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”コミュニティ”とは何ぞや。

8月の頭から開催された、全5回のプログラムに参加した。
コミュニティについて考えることがお題目である。

現在の仕事とコミュニティはあまり関連しないが、個人的にコミュニティ(スペース)の運営に興味があり色々調べている。

コミュニティについて調べてみると、統一された定義が無い。
研究者によって違ったコミュニティについての考え方があるようだ。
一口にコミュニティと言っても、様々な形があるから仕方ないのだろう。

そういった感じで「プログラムに参加して学んでみるか。」に至った。

全5回のプログラムだったが、3回はゲストの方から話を聞く形式。
残りの2回は主催のお二人の話を元にディスカッションする形式だった。

プログラム自体の内容をまとめてしまうとよろしくないと思うので、プログラムを受けて自分なりに整理した"コミュニティ"について書いていく。

※全部個人の感想と考えになるので要注意。

参加したプログラム

コミュニティのもやもやに向き合う-station×黒鳥社のコミュニティプログラム

ファシリテーター

station()というコミュニティ運営を主にしている企業のCCOである松元さんと黒鳥社(https://blkswn.tokyo/#blkswn)のCEOである土屋さんの2名。

概要

複数の視座を持って語っていく中で、コミュニティの意義や生じてくる課題を考える取っかかりを作り出せるのではないかと思っています。

加えて「考える」に留まらず、その先に何を「企画」しどう落とし込み続けるのかという運用の観点も今後一層重要になっていきます。

そのため今回はstationだけでなく、時事的なニーズに沿った多様なコンテンツを世に送り続けている黒鳥社(https://blkswn.tokyo/#blkswn)より代表・土屋さんをお招きし、思考と実践/企画と運用などより深い学びの場をお届けします。

この度、stationが新たにお届けする「Community Discussion Party」は、毎回コミュニティを軸にしたテーマについてstation松元と黒鳥社土屋さんの2人(ときにゲストさん)の会話を起点とし、参加された方を交えて議論/意見交換を行う形式の連続プログラムです。

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・第1回:8/2(水)
コミュニティのいま:「コロナを経てコミュニティに、今なにが起きているか?」
講師2名(station松元/黒鳥社土屋さん)によるコミュニティや取り巻くテクノロジーなどの時事/海外事例などの紹介し、各自のコミュニティに関する悩みや実践事例のシェアなどを中心としたディスカッションを行います。

・第2回:8/9(水)
都市×コミュニティ:「変わりゆく都市で、残り続けるコミュニティとは?」
ゲスト:谷口千春さん(minagarten代表/株式会社真屋 取締役)
広島市での実践事例をもとに、変化し続ける都市においてコミュニティを作るとはどういうことかを中心としたディスカッションを行います。

・第3回:8/30(水)
企業×コミュニティ:「組織からコミュニティは生まれるのか?」
ゲスト:宇野大介さん(株式会社アルファドライブ R&D Incubation Center センター長)
大企業における実践事例をもとに、従来の組織とは異なる体制をどのようにして作っていったのかなどを中心としたディスカッションを行います。

・第4回:9/6(水)
研究/実践×コミュニティ:「コミュニティ研究/実践のこれからとは?」
ゲスト:水越康介さん(東京都立大学 経済経営学部教授)
研究的見地からコミュニティビルドの実践を捉え、先行研究などから今後どういった展開が予想されるのかなどを中心としたディスカッションを行います。

・第5回:9/20(水)
コミュニティのこれから:「コミュニティのある未来は、人を幸せにするのか?」
総括として各回の実践事例をもとに、参加者各自のアウトプットにつながるようなディスカッションを行います。
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イベントページから

参加した感想

学びが多く、有意義だった。
参加費分はペイできたと思っている。

一方で、コミュニティの定義はやはり難しいと思った。
3人のゲストの方々も若干違った定義をしていたからである。

それぞれやっていることやフィールドが違うから仕方ないことなのだろう。
つまり、コミュニティについて調べるのあれば自ら定義する必要がある。

参加者からの質問も鋭いものが多かったので、もう少し参加者同士のコミュニケーションがあってもいいのかなと思った。(参加者によってはそれを嫌がる人もいるので難しいとは思うが)

