【米国市場】ダウ平均は大幅続伸、経済再開を完全に織り込むと抗議デモで崩れるソーシャルディスタンス

米国株式市場は続伸。ダウ平均株価(.DJI)は527ドル値上がりしたほか、ナスダック総合指数(.IXIC)も過去最高値に迫った。全米で激化する抗議デモや新型コロナウイルス流行を巡る警戒感は漂うものの、景気回復期待が相場を押し上げた。

ナスダックは最高値に迫る

金融株や工業株、ハイテク株などが買われた。S&P総合500種指数(.SPX)とナスダック指数は4日続伸。ナスダックは2月に付けた最高値まで1.4%に迫った。S&P500は最高値まで7.8%、ダウ平均は11.1%。
レノックス・ウエルスアドバイザーズ(ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)、デービッド・カーター氏は「中国やイタリアと同様、米国も安全に経済を再開できるとの自信が強まっている」と指摘。こうした経済に対する楽観的な見方が株式へのリスク選好を高めていると述べた。
全米では白人警官による黒人男性暴行死を巡る抗議デモが継続しているが、トランプ大統領が暴動鎮圧に向けて軍投入も辞さない構えを示す中、暴力行為は沈静化の動きも見られるという。
経済指標では、オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが発表した5月の全米雇用報告で民間部門雇用者数が276万人減少。過去最悪だった4月の1955万7000人減からは落ち込みが和らぎ、ロイターがまとめた予想の900万人ほど悪化しなかった。
また米供給管理協会(ISM)が発表した5月の非製造業総合指数(NMI)も45.4と、4月に付けた2009年3月以来、約11年ぶりの低水準から改善。ただ、景気拡大・縮小の節目となる50は依然下回った。
投資家は週末に発表される5月の雇用統計に注目している。
個別銘柄では、航空機大手ボーイング(BA.N)が12.9%高。著名投資家のダニエル・ローブ氏率いるヘッジファンドのサード・ポイントが同社株を取得したことを明らかにした。
配車サービス大手リフト(LYFT.O)は8.7%高。5月の利用者は前月比26%増加した。新型コロナ感染拡大に伴う行動規制を段階的に緩和している都市を中心に需要が伸びた。

ビデオ会議サービスのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM.O)は7.6%高。年間売上高の見通しをほぼ2倍に引き上げた。新型コロナの感染拡大を受けたロックダウン(封鎖)措置で在宅勤務をする人や友人とオンラインでつながる人が増える中、ユーザーが急増しているという。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3.81対1の比率で上回った。ナスダックでは2.26対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は126億2000万株。直近20営業日の平均は114億5000万株。

今日の私見

市場は完全に経済再開を織り込んだ。
となれば、再び都市封鎖が発動されればこれまでの株高が崩れるきっかけとなる。

最も懸念されるのが、米ミネソタ州黒人暴行死の抗議デモである。
感染拡大防止としてソーシャルディスタンスが謳われている。
日本では3密を避ける、と言われているものだ。
このデモではソーシャルディスタンスが破られ、人々が密集している。
マスクはしているとは言え、抗議を口で発するので感染拡大の可能性は非常に高くなる。

米の黒人暴行死への抗議、世界的に拡大 欧州・アフリカで

抗議デモは世界に拡散されており、最近は欧州でも盛んになってきている。

おそらく1週間~2週間の間に新規感染者は増えるだろう。そして再び都市封鎖が発動される。
政府も二回目となると発動のタイミングは早まると想定する。
同じく市場の反応も早くなるだろう。

新規感染者数には要注意である。

出典

ロイター 6/4 ナスダック最高値に接近、景気回復期待押し上げ

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