世界経済

【3/22】テロと株価

いらっしゃいませ!

ベルギーの首都ブリュッセルの空港と地下鉄で22日午前、同時爆発攻撃が発生し、少なくとも30人が死亡しました。

この報を受けて円は対米ドルで一時111円台まで円高となり、NYダウも41.3ドル下落しました。

ここ最近テロが頻発している悲しい状況です。

今回はテロと株価の関係を記事にします。


■テロとは

テロとは正式名称はテロリズムです。

政治的目的を達成するために、暗殺・暴行・破壊活動などの手段を行使すること。

またそれを認める主義を指します。


■2000年のテロ一覧

2000年に勃発したテロの一覧です

 2000年10月12日:米艦コール襲撃事件

 2001年9月11日:アメリカ同時多発テロ事件

 2002年10月12日:バリ島爆弾テロ事件 (2002年)

 2004年3月11日:スペイン列車爆破事件

 2005年7月7日:ロンドン同時爆破事件

 2005年10月1日:バリ島爆弾テロ事件 (2005年)

 2006年7月11日:ムンバイ列車爆破事件

 2007年6月30日:スコットランドグラスゴー空港における爆破事件

 2007年7月3日:パキスタン・モスク立てこもり事件

 2008年9月20日:イスラマバード・マリオット・ホテル爆破テロ事件

 2008年11月26日:ムンバイ同時多発テロ

 2011年1月1日:アレクサンドリア自爆テロ

 2012年8月1日:プネー爆破テロ事件

 2013年4月17日:インドバンガロールテロ事件

 2013年7月7日:ブッダガヤ爆弾テロ事件

 2014年12月16日:ペシャーワル学校襲撃事件

 2015年1月7日:シャルリー・エブド襲撃事件

 2015年3月18日:バルド国立博物館での銃乱射事件

 2015年10月2日:ニューサウスウェールズ警察本部銃殺事件

 2015年10月31日:コガリムアビア航空9268便

 2015年11月13日:2015年11月パリ爆発・銃撃


実にこれだけのテロが発生しています。

テロも時代とともにその意味が変わってきており、2000年のテロの目的は

政治的目的の達成→イラク戦争の報復→ISへの攻撃の報復

と移り変わってきています。

この中で規模の大きなテロとその後の株価を見ていきましょう。


■9.11 アメリカ同時多発テロ

2001年9月11日にアメリカ合衆国内で同時多発的に発生した、

航空機等を用いたテロ事件の総称です。

ワールドトレードセンターに旅客機が衝突し、ビルが倒壊する映像は世界中に多大なショックを与えました。

この無差別テロ事件の犠牲者は、すべての死者を合計すると3,025人とされています。

犯行はイスラム過激化組織アルカイダです。

株価の動きとしては、翌日の日経平均10,292.95円が9,610.10円と下落し、-6.6%の下げ幅を記録しました。

日本以外の国の株価も同様です。

その後はなかなか上値が重い展開でしたが、翌月にはテロ前の株価に戻っています。


■スペイン列車爆破事件・ロンドン同時爆破事件

2004年3月11日にスペインの首都マドリードで起こった爆弾テロ事件です。

191人が死亡、2000人以上が負傷しました。

犯行は「アブー・ハフス・アル=マスリー殉教旅団」と称するイスラム過激派系のテログループです。

2005年7月7日にイギリスの首都ロンドンにおいて地下鉄の3か所がほぼ同時に、その約1時間後にバスが爆破されました。

56人が死亡しました。

犯行はアルカイダです。

2つのテロの犯行動機はイラク戦争の加担への報復です。

2つのテロともに株価への影響は極小で、当時のチャートを追っても下落幅がわからないくらい軽微な影響でした。


■パリ同時多発テロ

2015年11月13日(日本時間14日)にフランスのパリ市街と郊外のサン=ドニ地区の商業施設において、銃撃および爆発が同時多発的に発生したテロ事件です。

まだ記憶に新しいですね。

130名が死亡、300名以上が負傷しました。

犯行はISIL(イスラム国ないしIS)の戦闘員と見られる複数のジハーディストのグループによるものです。

16日の日経平均は前営業日比333円安の1万9264円と下げて始まり、345円安の1万9252円まで売られましたが、その後は下げ渋り1万9393円(203円安)で取引を終了しました。

そして翌日には復調しました。


■テロの株価への影響は軽微

9.11は世界に与えたショックが大きいだけに株価の下落も大きく、復調にも時間がかかりましたが、その他についてはすぐに株価はもとに戻っています。

テロが勃発するたびに一時的な精神的ショックでリスクオフになり、安全資産である株売り円買いとなりますが、その後すぐにケロッとリスクオンになり、株買い円売りとなる動きを繰り返しています。

すぐにテロが忘れ去られたようで少し悲しい気もしますが、テロが実態経済になんら影響を与えないことを示すものでもあります。

これまでテロが実体経済に影響したこともありません。

あの9.11ですらその後の経済的影響は極小でした。

テロにより経済や市場に影響が出てしまっては犯行グループの思うつぼになってしまいます。

テロに屈しない、という意味では影響が軽微というのは非常にうれしい事実ですね。

テロが勃発したからといって慌てて株を売る必要はないのです。


■株価に影響しないテロ

株価に影響するのはヨーロッパ、アメリカといった世界経済の中心国で勃発したテロだけです。

それ以外は市場は何もなかったかのように振る舞います。

その例が今月13日に起こったトルコのテロ事件です。

首都アンカラの繁華街で、クルド系の組織による爆弾テロが起き、少なくとも36人が死亡しました。

テロの規模で見てもロンドン同時爆破事件と変わりませんが、この日の日経平均は136円上昇、ダウも68ドル上昇しました。

世界経済の中心の一つであるイギリスと新興国の一つであるトルコでは影響力に違いがあるからです。

新興国でも中国のような影響力の大きい国で起こると株価に影響が出るでしょう。

中国はウイグル地区の民族問題を抱えているため、テロが起こる確率は低くありません。


■そこに尊い命が亡くなっているという事実

株価の影響は軽微ですが、現実は悲惨です。

何の罪もない人の命が突然消されているのです。

昨日、また明日と別れた人の今日、行ってらっしゃいと見送った人ともう二度と会えなくなるのです。

日本はイラク戦争もISへの攻撃も直接関与していなく、また島国でありますのでテロリストの侵入が難しく、例えテロを実行しても世界へのメッセージ力があまりないため狙われにくい環境です。

そのため、はるか遠く離れた出来事と認識してしまいがちですが、人の手により何十、何百という人が一斉に亡くなっているという事実は受け止めなければなりません。

亡くなった方々を尊び、テロに屈しない。

テロが起こったからといって混乱して株を売ってはいけません。

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