めしじまの考え

ここからはプログラムに参加しながら考えたことを書いていく。
何冊か本を読んだりもしているので、プログラムの要約ではない。
あくまでも個人的に考えていることである。

前提となるコミュニティの定義

そもそもコミュニティという言葉の定義は曖昧である。
参加者や登場シーンによって全く異なる意味合いを持つ。
そのため自分なりでもいいので定義をしないと全く話が噛み合わなくなる。

少なくとも自分としては以下のように定義して考えた。
コミュニティ=人々が集うリアルな場所(プレイス)
オンラインサロンやファンコミュニティのようなものは当てはまらない。

コミュニティを形成する要素

これも曖昧な部分が大きいが、
・参加ハードルが低い(間口が拾い
・活動の自由度が高い(強制されない
・目標管理がされない(KPI等が無い
等は要素として考えることができるだろう。

参加する際に試験などの選抜が入るコミュニティもあるが、それはチームに近いような感覚を持っている。

コミュニティとチームは何が違うのか?については、サークルと部活のようなイメージを持っている。
コミュニティは緩くて自由度が高いのだ。

仮に参加者をレベルや活動可能日数によって選別したい場合は、Aコース、Bコース、Cコースのように選択肢を用意し、参加者自身で自分に合った参加度合いを選択させるのが良い。

コミュニティとは何なのか

自分がやりたいことを実現する場所なのではないか。
一人でやるには障壁が高すぎることにチャレンジする場所。
ヒトモノカネのどれでもよいが、それをサポートしてくれる。

小さいお店をやってみたい人がいたとして、自分だけでは家賃をペイできるほどの収益は難しい。
しかし何人かで家賃を分割すれば大丈夫かもしれない。
相互集客やコラボの道も見えるかもしれない。

家や職場だけではない、サードプレイスに近そう。
核家族化やコロナによる外出機会の減少によって、家族以外とコミュニケーションを取ることも減っただろう。
結局人間は一人では生きていけない。緩く繋がっておける誰かが必要なのだ。

大人にとっての青春回帰と言ってもいいかもしれない。
そういう関係性をコミュニティに求めているのもあると思う。

相互に関係性が生まれないものはコミュニティではないと考える。
一方的に情報を教授するようなオンラインサロンがそれに該当する。
1対1の関係性ではなく、1対Nの関係性こそが醍醐味。

参加者は何を求めるのか

サードプレイスとして関係性を求めていると記述したが、それ以外に参加者を魅力するインセンティブは何なのだろうか。

関係性だけであればコミュニティという箱は不要であり、(勝手に)SNS等で繋がることもできるはずである。

「自己肯定感の向上」なのではないかと考える。
言い換えれば「自分が求められている感覚」である。

人は社会性の生き物であり、一人では生きていけない。
それは食料のような物理的な問題もあるが、誰かに必要とされるという精神的な問題もあるのではないか。

個人的な体験になるが、1週間程度海外をふらふらしていると、「あれ俺って何の役にも立ってないな」という気持ちが芽生え、一刻も早く日本に帰って仕事がしたいと思ったことがある。

金銭的な報酬が発生しないにも関わらずコミュニティで精力的な活動を続ける人にとって、
・地域や近隣住民の役に立っているという肯定感
・自分の役割と真っ当するという使命感
が強力なインセンティブになっていると考える。

コミュニティの要素として「目標管理がされない」と記述したが、ゆるい役割は必要な要素になるのかもしれない。

コミュニティの経済的価値

参加者にとって経済的価値はどうでもいい要素である。
なぜなら参加者は関係性と自己肯定感を求めているだけだから。
そこでお金を稼いで生活していこうとは思ってない可能性が高い。
それなら普通に規律のある組織で働いた方が稼げるからである。

ハンドメイドの何かを販売して収益を得ることはあるだろうが、それはあくまでも対価であり、本質は充足感だと思う。
メルカリでバンバン販売した方が収益は増大するだろう。

