UXリサーチのお仕事をしている。とある住人の「もの」に溢れた部屋に通いながら、ものたちによって立

          「私が観た」ということに向き合う 〜人類学ゼミトークセッションレポート〜

          プロセスをひらき、自分の殻をやぶる(後編)

          過程を開くことと、Discord 井潟:ゼミが終わって3週間くらい経って、何か変化とか、逆に変化していないことについて、聞いてもいいですか。 根岸:いやー、だんだんと日常に戻ってきてますね。弓指さんが話してたディズニーランドのエピソードのように、常日頃からに観察眼を持つとか、記録魔になったというような変化は、ぼくの場合は全然起こってないです。 観察しよう、という意識もそんなに強くなってない気がします。ゼミを受講する前は、終わる頃には観察魔・記録魔みたいになるのかなと思って

          プロセスをひらき、自分の殻をやぶる(後編)

          プロセスをひらき、自分の殻をやぶる(前編)

          根岸浩章さん:和歌山県出身。小学校教員、JICA海外協力隊を経て、現在は島根県の離島 海士町(あまちょう)にて教育コーディネーターを務める。 島の教育魅力化のために、探究的な学びやキャリア教育、学校を跨いだタテヨコの学びの接続、地域と学校の連携協働に奔走中。その他、地域マルシェの運営やコーヒー露天商など、いくつかのわらじを履きながら島での暮らしを楽しんでいる。サモアでの生活経験をきっかけに人類学に興味をもちはじめ、今回メッシュワークゼミを受講した。 研究テーマ:モノの扱いに

          プロセスをひらき、自分の殻をやぶる(前編)

          蛇行しながら、「意味がなさそう」な物事に向きあい続ける(後編)

          帰りの品川駅で浮かぶアイデア 井潟:展示を終えた手応えや来場者との会話も含め、Impact HUB Tokyoで開催した展示「フィールドから揺さぶられるとき」の簡単な感想を伺ってもよろしいでしょうか。 弓指:展示するというのは、人生初めてに近いんですよね。だから、展示するという課題をもらった10月初旬から「展示」が自分の中でキーワードになるわけですよね。結論から言うと、展示したからこそアイデアが出てきた。ああすれば良かったとか、これはちょっと違ったよねとか。 だから二回目

          蛇行しながら、「意味がなさそう」な物事に向きあい続ける(後編)

          蛇行しながら、「意味がなさそう」な物事に向きあい続ける(前編)

          ゼミ生プロフィール 弓指利武さん:京都府出身。2000年に学習塾に就職、その後教育向けコンサル事業を経て、国際貿易、食品メーカーのHRに従事し現在に至る。ゼミの題材になったソフトボール球団「京都上鳥羽ユーマーズ」は2005年に創設(選手兼監督)。 研究テーマ:ベンチの中でつくられる、選手たちの物語 概要:組織やチームの状態を表す「風土」「雰囲気」とは一体何なのか。まるで具体的に手に取れない厄介な霞のようである。数多ある組織論を眺めたとて、今ここにある「風土」「雰囲気」は捉

          蛇行しながら、「意味がなさそう」な物事に向きあい続ける(前編)

          【2022/7/1配信】7月スタートセミナーご案内

          来週7月7日からスタートするメッシュワークのセミナーに残席がまだあります! 【7月午前の部】日常と出会いなおすためのレッスン ①観る | Peatix 先月まで開催していた「日常と出会いなおすためのレッスン ①観る」をご要望が多かった、平日午前中に開催いたします。ご希望の方はお早めにお申し込みください。 日常と出会いなおすためのレッスン ②聴く | Peatix 新しいセミナー「聴く」も同じ日から開講いたします。こちらはこれまで通り、夜の開催です。 合同会社メッシュワー

          【2022/7/1配信】7月スタートセミナーご案内

          【2022/7/8配信】メッシュワーク連載『人類学者✕デザイナー』完結

          2月からスタートした連載、『人類学者Xデザイナー』がついに完結しました。メッシュワークのロゴを作成するプロセスを、人類学者とデザイナーが往復書簡によって解き明かしていくシリーズを一挙にご紹介します。往復書簡の第1回は比嘉さんから。 第1回:メッシュワーク的なロゴの生まれかた 「メッシュワークの目指す、人びととのとのコミュニケーションのありかたは、あくまで双方向的なものです。それは一方通行でないばかりか、分業体制でもない。異なる分野の、さまざまな思考や志向をもった人びとと私

          【2022/7/8配信】メッシュワーク連載『人類学者✕デザイナー』完結

          【2022/6/12配信】プログラムと現地交流会開催のお知らせ

          みなさまこんにちは。合同会社メッシュワークでは、来週に以下2つの対面イベントを企画しております。お申込は先着順となりますので、ご参加いただける方はどうぞお早めに。みなさまと直接お目にかかれる機会を楽しみにしております! ①「日常と出会いなおすためのレッスン①観る」【導入編プログラム・現地開催】 6月24日(金)16時から、東京・目黒のImpact HUB Tokyoにて、「日常と出会いなおすためのレッスン①観る」(導入編)を開催します。簡易ワークとフィードバック、ディスカ

          【2022/6/12配信】プログラムと現地交流会開催のお知らせ