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【5/17】ひそかに漂う英国EU離脱への不安感

株式市場や円相場はここのところ落ち着いていますが、ひそかにリスクオフとなっている相場があります。

ポンド相場です。

6月23日に英国で実施される「欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票」の結果に対する不透明感が、ポンド相場の重石になっています。


■離脱による英国の影響

EUを離脱した場合の英国の影響を振り返ってみましょう。

EUを離脱すると、加盟国の貿易における関税の撤廃がなくなってしまいますので、貿易収支が悪化します。

英国の貿易のほとんどは加盟国向けであるため、コストが増大します。

また、英国で活動している金融機関や多国籍企業が海外に出て行くリスクがあります。

さらには、EU離脱が火付け役となり、スコットランドの独立問題が再燃される可能性が高いです。

もしスコットランドが独立すると英国は国土面積と人口の何割かに加え、北海油田の権益などもかなり失います。

英国のキャメロン首相は有権者に対し、経済的打撃が大きいEU離脱を避け、残留に投票するよう呼びかけています。


■周辺諸国への影響

欧州内では、アイルランド、マルタ、ベルギー、オランダ、キプロス、ルクセンブルクが英国との貿易関係が深いほか、ドイツ、フランス、スペインは銀行システムを通じて密接に関連しており、離脱の際には経済的な打撃を受けるとみられています。

英国の離脱における影響はやはり計り知れませんね。


■1ドル=1.4ポンドの壁

こうしたマイナス材料に嫌気し、ポンド売りが加速しています。

現在は1ポンド=1.43ドル台で推移しています。

ポンドに関するアノマリーとして、「1ポンド=1.40ドル鉄板説」というものがあります。

これはリーマンショックなどの経済的大打撃をうけても1ポンド=1.40ドルで底入れしたことから、投資家の間で信じられています。

過去四半世紀で3度ポンドの投げ売り局面がありましたがこの1ポンド=1.40ドルで反転していきました。

現在は1ポンド=1.43ドル台ですので、アノマリーに従うとそろそろ底入れですが、もし、英国がEUを離脱するとなるとこの鉄板説が崩壊する可能性があります。

各種世論調査は大雑把に言って「残留4割、離脱4割、未決2割」前後の比率で推移しています。

投票の直前まで、賛否両論が拮抗しそうですので、株式市場でもその影響が出るでしょう。

国民投票まであと5週間。

動向に要注目です。

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