コミュニティ自体が経済的価値を生み出すのか否かは主催者次第である。
発生させたいのであれば、意図的に裏側でコントロールする必要があるだろう。
前面に「利益獲得」を打ち出すことによって、コミュニティが持つ緩いイメージが排除されてしまう可能性もあるので要注意。
あくまでも裏側でコントロールすることが大切になる。

参加者にとっては「コミュニティがもたらす価値」にはあまり興味がなく、あくまでも「自身がどう活躍できるか/何を得られるのか」を考えているだけなのではないだろうか。

地域に根付いた地元企業との連携によって収益化を図る道もあるのではないか。
地元企業にとっては①市場活性、②ブランディングの効果が期待できる。
そこが協賛のような形で賛助してくれることで持続的な活動が可能になるのではないだろうか。

コミュニティを持続させるには

一方で、持続的なコミュニティを運営するにはお金が必要である。
これは避けては通れない絶対的な問題。

助成金や補助金に頼るのも大切だと思うが、打ち切られたら終わりであり、可能な限り自立すべきだろう。

そのためにはある程度の利益を生み出す必要がある。
大切なのは「利益ファースト」ではないという点だろうか。

あくまでも「参加者ファースト」であり、「利益セカンド」である。
利益ファーストになるとそれは営利企業になってしまい、コミュニティの定義から外れてしまうことになりかねないからである。

利益をどうするのかは裏側で考えるべきことであり、それを参加者に転嫁することは避けた方がいいのではないかと思う。

一方で人が集まってこないコミュニティはそもそも持続しない。
持続しないのではなく、消滅する。
そこに関しては通常と同様にマーケティングが必要である。

コミュニティと地域活性化

「地域活性化」を目的としたコミュニティは多く存在している。
もちろん非常に重要であり、個人的にも興味がある。

一方でそのビジョンが先行してしまうのも問題なのではと思う。
地域活性化に役立たない趣味嗜好は排除されてしまう懸念がある。

微妙なニュアンスが非常に難しいのだが、あくまでも参加者ありきで、その集合体が地域活性化に繋がるイメージ。

カフェを運営したいという参加者に対して場を提供する。
ここまでは参加者ありきである。
そこでイベントを開催したり、地産地消スイーツを提供する。
これは地域活性化になる。

地域活性化のためのカフェ運営となると、参加者の動きを制限することにも繋がりかねない。
コミュニティは緩くて自由なので、制限は向いていないのだ。

まとめ

コミュニティのような緩い繋がりは今後より重要になるだろう。
人口(住民)が減ることで、より相互扶助で生きていく必要が出てくる。

荷物の配達や食品の購入もそれに該当するだろう。
高齢者は一人で買い物にいけない。結局助け合いが必要になる。
時代がタイムスリップしたような生活だ。

人口が縮小していく日本において、巨大な組織を作ることは難しい。
地域コミュニティのような小さい組織が乱立する方が可能性が高い。
そして、その一つ一つが小さくても経済的価値を持てば、地域活性に繋が
る。

特に地方は、東京をはじめとした大都市圏に依存するのではなく、自分達のエリアで自立した経済圏を生み出す必要がより増すだろう。
地方自治?の観点になるのかもしれない。

大都市圏や他の地域と比較するのではなく、自分達の地域独自の良さを生み出せるようなコミュニティ作り。
人間の幸せの尺度も変わってくる中で、コミュニティは大切になる。

今後について

もう少しこの分野について色々調べてみようと思っている。

具体的には、
・もう一歩踏み込んだ研究対象となるコミュニティの定義
・ソーシャルキャピタルとの関連
・コミュニティにはどういう分類(ジャンル分け)ができるのか
・成功しているコミュニティと失敗しているコミュニティの比較(評価)
・コミュニティによって地域活性が実現された事例
・海外のコミュニティ運営の事例
・コミュニティと地場企業との関係性
・ゼロから始めるコミュニティ運営
・どうやって参加者を集めるのか(マーケティング/ブランディング)
・自分自身の関わり方(インターミディアリー?)
こんなところだろうか。

あまり厳格にならずにやっていければと思う。



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