貨幣

市場は何を見ているか、目先の関心と長期の視点

3月に入って市場はだいぶ落ち着きましたね。

しかし、いつまでも落ち着いた展開になるとも思えません。

今でも何か裏で作用しているものがあるでしょう。

2016年上期に向けて、市場の目先の関心と長期の視点を考えましょう。


■目先① イエレン議長の身長姿勢

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が利上げに対して慎重な姿勢を示したことに対して、4月利上げ期待がなくなりました。

これにより、投機筋によるドル売りが優勢となり、円高となりました。

前回のFOMC声明発表時と思時反応ですね。

FOMC声明発表時は111円台まで円高となりましたが、すぐに113円まで戻りました。

今回も113円まで戻るかと思います。


■目先② 原油の在庫

米国で発表される週間石油在庫統計で在庫の増加が確認されれば、供給過剰懸念が再燃します。

年初の混乱が繰り返される可能性も出てきます。

産油国の増産据え置き協議は進んでいますが、減産協議には至っていません。

原油の消費拡大=経済が活発(ものが作られるため)と捉えられているため、

原油の消費低迷は経済の低迷とも考えられます。

こちらも円高リスクです。


■目先③ 米雇用統計

米経済の実態が浮き彫りされる重要な指標です。

その前哨戦となる民間調査のADP雇用報告が発表され、3月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は20万人増加しました。

市場予想の19万人を超える形となりました。

本発表は週末であるため、まだ安心できませんが、ポジティブな内容ですね。

本発表もポジティブですと早期利上げ期待が高まり、ドル高円安となります。

逆にネガティブな内容ですと、米経済後退懸念が浮上し、ドル安円高となります。

この先の為替を占うターニングポイントです。


■短期・長期 企業業績

企業業績は一企業で見ると短期的関心ですが、経済まで考えると長期的な視点となります。

2015年度の決算発表が始まってきます。

企業の業績の良し悪しで当然経済状況が見えてきます。

企業業績が軒並み好調ですと経済が上向いていると判断できます。

逆に低調ですと経済が下向きと捉えられます。

実体経済がどういう状況なのかが浮彫になります。

年初から世界経済の先行き不透明による株式の投げ売りされてきましたが、これでなんとなくはどういう状況なのかは見えてくるかと思います。


■長期① 6月の米利上げ

早期利上げ観測は後退したものの、6月の利上げの可能性は否定できません。

このまま米経済指標が堅調で原油価格や中国経済といった外部環境が安定化していれば、利上げする可能性は十分にあります。

この期待が円の円高に歯止めをかけています。


■長期② 政策期待

今年6月に開催されるG7伊勢志摩サミットへの期待です。

先のG20とは違い、主要7ヵ国が集うため、経済政策が具体的な行動策まで落とし込める可能性は高いです。

日本においては参議院選も注目されています。

参議院選、というより参議院選に向けての経済政策に期待されています。

政権安定のために是が非でも議席過半数を獲得したい自民党は今年始まっての市場の低迷を解消するため、何かしらの手を打ってくる、と読んでいるのです。

日銀も安倍政権と2人3脚ですので同調するでしょう。

このような期待が今の日本株価の下支えとなっています。


目先の関心に躍らせれるとは大利を失いますが、長期の視点ばかりに注目していると変化に対応できず、損失を被ります。

短期と長期の両方の視点で、物事を捉えましょう。

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