【米国市場】ダウ平均は続伸、強い景気回復期待

米国株式市場は続伸し、ダウ平均株価(.DJI)は267ドル高で引けた。国内で広がる抗議デモや新型コロナウイルス流行を尻目に、景気回復期待が先行し、買いが優勢となった。

引き続き景気回復期待が強い

ハイテク株のほか、金融株などの景気循環株の買いが膨らみ、上昇を主導。S&P500の主要11セクターは全てプラス圏で取引を終えた。
ピーター・カーディヨ氏は「テクニカル要因が相場を押し上げた。抗議デモが地元経済に及ぼす影響の可能性はさほど注視されていない」と指摘。「デモが続けば、新型コロナウイルス流行によるビジネスへの打撃が増幅される恐れがある」と述べた。

米国では白人警官による黒人男性暴行死を巡る抗議デモが拡大し、トランプ大統領は暴動鎮圧に向けて軍投入も辞さない構えを示している。

個別銘柄ではサウスウエスト航空(LUV.N)が2.6%高。新型コロナによる航空需要減の急回復が望めない中、従業員に早期退職割増金と有給の一時帰休を提示したことが材料視された。
送金サービスのウエスタンユニオン(WU.N)は11.3%、同業マネーグラム・インターナショナル(MGI.O)は29.7%それぞれ急伸。ウエスタンユニオンはマネーグラムに買収案を提示した。
一方、宝飾品大手ティファニー(TIF.N)は8.9%安。米市況の悪化から、仏高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA)によるティファニー買収計画の実現が危ぶまれているとの報道が売り材料となった。

市場参加者は5日発表の5月米雇用統計を注視している。新型コロナ流行を受けたロックダウン(都市封鎖)措置による経済的影響の全容がより鮮明になる見通し。失業率は19.7%に悪化すると予想されている。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.89対1の比率で上回った。ナスダックでは1.69対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は107億2000万株。直近20営業日の平均は113億5000万株。

英のコロナ薬臨床試験、初回結果は7月

英国で実施されている世界最大規模の新型コロナウイルス治療薬の無作為化臨床試験「リカバリー」の1回目の結果が7月初旬に公表される可能性があると、試験を主導する科学者が2日明らかにした。
試験は3月に開始され、英国の病院175カ所で新型コロナ治療に複数の既存医薬品を利用。被験者は年齢1─109歳の患者1万1000人。
1回目の結果は炎症を抑えるステロイド系医薬品投与に関するデータとなる公算が大きいという。

抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」や抗エイズウイルス(HIV)薬「ロピナビル・リトナビル」などの試験も実施されている。

オックスフォード大のマーティン・ランドレー教授は「現時点で治療法は存在しない。そのため1回目の結果はわれわれに指針を提示する見通し」と述べた。

中国は通商合意を順守する意向か

米与党・共和党幹部のグラスリー上院議員は2日、最近の米中関係には対立も見受けられるものの、中国は「第1段階」の通商合意を順守する意向という認識を示した。
グラスリー議員は記者会見で「中国が長期的に合意を破ると考える理由はどこにもない」と指摘。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表自身が中国の劉鶴副首相との会談後、そうした見方を確認してくれたとし、「心配していない」と述べた。

今日の私見

米中対立は、その矛先となる可能性が高い通商協議の第一段合意については実務者レベルは破棄されることはないとされている。
今後、米国で香港の優遇措置の撤廃が正式に可決され、その後の中国の報復がまだ残っているため油断はできないが、あまり心配する必要はないと思われる。

最も注目されるリスクは、新型コロナウィルス感染拡大の第2波で、日本では6/2の東京での新規感染者が30人と増加し、その兆しがみえてきた。
これがまた感染者を増えることになるかはまだわからないが、新規感染者数の推移にはまた注目が必要なだ。

世界各国で新型コロナウィルスの治療薬とワクチンの開発が進まれており、7月から治験の結果が発表さてくるだろう。
人類の希望となりうるこのニュースに市場は一喜一憂する展開になると思われる。

また、夏枯れ相場と言われ、夏休みで市場の参加者が減り出来高が少なくなる傾向があり、株価は下落しやすいとされている。
4月からの上昇の調整や、上記第2波、米大統領選によるパフォーマンスなど下落理由は考えられるが、新型コロナウィルスのワクチン開発成功のニュースがあれば、一期に上昇トレンドにもなると考えられる。

異例づくしの今年の相場だが、いかに。

出典

ロイター 6/3 ダウ平均267ドル高、景気回復期待先行で買い

ロイター 6/3 英のコロナ薬臨床試験、初回結果は7月初旬の見通し

ロイター 6/3 中国は通商合意「順守の意向」、米中対立でも=米上院幹部